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第80話 手紙を読んで

 僕達が館に戻った時には、もう既に朝になっていた。

 仕事は一休みしてからする事にした。

 部屋に行く最中、カーミラさんが「一緒に寝ない?」とか聞いてきたけど、ティナが「何を言っているのよ!」と言って、喧嘩を始めたので、僕は無視して部屋に行って、寝る事にした。

 

 一休みして、起きた頃には昼近かった。

 僕は寝間着から服に着替えて、私室を出た。

 今日は何か直ぐに仕事をしたい気分ではないので、少しだけ仕事をする時間を遅らせる事にした。

 館にある花壇の前に腰を下ろして、黙って花壇の花を見ていた。

 あ~、何か、こう何もしないでぼ~っと出来るのって久しぶりかも。

「…………」

 ああ、何か花を見ていると癒されるな~。

 そのまま、ぼ~っとしていると。

「うりゃっ」

 僕の背後から、何かがぶつかってきた。

「おわあっ⁉」

 声が聞こえたので、誰かが体当たりして来た。

 誰だと思い、振り返ると。

「ミリア姉ちゃん?」

「おはよう、リウ。どうして、こんな所で黄昏ているの?」

「ああ、うん。少しサボりかな」

「サボりね。仕事は・・・・・・まぁ、あのリッシュモンドとかいう人に任せたら大丈夫ね」

 まぁね。優秀だから、任せても大丈夫だと思う。

「リウ。今は暇なの?」

「う~ん。暇かな?」

「何で疑問形?」

「仕事をサボっているだけだから、何時頃、したら良いかな?」

「いや、知らない」

 だよね。

「そんなに心配なら、執務室に行って仕事したら?」

「だね」

 でも、何かする気がしないんだよな~。

 気だるいというよりも、力尽きたていう感じだな。

 どうした物かな。

「リウイ様~」

 うん? 誰か僕を呼んでいるようだ。

 誰が呼んでいるんだと思い、首を動かした。

 あれは、シャリュのようだ。

 呼ばれているようだから、行くか。

 僕が立ち上がると、何故かミリア姉ちゃんも付いてきた。

「何で付いて来るの?」

「何か、面白そうな事が起こりそうな気がしたから」

 ? どういう意味だ?

 まぁ、良いや。僕は、シャリュの元に行く。

「シャリュ」

「ああ、リウイ様」

 シャリュは僕を見つけるなり、駆け寄って来た。

「どうかしたの?」

「先程、魔都から手紙が着ました」

「手紙? 誰から」

 また、ロゼ姉様が近況報告の手紙で送って来たのかな? それとも、イザドラ姉上が、僕の顔を見たいとか書いて来たのかな。

 僕はその手紙を受け取り、その場で中身を見た。

 ミリア姉ちゃんも後ろから覗き込んできた。

「「……マジで⁉」」

 言葉のトーンが微妙に違ったけど、僕達は手紙を見て同じ言葉を口に出した。

 僕はそれはないだろうという意味を込めて。

 ミリア姉ちゃんは、これからの展開が楽しみという好奇な意味を込めて。


 魔都から来た手紙を読んだ僕は、執務室に向かう。

 そして、ミリア姉ちゃん以外の姉さん達とリッシュモンドを呼んだ。

 執務室に入り、待つ事、数分。

「ウ~ちゃん。何の用で来たの?」

 フェル姉さんがノックをせずに入って来た。

「どうかしたのか?」

 続いて、ヘル姉さんも入って来た。

「ああ、うん。ちょっと、待ってね」

 まだ、リッシュモンドが来てから話した方が楽なので待つ事にした。

 もう少しすると。

 ドアがノックされて、ドアが開いた。

「遅れて申し訳ありません」

 リッシュモンドは部屋に入るなり一礼した。

「いや、それほど待ってないから大丈夫だよ」

 こで、全員だな。

「さて、皆集まったね。まずは、これを見て欲しい」

 僕は懐から手紙を出した。

 ミリア姉ちゃん以外は、その手紙を見た。


『わたしの可愛い弟 リウイへ。


 元気にしていますか? 病気などに掛かってはいませんか?

 妹達がそちらに領で迷惑をかけていませんか? もし、したら遠慮なく、わたしに一報入れる様に。

 こちらも元気に過ごしてますよ。

 近々、そちらの領に行く用事が出来ましたので行きます。

 ロゼ姉さんも一緒に。

 

 PS

 姉さんが勝手に、そう勝手に婚約者にしたとかいう子が居るとかで会わせてくださいね♥


                                        イザドラ』


 姉さん達は、その手紙を読んで顔を顰める。

「一番上と二番目の姉君達がこられるのですね。では、出迎えの準備を」

「ああ、出来るだけ急いでね」

「はい?」

 リッシュモンドは首を傾げていた。まぁ、これが普通の反応だよな。

 僕は姉さん達を見る。

「此処に着くとしたら、明日かな?」

「いや、今日着くかもしれないわ」

「今日の午後に着くかもしれないな」

「遅くても、明後日までには着くね」

 僕達は其処の所はどうなんだろうと考える。

「えっ? あ、あの・・・」

「なに?」

「手紙が来たのですから、どんなに早くても五日後と考えるべきでは?」

 うん。リッシュモンドの考えは普通だ。

 しかし、あの姉は普通ではない。

「イザドラ姉さんなら、自分達がこの都市に着く前の日に、この手紙が届くように計算して出している」

「でしょうね。姉さんなら」

 ヘル姉さんとフェル姉さんは断言した。

「・・・何と言いますか。そんな事をして、何の意味があるのでしょうか?」

「そんなの簡単だよ。僕達を驚かせるつもりなんだよ」

 あれで、いたずら好きだからな。

「でも、ロゼ姉さんも一緒なら、こんな事するのかしら?」

 イザドラ姉さんもロゼ姉様を敬っているので、姉様の言葉には比較的に聞いてくれる。

 ちなみに、僕の言葉は大抵聞いてくれる。

 何で、僕にはあんなに甘いのだろう? 

「成程。という事は、直ぐに出迎えの準備をするという事でいいですね」

「そうだね」

「ついでに、ディアーネ殿にも一報いれておきます」

「頼む」

 リッシュモンドにユエに一報いれてもらい、僕達は出迎えの準備を整えた。

 と言っても、大して出来なかった。

 午後に先触れが来たので出来なかった。





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