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第7話 都市に入れた

 僕達は城門の外に出て来た傭兵の人達と一緒にギルドに向かう。

 城門を越えると、賑やかな通りが見えた。

 何処かに向かう人。

 露店で売られている商品を大きな声で紹介している人。

 露店で並べられている商品を見て、手に取りどれが良いか悩んでいる人等々、沢山の人が居た。

 城門の外では亜竜が襲って来たと言うのに、随分と賑やかだな。

「この都市の城門には、魔物避けの鉱石を使っているからな。だから、魔物は城門を越えてまで襲う事はないんだ」

 賑やかなにしているので、僕が不審そうな顔をしていたのを見て、三十代前半で精悍なリーダー格の人が教えてくれた。

 成程。そういう訳か。

 恐らく、使われている鉱石は『てっこう』を使っているのだろう。

 この鉄鉱は鉄の様に固く、それでいて魔物が嫌う臭う匂いを放っているそうだ。

 と言っても、人間の鼻では嗅ぐ事が難しい。嗅ぐ事が出来るのは、五感が人間よりも優れた種族だ。

 前世で嗅いだ事がある獣人にどんな匂いなのか聞いた所『腐った生ごみの上に甘い香水を強めに掛けてた臭い』と言っていた。

 でも、こうして鼻を動かしても、全然変な臭いはしないけどな。

「君達は、初めてこの都市に来たのか?」

「はい。そうです」

 正確に言えば、この大陸にも昨日来たばかりです。

「そうか。じゃあ、事情を聞いたら、観光をしたらいい。この都市は貿易が盛んだから、色々な物で溢れているから」

「そうします」

「こっちだ。人が沢山居るがはぐれない様に」

 リーダー格の人が歩き出したので、僕達もその後に付いて行った。


 都市に入り、少し歩くと。

 木造の三階建ての建物が見えて来た。

「あれが、俺達傭兵ギルドがある建物だ」

 一緒に来た傭兵の方が教えてくれた。

 木造で四階建てか。

 前世では、エルフの領地じゃないと有り得ない建物だな。

 何処の国も木造で三階建ての建物を作る技術がなかった。

 だから、三階以上の建物は石造りであった。

 エルフの場合、樹を成長させて好みの高さになると、中をくり抜いて、部屋を作り其処に住む。

 なので、エルフの領地では、普通に一家族で五階建てぐらいの高さを持った樹の中で暮らしている人達が居た。

 僕がそんな感傷に耽っていると、皆はさっさとその建物の中に入って行った。

「ちょっ、待ってよ」

 僕は慌てて、皆の後を追い駆けようと、扉に手を掛けようとしたら。

 ガチャッ‼

 後数センチ扉に手が届くと言う所で、扉が開いた。

 しかも、運が悪いのか、開いたドアが僕に当たり、地面に尻餅をついてしまった。

「あん? 何だ?」

 扉を開けた人は、扉を開けると何かに当たったので不審がっていた。

 そして、僕を見るなり、訝しい目で見る。

「どうかしたのか?」

「いや、ドアを開けると子供がいたから」

「子供?」

 扉を開けた人の後ろに居る人達が僕を見る。

「坊主。こんな所に何の用だ?」

「え~っと、ちょっとこの建物に用事があって」

「用事? はは~ん。お前はあれか」

 多分、傭兵なのだろう。その人が僕を見るなり、何か分かったような顔をしだした。

「お前、あれか? 傭兵に憧れて成ろうというクチだろう」

「いえ、そうじゃあなくて」

「やめとけやめとけ。お前みたいな、どこぞの坊ちゃんがなるようなもんじゃねえよ」

「寧ろ、まだ自分の母ちゃんの胸の中でおねんねする歳じゃないか?」

「そうだな。お前みたいな乳臭い餓鬼が来る所じゃねえよ。帰んなっ」

 まるで、蠅を追い払うかのように手を動かす傭兵達。

 全然違うんだけどな。どう言えば良いのかな。

「ほら、坊主。さっさと家に帰りな」

「なんなら、俺達が家まで送り届けてやろうか?」

「その代わり、家に着いたら護衛代を貰うけどな。ギャハハハ」

 下卑た笑い声をあげる傭兵三人。

 その三人の後ろには。

「………………」

 目に光を宿さないアルネブが居た。

 や、やばいっ。

「あ、あの、直ぐに逃げてください」

「はぁ?」

「なにを言って、・・・あぎゃっ」

「ぐへっ⁉」

 傭兵三人が突然、自分の首を抑えだした。

 そして、その場で跪いた。

 



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