閑話 姉達の策謀
今回は、ミリアリア視点です。
館に戻ったあたしは、リウと別れた。
そして、客間として使われている部屋の前まで来た。
あたしがその部屋のドアをノックした。
『誰だ?』
「あたしだよ」
『よし、入れ』
ドアを開けて、部屋に入ると、ベッドの上ではティナが手を拘束された状態で転がされていた。
実は、リウが館を出るのを見たあたしはティナを捕まえて、フェル姉に預けた。
フェル姉の部屋にはヘル姉が居たが、後の事は二人に任せて、あたしはリウの後を追いかけた。
さっき、リウに言った事はティナにを捕まえた時に簡単に聞いていた。
「お帰りなさい。何か収穫はあった?」
「何にも、あれでここぞという時は、口が堅いからリウは」
「そうね~、ウ~ちゃんは口が堅いのよね」
フェル姉は困ったと言いたげな顔で溜め息を吐いた。
「じゃあ、仕方が無いから、此処はティナに話して貰おうかしら」
「は、はなしって、何を話せばいいんですか? フェル様っ」
「そうね。ウ~ちゃんが何をしようとしているのかを教えてくれればいいのよ」
「あ、あたしも知らないんですってば」
「本当に?」
「はい。本当ですっ」
「もし、嘘をついていたら、足の裏を魔獣に舐めさせるわよ~」
フェル姉は楽しそうに言う。
この姉は、昔から嗜虐趣味だな。特に可愛い子を苛めるのが大好きだ。肉体的にも、精神的にも。
「ひ、ひいいいっ」
ティナが怯えていた。
「フェル。あまり揶揄うな」
ヘル姉がフェル姉を止める。
「ごめんごめん。この子って揶揄うと反応が面白いから、ついね~」
ああ、これが捕食者の笑みか。
そんな笑みを向けられて、ティナはビクビクしていた。
「ほ、ほんとうに知らないんです。今日だって、どうして、あの店に一緒に連れて行かなかったのか知らないんだしっ‼」
「ふぅん。成程ね」
こんなに怯えているところを見ると、本当に知らないようだ。
「正直に言って、リウイが何で、あのチームに入っているのか知らないんですよ。知っているとしたら、リッシュモンドだけですってば⁉」
「う~む。あいつね」
「あの者か……」
「……あいつか~」
あたし達は渋い顔をした。
リウが一番頼みにしている部下であるリッシュモンド。
正直に言って、何で生命亡き王を部下に出来ているの?と思った。
アンデッドの中でも最高位であり、その気になれば国すら亡ぼす事が出来る存在だ。
そんな存在を部下に出来ている時点でおかしい。
リウはそんな存在の奴をすっごい頼りにしている。
あたしは無理だし、多分だけどソアヴィゴ兄貴もイザドラ姉もロゼ姉も無理だろうな。
聞いた話だと、何か『奥地』とかいう所で知り合って、馬が合ってそのまま部下にしたと聞いたけど、普通に有り得ないでしょう。
だって、アンデットって生者を憎む存在だよ。それは魔人族だろうとお構いなし。
リウって、意外に人たらしの才能でもあるのかな?
「う~ん。どうしたものかしら?」
「仕方がない。リウイが教えてくれるまで待つしかないか?」
「そうね。そうしましょうか」
その後は、あたし達はリウがこの都市に来て、何をしたのかティナに色々と訊いた。




