表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
357/756

第97話 計画実行の時

 とある部屋の中。


 僕は光が全く差し込まない部屋の中で、両手を組みながら椅子に座っていた。

 僕の他にも数人いる。

「くっくく、時は満ちた」

「ええ、ついに来ましたな」

「いよいよですね」

「この時をどれだけ待ち焦がれた事か」

「そうね」

 最後の一人なんか気のない返事だけど、気にしないでおこう。

「では、これより『方舟計画』を実行に移す。皆、準備は整っているな」

「はっ。既に万端です」

「こちらも問題ありません」

「号令をくだされば何時でも」

「そうね~」

 ・・・・・・。

「ちょっと、ティナ」

「何よ?」

「こう雰囲気を出しているんだからさ、もっと気持ちを込めて言ってよ」

「はぁ⁉ 何を言ってるのよ。馬鹿じゃないのっ」

 そう言って、ティナが部屋のカーテンを開けた。

「執務室で話したい事があるって聞いて来てみれば、部屋を真っ暗だし、何かリウイは訳が分からないことを言うし、状況がさっっっぱり付いて行けないのだけど⁉」

 っち、幼なじみと一言で言っても付いて行ける人と行けない人がいるのか。

 これが、前世と現世の差か。マイちゃんだったら平然と乗って来て「ふふふ、いよいよ。わたしの出番のようね」とか言うのに。

「ていうか、シャリュはまだ分かるけど、母さんやリッシュモンドまで何をしているのよっ」

「ちょっと、それはどういう意味かしら? アルティナ?」

 今の言葉が聞き捨てならないのか、尻尾をブンブンと振り回すシャリュ。

 普段は隠しているけど、怒ったり興奮すると尻尾が出てくるって前に聞いた事があるな。

「ふふ、面白そうだったから、乗っただけよ」

「わたしは部屋に入ったら、こんな感じだったので、話を合わせただけなのだが」

 ソフィーは微笑みながら面白そうだからと、リッシュモンドは部屋の空気を読んで合わせただけだと言う。

「ったく、で、母さんもリッシュモンドも悪乗りし過ぎよ」

「ふふ、そうね」

「で、何の用であたし達を呼んだの? リウイ。もしかして、こんな茶番をする為に呼んだとか言わないでしょうね?」

「勿論。そんなつもりはない」

 そんな事をする為に呼ぶとか、どんだけ暇なんだよ。

 さて、顔を引き締めてと。

「三日後。計画を実行する」

 僕がそう言うと、先程まであった緩んだ空気が一瞬で引き締まった。

「計画の内容は聞いているよね?」

「それについては、既に二人には話をしています」

「なら、良い」

 話しているなら大丈夫だろうと思っていると、ティナが前に出て来た。

「でも、リウイ。聞いても良い?」

「何を聞きたいの?」

「本当に上手くいくの? この計画」

「いくのじゃなくて、いかせるのだよ。ティナ」

「う~ん。でもさ」

 ティナは頭を傾げる。

「『奥地』の北の海岸から霊亀っていう魔獣の背に乗って、出国するとか。本当に大丈夫なの?」

「まぁ、今の所アリアンが説得に失敗したって報告は来てないから大丈夫だと思うよ」

 そう言いながら、僕も少しだけ不安だった。

 前は乗せてくれたけど、今回は乗せてくれるとは限らないからな。

 でも、これで海を渡る方法は出来た。

 船も考えたけど、用意するのに時間が掛かるし、恐らくだけど、イザドラ姉上あたりが妨害するだろうから、用意するのも難しいだろう。

 その点、霊亀の方は海岸までの移動は体を小さくするなりして動いてもらえば良いだけだ。

 欠点と言えるのは、食費がどれだけ掛かるか分からない所かな。

「本当に大丈夫なんでしょうね?」

「絶対とは言い切れないけど、恐らくは大丈夫だよ」

 ティナはまだ信じられないような顔をしていたが、ソフィーが「リウイ様を信じなさい」と言われて、何とか了承してくれた。

 これで、残るはこの領地の事だな。明日には片付けないとな。


 リウイが会議をしている頃。とある場所にて。


「くくく、ついにわたしの出番が来たようね」

 マイは突然、腕を組みながら笑みを浮かべた。

「マイッチ。いきなり、どうしたん?」

 セナがマイが突然、意味不明な言葉をしゃべりだしたので訊ねた。

「いや、何かそう言わないといけない気がして」

「はぁ? なに、たちの悪い病気にでも罹った?」

「そういう訳じゃあないのだけど。何でだろう?」

 マイも自分が何でそんな事を言い出したのか分からず首を傾げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ