表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
330/756

第74話 そろそろ動くな

 翌日。


 僕はバシドを『ランページクラブ』が拠点にしている所に向かわせると、案の定、チームは混乱していた。その慌てぶりは、まるで蜘蛛の子を散らすかのようだそうだ。

 これだったら、かなりいけるな。

 僕はその情報を、直ぐに敵対チームの『クリムゾン・ティガー』に流す様に指示した。

 これでどう動くか、見ものだな。

 今夜あたり『プゼルセイレーン』のたまり場になっている店に行って情報収集するか。

 そう思いつつ、僕は書類の山から、一枚書類を取る。

「リッシュモンドが視察に行った所はどうだった?」

「鉱山でしたが、産物と言える物は水晶と魔石ですね」

「水晶と魔石か。それは計画的に採取すれば、どれぐらい採れる」

「調べた限りですと、計画的にやれば数十年採れるといったところだそうです」

「分かった。じゃあ、其処は無理な採掘はしないという事で、水晶と魔石を採るようにしよう」

「畏まりました」

 今日は領主の仕事に専念していた。

 あまり、リッシュモンドに任せていると、しわ寄せが自分に来る事を自覚して、こうして手伝う事位にした。

 とりあえず、夜まで書類仕事で時間を潰せそうだ。

 なので、今日は領主らしく仕事を頑張るぞ。

 そう思いながら、仕事をしていると、ドアの隙間から視線を感じた。

「……どう思う?」

「リウイが、真面目になっただけでは?」

「え~、リウが? 小さい頃から要領よくて、人に仕事を押し付けるのが天才的な子だよ。そんな子が、真面目に仕事するなんて、有り得ないしょ」

「う~ん。これはもしかして、何かの前兆かしら?」

「…あり得るな」

「それって、まずくない?」

「でも、真面目に仕事をしているのに、仕事をしたら駄目というのもどうかと思うわ」

「確かに」

「でもでも、このままじゃあ、何か起こるかもしれないんだよ?」

「困ったわね」

 何かフェル姉さん達が、ドアの隙間から僕の仕事ぶりを見て、色々と言っている。

 そんなに仕事していない訳ではないのだけど。

 まぁ、仕事の邪魔をしないなら好きに言わせておこう。

 姉さん達の事は放っておき、僕は仕事に励んだ。


 その夜。

 

 僕は『プゼルセイレーン』のたまり場になっている店に行く。

 今日はティナを連れて行かず、一人で行く。

 なんで、連れて行かないのかというと、今日は『プゼルセイレーン』はどう動くのか知る為なのと、後は『ランページクラブ』から送り込まれたスパイが誰なのか調べる為だ。

 ティナを連れて行くと目立つので連れて行かない。

 当の本人は渋々だが了承してくれた。

 とは言っても、護衛としてルーティ達は付いて来るのは変わらない。

 僕は姉さん達に見つからない様に、コッソリと館を出た。

 

 館を出て少し歩くと『プゼルセイレーン』がたまり場になっている店の前に着いた。

 店に入ると、今日は客の入りが悪いようで『プゼルセイレーン』の仮メンバーと正メンバー以外の客達は指で数えるぐらいしか居ない。

 メンバーの方は店に入って来た僕に気付くと、手を挙げて挨拶してくれた。

 僕は会釈して、カウンター席に座る。

 すると、マスターが僕の所まで来た。

「注文は?」

「とりあえず、ミルクで」

 僕がそう言うと、マスターはコップにミルクを注いで持って来てくれた。

 それからは、ミルクを飲みながら閉店時間まで、時間を潰した。

 やがて、閉店時間になり、店から客が居なくなる。

 マスターは直ぐに閉店作業に掛かった。

 僕はミルクを飲んでいると、メンバーの一人が声を掛けて来た。

「おう。ウィル。今日はティナは居ないのか?」

「ええ、今日は用事があるとかで」

「そうか。まぁ、今日は一人で寂しいな」

 別にそうは思わないが、此処は苦笑いして誤魔化す。

 そう話している間に、ガイウスが店内を見回した。

「よし、では会議を始める」

 ガイウスがそう言うと、皆思い思いの席に座る。

「知っている奴も居るかもしれないが、北地区にあった『ブルーファルコン』と『クレイジーベア』が壊滅した」

 ガイウスがそう言うと、皆どよめきだした。

「どうして。壊滅したんだ?」

「ガサ入れされたそうだ。それにより、両チームのリーダー格と幹部を含めた構成員は捕まっちまった」

「じゃあ、北地区は?」

「領主の完全支配下になったと考えた方が良いだろう」

「これで、西地区と北地区が領主の完全支配下になっちまったな」

「残るは東地区と、中央区と南地区か」

「そこで、皆に相談がある」

 ガイウスが改まって言うので、皆背筋を伸ばした。

「南地区でにある『ランページクラブ』と『クリムゾン・ティガー』の二つのチームが、近い内に派手な抗争をするという情報が入った。俺達も参加しないか?」

 ガイウスは皆にそう訊ねた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ