第7話 うちのメイドがすみません
男の人達が顔を仰け反らせながら、首を抑えている。
「ぐががが……」
「く、くるじい……」
「どうなってんだ、……こりゃ?」
苦しんでいる男達に近付くアルネブ。
そして、その首筋に剣を当てる。
「わたしの前でリウイ様を侮辱するとは良い度胸ね。二度とそんなことを言えないようにしてあげても良いのよ?」
「ひ、ひぐうぅぅ、お、おたすけ……」
男が助けてと言うが、アルネブは僕を見る。
その目はどうしますか?と聞いているようだ。
別に因縁をつけられた訳ではないのに、殺すのは気が引けるから。
僕は首を横に振る。
「…………承知」
少し残念そうな顔をした後、アルネブは男から剣を当てるの止めて仕舞い、何も持ってない方の手の指を何度か握った。
すると、男の人達は不思議そうな顔をしながら首を触る。
「い、息苦しくない?」
「何だったんだ?」
男の人達を避けて、アルネブが僕に近付く。
「お怪我はありませんでしたか? リウイ様」
「ああ、うん。大丈夫」
尻餅はついたけど、特に怪我は無いな。
「そうですか。それは良かったです」
綺麗な笑顔を浮かべるアルネブ。
その笑顔を浮かべたまま、男の人達を見る。
「「「ひいいいいぃぃぃ⁉」」」
何か、すっごい怯えた顔をしているけど、どんな顔をしているんだ?
丁度、僕が居る所からでは、角度的に見えない。
「どうかしたのか?」
あっ、僕達を案内してくれたリーダーの人がやって来た。
「いえ、大した事ではありません。僕が前方不注意で、ぶつかったので謝っている所です」
僕がチラリと男の人達を見ると、男の人達は首が外れるんじゃないのかと思える程に、激しく首を盾に動かした。
「そうか。じゃあ、もういいか。他の者達は別室で事情を聴いてもらっている。君はギルドマスターが事情を聞くそうだ」
ギルドマスター!
う~ん。どんな人だろう。矍鑠とした老人だろうか? それとも、筋骨隆々の男性かな。
会うのが楽しみだな。
「分かりました」
「じゃあ、付いて来てくれ」
僕達はリーダーさんの後に付いて行った。
その後に付いて行く際。受付に居て、先程の光景を見ていた人達の囁き声が聞こえて来た。
「見たか?」
「ああ、あの『レッド・クロウ』を相手に、ああも鮮やかに膝をつかせるとは」
「『レッド・クロウ』って、Bクラスのチームだよな」
「そうだ。そいつらを相手に出来るメイドって……」
何か、変に目立っちゃったな。
まだこの都市に来たばかりだから、あまり目立ちたくはないのだけどな。




