第95話 密かに計画を練る
その夜。
僕は私室に居た。
其処にはある人物を呼んでいた。その人物を待っていた。
コンコンっとドアがノックされた。来たかな。
「誰?」
『ソフィーです』
「どうぞ」
『失礼します』
ドアを開けて入って来たのは、ソフィーだった。
後ろを見て、誰も居ない事を確認した。
「早く閉めて」
「はい」
ソフィーにドアを閉めさせて、傍まで来てもらう。
「誰にも後を付けられていないよね?」
「ええ、それは大丈夫なのですが。あの、リウイ様」
「なに?」
「わたしをこんな時間に呼び出して、何をさせるのですか?」
「ああ、それは」
「夜伽ですか?」
「ぶふぅっ⁉」
何を言ってるの⁉
「それでしたら、わたしよりもシャリュか娘の方が良いと思うのですが」
「ち、ちちち、違うから‼」
ちょっとだけ、ソフィーにそんな事させても良いかなと思ったけど。
「冗談です♥」
笑顔で言うソフィー。
ぐぬぬ、完全に遊ばれている。
「コホン。そう言った事を頼むつもりで呼んだんじゃあないから」
「そうです。では、何をさせる為に呼んだのですか?」
「ああ、それはね。前に言っていた事をどうやってするつもりなのか、聞いておこうと思って」
「言っていた事?」
何の事ですかと言いたげな顔をするソフィー。
「ほら、前に各氏族から、僕のお供につける人達を運び出す手段の事で、何かどうにか出来るみたいな事を言っていただろう」
「ああ、あれですか。ええ、言いましたね」
「それって、この状況でも出来る? 今千五百人近く連れて行く予定なんだけど」
流石にこれだけの人数は想定外だろうな。
そう思い訊ねたのだが。
「いえ、まだ確認はしていませんが、恐らく大丈夫だろうと思います」
「本当に⁉」
千五百人近くだぞ⁉ 船を調達するとしたら大型船三隻は必要だぞ。
それに、多分イザドラ姉上が妨害するだろう。
まぁ、自分が妨害しているとバレない様にしながらするだろうな。そして、僕が問い詰めると素知らぬ顔で『さぁ、わたしは知りませんよ』とか言うのだろうな。
「一応聞くけど、その方法ってどんな方法なの?」
流石にどんな方法なのか聞かないとな。
じゃないと、安全かどうか分からないし。
「それはですね」
そう言ってソフィーは僕の耳元に顔を近づける。
「・・・・・・で、リウイ様が・・・・・・」
ふむふむ。成程。そういう手か。
「本当にその方法で行けるのか?」
「アリアンに確認しましたら大丈夫だろうとの事です。その事をその者に言って力を貸してもらうため、先程からその者の所に行ってもらっています」
「ああ、それで見なかったのか」
最近構って無いなと思って、話をしようと思ったら与えた部屋に居なくて変だなと思っていたけど、そういう訳か。
「本人もとても喜んでいいましたよ。『これでマスターの役に立てるっ』とか言って、勇んで駆けて行きましたから」
「う~ん。そんなに相手をしてないか?」
そりゃ、ここ最近はアルトリアの背に乗っているけどさ。偶に話をしたり一緒に食事をしたりとかしているんだけど。
「さぁ、彼女が物足りないと思ったのでは?」
「う~ん。難しいな」
「魔獣とは言え、女性ですから。もっと、女心を学んだ方が良いかと」
「へいへい。どうせ、鈍感ですよ」
前世も、多分そうだったのかな? 分からんけど。




