第93話 ちょっとこれは多すぎないか?
翌日。
部屋に朝日が差し込んだ事で、僕は目を覚ました。
ロゼ姉様の手紙を見ると、そう遠くない内に姉上が来るだろうな。
他に誰が来るか分からないが、とりあえず、話はしよう。
それで、こじれたら。
逃げる準備だけはしておこうと。
ベッドから降りた僕は、寝間着から服に着替えてから、執務室に向かった。
執務室に入ると、まだ誰も居なかった。
僕は自分の椅子に座ると、少しだけ感慨に耽った。
「この椅子に座るのも、後少しか」
特に思い入れは無いのだが、座れなくなると思うと何か心に来るものがあるな。
そう思っていると、誰かが部屋のドアをノックした。
「誰だ?」
『リッシュモンドです。入っても宜しいですか?』
「どうぞ」
僕が入室する事を許可すると、リッシュモンドが手に一枚の紙をを持ってやってきた。
「おはようございます。リウイ様」
「おはよう。ところで、その紙の束は?」
リッシュモンドが部屋に入ってから気になっていたので訊ねた。
「はっ。各氏族から昨日、リウイ様が記入された紙の返答だそうです」
「返答? どれどれ」
僕はその紙を受け取った。
十二氏族。
『イシメオン』族。現族長の娘パイア以下十名。
『カッサカル』族。現族長の姉サンゴのみ。
『ゴーゼフ』族。現族長の孫娘アマルティアのみ。
『ジャミニン』族。ハダ以下三十名。
『シルベン』族。現族長の双子の姉妹フリ、ゲリの二人のみ。
『タシエル』族。現族長の妹ボノビビのみ。
『タゼブル』族。現族長の従妹ランシュエ以下百名。
『ネフタリ』族。現族長の義理の姉パシパエのみ。
『バダン』族。現族長の姉ルフのみ。
『ホーユス』族。現族長の娘アルトリア以下二十名。
『モンガド』族。現族長の弟ハヌマーンのみ。
『レバニー』族。族長の姉アルネブ以下二十名。
『オルピー樹海』通称『奥地』で暮らしている氏族。
アイゼンブルート族。ケンプファゼーリエ トゥープアーヌル麾下第七独立大隊。
フリューゲルゼーリエ トゥープヨットエルフ麾下白の空中機動機甲兵団。総勢千機。
アラクネ族長。バシド以下百名。
昆虫人族。アンフォロミ―カ部族長であるアンビアとアぺビーネ部族長ビクインの両名。
巨人族。現族長の娘アングルボザのみ。
吸血鬼族。『善良公』ことシャルル=ドゥ=ブルロワ=ヴァルゴーニュの娘カーミラ以下一名。
ダークエルフ族。現族長の娘ルーティ以下百名。
デュラハン族。なし
天人族。族長シェムハザ。
人獅子族。現族長の娘レグルス。デネボラ。シェルタンの三名のみ。
この紙を見て思った。
「これは多すぎない?」
率直に思った。




