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第75話 不味い、超面倒な人に見つかった

「参加するって、それはどういう意味だ? 副リーダー?」

「簡単に言えば、あれだ。『クリムゾン・ティガー』と『ランページクラブ』二つのチームがぶつかった後で生き残った方のチームを俺達で叩くんだ」

 ガイウスは手の平を拳で叩いた。

「成程」

「戦って、生き残った方を潰す。そうしたら、俺達は南地区のシマは頂きだ」

「で、副リーダー。俺達はどうしたら?」

「出来るだけ、この店に来るようにしてくれ。何時でも、襲撃を仕掛ける事が出来るようにな」

「「「了解ですっ」」」

「今日の報告はこれで、終わりだ。各自好きにしろ。今日、此処に居ない奴には、皆から教えてくれ」

 ガイウスがそう言うと、皆思い思いに好きに行動した。

 僕はちょっと、此処で情報入手する為に、暫くこの店でミルクを飲む事にした。

「これで南地区は俺達のシマになるなっ」

「ああ、これで俺達のチームの人数も増えて、領主の軍にも対抗できるぜ」

 メンバーは思い思いに話をしていた。

 話を聞いた感じだと、ユエのチームを動かすつもりはないようだな。

 その内、ガイウスにでもユエのチームも動かす様に言うか、それとも戦闘が終わった頃に、ユエのチームに強襲させるか。

 さて、どうするべきか。

 そう思いながら、僕はミルクを飲んでいると。

 店のドアが開いた。

 もう閉店時間なのに。どうして開いたんだと思いながら、ドアの方を見る。

「あっ、リウ。見っけ♪」

 げげっ、ミリア姉ちゃん‼


 な、何で、此処にミリア姉ちゃんが居るんだよ⁉

「おっ、ウィルの姉ちゃんじゃねえか」

「今日はお供は居ないようだな」

「おい。ウィル、お前の姉ちゃんがお迎えに来たぞ」

 あれ、この前揉めてなかったっけ?

 何か、当たり良い反応だな。

 そう思いながら、僕はミルクを全て飲み終えると、カウンター席にミルクの代金を置いた。

 ミリア姉ちゃんの前まで来ると、ミリア姉ちゃんは手を伸ばした。

「じゃあ、帰ろ」

 ニコニコしながら、手を伸ばすミリア姉ちゃん。

 僕は渋々、手を伸ばした。

 そして、手を繋ぎながら一緒に店を出た。


 店を出て少し歩くと、ミリア姉ちゃんは足を止めた。

 そして、僕の顔をジッと見る。

「ねぇ、何であの店に行ったの?」

「き、興味本位で」

 無難な事を言って返そう。

 しかし、僕がそう言っても、ミリア姉ちゃんはずいっと顔を近づける。

「本当に?」

 思いっきり疑っている目をしていた。

 正直に言って不味いな。ミリア姉ちゃんは勘が良いから隠し事をしても気付かれる可能性がある。

 とは言っても、此処で話したら。

『よぅし、お姉ちゃんも一肌脱いであげるっ』

 と言って、自慢の獲物を振りかざして『ビアンコ・ピピストレロ』以外のチームを全滅させるだろう。

 チームは壊滅させても、チームメンバーは使えそうなら、僕の部下に引き立てて行こうかなと思っているので、殺されては困る。

「僕もそろそろいい歳だからね。こういう店にも行きたい年頃なんだよ」

「そうなんだ。でも、ティナは連れて行かなくて良いの?」

「ティナが? どうして?」

 何の関係があるんだ?

「だって、二人はまるで夫婦みたいに行動を共にしているし」

「夫婦じゃないから」

「そうなんだ。でもね」

 ミリア姉ちゃんは顔を近づける。

「面白い事をするのなら、お姉ちゃんにも一言声を掛けて欲しいな~」

「何の事?」

「ああ、もうバレているよ。全部」

「はい?」

「最近、二人が夜、一緒に出掛けているって聞いたから、調べたら、何かあの店をたまり場にしているゴロツキ達のチームに入っているそうじゃない」

「な、何の事かな?」

「惚けても無駄。もう、ティナに問い詰めたから、全部知ってるよ」

 むっ。これはブラフか? それとも本当だろうか。

 くそ、こういう時にティナと気軽に連絡出来る方法がないのが恨めしい。

 どうしたものかな。

「まぁ、リウが言いたくないっていうなら、別に良いよ。もう、あたしは全部知っているから」

 此処は下手に何か言うよりも、無言で通した方が良いな。

「むっ、姉に対して何も言わないなんて、生意気ね。そんな子はこうしてやるっ」

 そう言って、ミリア姉ちゃんは僕の頬を引っ張った。

「いはいよ、みひあねえひゃん」

「で、リウはどうやって『プゼルセイレーン』を潰すの? 南地区の二つのチームは近い内に派手に抗争しそうだけど『プゼルセイレーン』を潰せないでしょう。其処の所を教えなさいよっ」

「い、いひゃ」

「むぅ、生意気ね。じゃあ、言うまでこうしてやる」

 そう言って、ミリア姉ちゃんは僕の頬を引っ張り続けた。

 結局。館に帰るまで、僕は何も言わなかった。






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