第58話 状況確認しなければ
寝落ちしてしまい、更新が遅れました。
今日はもう一本投稿します。
ヘル姉さんに捕まって説教を受けながら、館に帰るという恥ずかしい夜から一夜明けて。
目を覚ました僕は、昨日の事を思い出して、布団にくるまって打ちひしがれていた。
精神年齢三十半ばになっているに、あんな仕打ちを受けるとはっ。
思わず、ベッドを叩いてた。
「ああ、今日は仕事したくねえ~~」
と言っても、殆どの仕事はリッシュモンド達がしてくれるんだけどね。
じゃあ、今日は部屋から出たくないな。
そう思いながら、今日の予定を確認する。
「今日は、……『ブルーファルコン』と『クレイジーベア』の検挙と影響下にある店の強制家宅捜査の報告を受けるだけだったな」
う~ん。じゃあ、成果は聞かないとな。
仕方が無く、僕はベットから降りて、寝間着から服に着替えた。
私室を出た僕は執務室に向かう。
執務室に着くと、リッシュモンドが既に報告書類を持っていた。
「おはようございます」
「ああ」
朝の挨拶をかわして、僕は椅子に座る。
「昨日は何でも愉快な姿でお帰りになったとか」
ぐっ⁉ お前までそれを言うのかいっ。
「その姿を見たメイドと女官達が朝から騒いでいますよ。まるで、親猫に加えられた子猫のようだったと噂していますよ」
「何で、知ってるの⁉」
「リウイ様が帰って来た時間が、官僚達の丁度帰宅時間でしたから」
おおっ、神よ。何という仕打ちをするのですかっ。
それを聞いた途端、何かメイドや女官達に会うのが恥ずかしくなってきた。
館を歩いていると誰かしらに逢うからな。嫌だな。
「それで、昨日の大捕り物の話ですが」
自分から話を振って置いて、もう打ち切るとは、相変わらずの冷徹さというかなんというか。
「昨日の夜『ブルーファルコン』と『クレイジーベア』の拠点に強襲。それにより残っていた両チームメンバーの全員を捕縛に成功しました」
「そうか。これで後で報復とかの問題はないな」
「はい。そして、両チームの拠点には書類があったのですが、どれも借金や何かしらの手段で手に入れた土地の権利書と借用書でした」
「その借用書は正式な物?」
「いえ、全て正式な印を押さされていないので無効でした。その借用書の調査を終えた端から、元の持ち主に返します」
「うん。で、その二つのチームが経営している店もそういう借金で奪った店で経営しているのかな?」
「全てそのようです。ですので、強制家宅捜査並びに接収しました。補修箇所などがあるかを調べている最中です」
「その補修の補填だけど、こっちで払うって事にしてもらえるかな」
「ふむ。分かりました」
借金で店を取られたんだ。店を直したくても、金はないだろう。
二つのチームをのさばらせたのは、こちらの失態だからな。それぐらいなら安い物だ。
「丁度、両チームの拠点には金がありますから、それぐらいの補填をしても釣りが来ますから問題ありません」
「そうか。で、調べておいてくれると頼んだ件は?」
何で『プゼルセイレーン』の仮メンバーであるカインとアルスが『ブルーファルコン』メンバーとして捕まっているのか気になって調べてもらった。
「はい。調べた結果なのですが」
リッシュモンドが書類を、僕の机に置く。
その書類を手に取り見てみた。
「調べた結果。あの二人はどうやら他のチームの動きを探るスパイのようでした」
「スパイか。じゃあ、ガイウスが言っていたのは、この二人か」
ふむ。頼まれた件は、これで完了か? そう思っていると。
「それがその二人の話しを聞いた所、他のチームと言っても、残るはディアーネ殿傘下のチームを含めても四つですが、別のチームのスパイも『プゼルセイレーン』の仮メンバーの中に居る事が分かりました」
「なんだって⁉」
まだ、居るのか。
とはいえ、残るは実質三つだ。
ユエも慎重な性格だからな、同盟を結ぶ相手にスパイを入れる事とかしそうだ。
これも、わたしの身の安全の為だとか言って。
まぁ、用心深いのは良い事だ。
「で、その二人は吐いたのか?」
「それが、その二人もハッキリと分かっているという訳ではないようです」
「? どういう事だ?」
「何でも、『プゼルセイレーン』が溜り場にしている店に向かう途中、偶々『ランページクラブ』の紋章が入った手袋した者が、別の者と路地で話しているを見たそうです」
「その人達の顔は?」
「暗がりで顔までは分からなかったそうです。で、話しを終えると、二人は別れたので、カイン達も別れて後を追ったそうです。手袋の者は途中で気付かれたそうですが、もう一人の方は、その店に入っていくのを確認したそうです。マスターに聞いても誰か分からなかったそうです」
「そうか」
という事は、まだ『プゼルセイレーン』の仮または正式メンバーの中には『ランページクラブ』のスパイが居るという事か。
さて、これはどう報告するべきか、それともしないべきか悩むな。




