第5話 情報収集で打ってつけな場所と言えば
僕達は他愛の無い話をしながら『ヨドン』に向かった。
話しながらだったからか、早く着いた気分だ。
『ヨドン』の門の前には都市に入ろうと列になっている人達が居た。
僕達もその列に並びながら、どれくらいの長さの列なのか見た。
十、二十、三十、……僕達の前には四十人くらい居るな。
これはかなり待たされそうだな。
「かなり待たされそうだな」
そう僕に話しかけるのはアングルボザという巨人族の族長の娘だ。
最初あった時は、高い身長ではあったが、巨人にしては小さいなと思った。
そこの所を訊ねたら、魔法で小さくしているそうだ。
巨人族は種族的にどうも魔法を使える者はあまり生まれないので珍しい存在と言えた。
浅黒い肌。猫の様なツリ目で、金色の瞳に縦長の瞳孔。端正な顔立ち。
栗色の髪を肩まで伸ばしている。
筋肉質の身体なのに、胸はボンっと突き出ていた。腰と尻はキュッと締まっていてた。
何か、この人を見ていると、母さんを連想するんだよな。何でだろう?
「どうかしたか?」
「いや、別に」
良いな、高身長で。僕もこれくらい欲しかった。
まぁ、これから伸びるかもしれないから期待だけはしよう。
「ねぇ~、まだ入れないの~?」
「つまんないよ~」
僕と同い年ぐらいの女の子たちが話しかけてきた。
二人共、白い肌で銀髪。頭頂部からから見える青白い犬耳と尻から耳と同色の尻尾を出していた。
双子だからかツリ目で赤い瞳に縦長の瞳孔。可愛い顔立ちであった
へそ出しで袖なしの厚い生地で出来たシャツを羽織り、動き易いように短いパンツを穿いていた。
身長も僕と同じ位だが、何故か胸が異様に育っていた。
比較対象がティナだからか、それともそこだけ育っているのかは分からない。
「ねえ? 聞いている?」
「今日中にこの都市に入れるの~?」
「……多分大丈夫だよ。フリ。ゲリ」
僕に話しかけて来たのは『シルベン』族長の双子の妹達だ。
似た顔立ちだが、髪型が違った。
フリの方はツインテールで、ゲリの方が右側頭部にサイドテールにしていた。
本人達曰く、偶に髪型を変えるそうだが、大抵はこの髪型だそうだ。
混同しない様にする為の髪型を変えるのは何でと訊ねたら。
『そうしたら、皆の反応が面白いから、ね~』
『ね~』
それを聞いてこの子達は愉快犯だなと思った。
悪戯好きだが、人当たりが良く社交性があるので、皆はこの二人が悪戯をしても「あの子達なら仕方ない」と言って大抵の事は許している。
だが、一部では敵視している者も居る。
その者達は二人の性格というよりも、身体的特徴もっと言えば、胸が育っているのを見て敵視していた。
特にティナは初対面の時から。
『敵っ‼』
まるで、親の仇を見るかのような目で二人を見ていた。
流石の二人も、それ以来ティナには出来るだけ近付かない様にしていた。
「むう、ひま~。ねぇ、リウリウ。何か、面白い遊びをしない?」
「何か面白いって、どんな遊び?」
「「う~ん」」
フリはゲリ顎に手を添えて目をつぶり考えていた。
そうして考える事暫し。
「あっ、良いのを思いついたっ」
フリが頭の上に電球が光ったかのような反応をする。
「どんなの?」
「あれやらない。追いかけっこ」
「うん。良いね。誰が犬になる?」
「う~ん。此処はリウリウでいいんじゃない?」
「そうだね。此処はリイで良いね」
ゲリがそう返事して、僕を見る。
「「という訳で、追いかけっこしようっ‼」」
「却下」
「「ぶううううううっ‼」」
何で、精神年齢は三十路になった僕が子供と追い駆けッこせねばいけないんだよ。
流石に嫌だよ。
二人の提案を蹴ると、不満そうに唇を尖らせて「ケチ、そんな事じゃあ、女の子に持てないぞ」とか「そんな事を言っていると、女の子に嫌われるぞ」と言ってきたけど無視した。
ああ、早く列が進まないかなと思いつつ、前を見ていると。
「ぎゃあああああああああっ⁉」
何か、後ろの方から悲鳴が聞こえてきた。




