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第98話  姉上に懇願する

 翌日。


 僕は私室にイザドラ姉上が使っている部屋に向かう。

 今日は大事な話があるからだ。

 そうして、部屋の前まで来た。

 ふぅ~、深く息を吸って吐いてを繰り返して、良し。

 コンコン。

 ドアをノックした。

『誰かしら?』

「僕だよ」

『あら、リウイ?』

 そう答えてから、ドアを開けたのは姉上だった。

 他の人は居ないようだな。

「何かあったのかしら?」

「うん。話があってきたんだ」

「そうですか。どうぞ」

 姉上はドアを開けて、僕を招き入れてくれた。

「お邪魔します」

 僕は部屋に入る。


 部屋に入ると、僕は姉上の対面の位置にある椅子に座った。

「それで、わたしに何の用で来たのですか?」

「姉上に頼み事がありまして」

「頼み事?」

 姉上は首を傾げたが直ぐに思い至ったのか、目を細める。

「まさか、この国を出る時の船を調達に手を貸してくれとか言うつもりではないでしょうね?」

「そんな事は言わないよ」

「そう、では、何を頼むのかしら?」

「この領地の事で頼みたい事が」

「『オウエ(ここ)』をですか?」

「そう。僕が居なくなったら、誰が領主になるか分からないから、此処を自治州にしてくれないかな」

「じちしゅう? 何ですか。それは?」

 やべ。前世の知識で言ったから、姉上には通じてないな。

「え、ええっと、言い間違えました。自治領にしてくれないかな」

「自治領ですか。ふむ、確かに先住民が居るのですから、自治領にするもの悪くないですね。下手に領主を置くよりも、好きに治めさせていた方が良いのかもしれませんね」

「でしょう。という訳で、お願いします」

 僕は頭を下げる。

「・・・・・・」

 姉上は少し考えている。そして。

「・・・・・・良いでしょう。この地を自治領にする様に手配しましょう」

「よっし!」

 これで、他の氏族の族長達に問題ないと言えるな。

「まぁ、それはこれで良いとして。リウイ」

「うん?」

「貴方、この前の返事を聞きたいのですが?」

「返事?」

「そう。この国を出るのは、一年後にするという話ですよ」

「ああ、あれね」

「貴方の返事は聞いていなかったのですが。どうするのですか?」

 ええっと、あの時は拒否も了承もしなかったな。

 でも、下手に返事すると、面倒な事になりそうだからな。

「・・・・・・まだ、考え中です」

 答えを引き延ばすが得策だな。

 どっちにしても、明日には計画は実行するんだ。今の所、情報の漏洩はないようだから大丈夫だろう。

「そうですか。ああ、貴方は明日『奥地』に向かうそうですね」

「うん。領主として最後の挨拶に行こうかと」

「領主として最後の仕事ですか。それは構いませんが、其処から船に乗って行こうとしても無駄ですからね。今、船は調達できない様になっていますから」

 むっ。なんとなく妨害する気がしてたけどもうしてきたか。

「どうして、船が調達できないの?」

「新しい魔王就任を祝う為です」

 それは理由として無理があると思います。


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