表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
359/756

第99話 行動開始

 とりあえず、姉上から言質を取った僕は、それを紙に二枚書いてもらう。

 一枚はこれを複写して、各氏族の族長達に渡す。

 これで自治権を認められるだろう。

 もう一枚は、もし何らかの理由で、氏族の長達からその言質を取った紙を奪われる事があっても大丈夫なようにだ。

 まぁ、そんな事はないだろうが、一応だ。

 僕はその紙を受け取ると、部屋を出て行こうとしたら。

「最近、弟成分が足りない気がします」

 とイザドラ姉上が訳が分からない事を言って、僕の腕を掴んでギューっと抱き締めてきた。

 柔らかい胸が僕の顔に押し付けられて、息苦しいけど気持ち良いという相反する気持ちに襲われる地獄を味わわされた。

 

 数十分後。


 地獄の様な天国の様な締め付けから解放された僕は、そのまま執務室に向かい、リッシュモンドを呼んで、姉上から貰った紙を各氏族に渡す分複写してと頼んだ。

 予備にもらったもう一枚の紙は、そうだな。何か会った時用に取っておくとしよう。

 リッシュモンドがその紙を受け取り「明日までには揃えます」と言って、部屋から出て行った。

 僕も出立の準備のために部屋を出て私室に向かい、そのまま寝た。


 翌日。


 僕達は館の前に居た。

 もう、この館に戻る事もないだろうから、最後の見納めだ。

 僕が『奥地』に行く事は聞いていたのか、イザドラ姉上達が見送りに来てくれた。

「リウイ。気を付けて行ってきなさいね」

「はい。姉上」

 心の中では、もう帰ってこないけどと思いながら、僕は他の姉さん達を見た。

「って、あれ? ミリア姉ちゃんは?」

「あの子なら、今朝早く何処かに行ったわよ」

「何処に行くのかと訊いたら『ちょっと散歩」とか言っていたな」

 うむ。ミリア姉ちゃんらしいとらしいな。

 しかし、残念だ。

 当分、下手をしたら一生会えないかもしれないのだから、最後にミリア姉ちゃんにも挨拶してから行こうと思ったのに。

 ロゼ姉様は魔都に居るから出来ないのは仕方がないと言えばそこまでだけど、ちょっと心残りだな。

「じゃあ。最後のお仕事を頑張って行きなさいね。ウ~ちゃん」

「・・・・・・無理はするなよ」

「うん。分かった

 内心で、元気でね二人共と思う。

「リウイ様。出立のお時間でございます」

「分かった」

 シャリュに言われて、僕は馬車に乗り込んだ。

「出発!」

 僕が馬車に乗り込むと同時に、リッシュモンドが声を掛けた。そして、先頭に居る者達が進みだした。

 馬車の窓から、そっと外の景色を見た。

 帰れるか分からないから、今の内に見ておこう。

 さよなら。『オウエ』。

 さよなら。母さん。姉さん達に兄さん達。

 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ