第77話 行動開始
その夜。
ユエの店を出た僕は、館に戻り一休みした。
そして、夜になったので、僕は館を出た。
向かう場所は『プゼルセイレーン』がたまり場にしている店。
ティナと一応の戦力としてカーミラさんと護衛はルーティ達を連れて行く。
館を出た僕は歩きながら、ルーティに訊ねた。
「昼頃、アルトリアと一緒に姉さん達に呼び出されたと聞いたけど、何かされた?」
「いえ、何も。ただ、リウイ様がこの土地に来てした事を教えろと言われたので、わたしは『奥地』で起こった事を、アルトリアは十二氏族の事に関して言いました」
「それだけ?」
「はい。それに訊かれたのは、その事だけでしたので」
特に聞かれても困るという事はないか。
しかし、今更そんな事を聞いてどうするんだ?
まぁ、今はどうでもいいか。
「これは、もしかして意識調査かしら?」
「意識調査? 何の?」
「そんなの決まっているでしょう。リウイのお嫁さんになる気があるのか調べる為でしょう」
あの三人が、そんな事を考えるかな?
う~ん。何で呼び出したのか分からないからな。安易に決めつけるのは止めた方が良いな。
「まぁ、あの三人だから、その内話してくれると思うよ」
その内、ヘル姉さんに聞いてみるか。
ヘル姉さんは隠し事が苦手だから、何か隠していると、誰とも目線を合わせない様にするからな。
そうこう思いながら、店の前に着いた。そのまま店に入ろうと、ドアノブに手を掛けようとしたら。
運が悪いのか、ドアが開いた。
客かな? と思いつつ誰なのか見て見ると。
「あれ? ウスルとローパンじゃないか」
僕と同じく、仮メンバーになった人達だ。
ウスルは魔人族。ローパンは鬼人族だ。
「どうかしたの?」
「い、いやな」
「俺達、ちょっと用事を思い出してな、じゃあな」
二人はそのまま夜の闇に隠れた。
「……ルーティ」
「はっ」
姿は見えないが声だけ聞こえた。
「あの二人を捕縛して、抵抗が激しい場合は、手荒に扱っても良いから」
「承知しました」
その返事を聞いて、僕達は店に入った。
店に入るとガイウスが店の中に居た。
「あれ、今日は早いですね」
「おお、ウィルとティナとウィルの恋人さんじゃねえか」
「失礼ね。恋人ではなくて婚約者よ。其処は訂正してくれるかしら?」
そう言いながら、カーミラはティナを見ながら微笑む。
「むっ」
ティナはカーミラを睨む。
何か、二人の間に火花が散りだした。
二人はほっといて。
「こんなに早くから店に来てどうかしたのですか?」
「ああ、実はな『クリムゾン・ティガー』と『ランページクラブ』が今夜あたりぶつかるという情報が入ってな。それで、今日は早く来たんだ」
もう、情報は入っているか。流石だ。
「此処を出るのは何時頃ですか?」
「そうだな。……後、四時間後だ。その時に居るメンバーで南地区に行く」
「分かりました。ところで、ウスルとローパンはどうしました? 先程から見えないのですが?」
先程店に出たのを知っているのに、僕は訊ねる。
「あん? あの二人か。あの二人なら、さっきまで其処の席で酒を飲んでいたが」
ガイウスが指差した先には、誰も居なかった。
「うん? おかしいな?」
首を傾げるガイウス。
それを見て、僕は確信した。
あの二人が『ランページクラブ』のスパイと見て間違いないな。
何かあると思って捕まえたけど、判断に間違っていなくて良かった。
これで、安心して南地区に行けるな。
僕達はカウンター席に座る。すると、マスターが僕達の前に来る。
「注文は?」
「ミルクで」
「あたし、ミード」
「わたくしは果実酒を」
そう頼むとマスターは、カーミラさんの分は果実酒を出したけど、僕達は。
「何で、ミルク⁉」
「お前はこっちだ」
何時もの如く。僕達はミルクを飲んだ。
何か締まらないなと思いながら。




