第1話 流れ流れて
お待たせしました。
新章に入ります。
霊亀の背中に乗り、魔国を出国してからどれぐらいの月日が経っただろう。
まぁ、少なくとも一ヶ月は過ぎた筈だ。
最初、雨が降ったら大変だろうなと思っていたが、霊亀の背中にある甲羅の一部に空洞があった。
空洞と言っても、都市が一つ入れそうな広さであった。
その空洞の中に、各自持ち込んできたテントを立てて生活していた。
雨に当たる事が無い上に、霊亀の体内?という事でか、寒くも無く熱くもない気温だった。
その上、広いので、走り回ったりしても問題なかった。
贅沢を言えば、食料について問題があった。
各自で持ち込んできた食料はあったが、それぞれの部族が好む食料なので、他の部族の口には合わない又は受け入れられない物が多々あった。
流石に昆虫人にランスビートルの幼虫で通称『ワーム』は食べさせるのは無理があった。
手の平大の大きさで頭は食べれないけど、火を通せばトロリとして中々いける。
流石に昆虫人達も『ワーム』を見た瞬間。
『魔物とは言え、流石にこれは……』
と言って、嫌そうな顔をしていた。
なので、海で釣りをして魔物を釣り上げたり、光があまり入り込まない所為か、空洞内にある茸を食べたりもした。
魔物は問題なかったが、茸だけは躊躇した。
だが、連れて来た人の中で学者なのか知らないが、食物に関係に詳しい人が居た。
その人曰く、この茸は霊亀の魔力により出来た茸だから、食べても問題ないし売れば一財産だと。
それを聞いて、食べてみると美味しかったので、食べる事になった。
一応霊亀にも訊ねた。
『別に食べても構わんよ。好きなだけ採るが良い』
というお言葉を頂いたので、僕達は食べたり採取したりしていた。
偶に、僕の身辺で五月蠅い時はあったが、それ以外は特に問題はなかった。
当初は、各部族の衝突も予想されたが、そういう場合を想定してストレス発散を兼ねたトーナメント形式の試合をした。
それにより、仲が深まったようで、喧嘩などは僕の周り以外では起こらなかった。
そんな長い海上生活もどれくらいが経っただろうか。
『そろそろ、大陸が見えて来るぞ』
霊亀の声が聞こえて来たので、僕達は空洞から出て来た。
空洞を出て、西の方を見る。
少し遠かったが、陸地が見えて来た。
「おお、あれが大陸か」
前世では、数年間生活していた土地。
そして、マイちゃん達が居る所。
『このまま進めば、嫌でも目立つのでな、都市部からかなり離れた所に着けるぞ』
「お願いします」
僕達はようやく大陸に着いた事で、歓声をあげた。
ここからが、僕達の新しい生活が始まるんだ。
それを祝おうと言うのか、風が吹いて僕の背を押した。
早く着かないかな~。
今日は閑話で後もう一話投稿します




