第23話 集めた情報を纏めた結果
翌日。
僕達は館に戻ると、一度休んでから報告をしようという事にした。
だって、皆、眠そうだったから。
僕も私室に戻り一休みした。
そして、目を覚まして、執務室に向かう。
部屋に入ったが。誰も居なかった。
「まぁ、当然だな。まだ、誰も呼んでい居ないのだから」
そう呟いて、僕は椅子に座る。
そして、呼び鈴を鳴らす。
鳴らしてから数秒後。
ドアがノックされた。
「入って良いよ」
僕は誰かと確認することなく、部屋に入る事を許可した。
『失礼します』
入って来たのはシャリュだった。
「おはようございます。リウイ様」
「おはよう。早速で悪いのだけど、ティナ達はもう起きているかな?」
僕がそう尋ねると、シャリュは首を横に振る。
「いえ。まだ眠っています。起こしてきましょうか?」
「いや、いい。じゃあ、そうだな。アルトリア、ボノビビ、バイア、ランシュエ、サンゴ、デネボラ、ハダ、アマルティア、カーミラ。今名前をあげた人達で起きている人だけ、この部屋に呼んできてくれる」
「畏まりました」
シャリュは一礼してから、部屋を出て行った。
少しして。
『リウイ様。呼ばれた方々を連れてまいりました』
「入ってくれ」
僕が入るのを許可すると、シャリュが扉を開けて、呼んできてくれた人達を部屋の中に入れる。
「もう、下がって良いよ」
「はっ」
シャリュは部屋を出て行った。
それを確認した僕は、部屋に入れた人達を見る。
居るのは、アルトリア、ハダ、デネボラ、ランシュエ、サンゴ、カーミラさん、アマルティアの計七人か。他の組の人達も居るから情報は入るな。
「アルネブとアルティナは分かるけど、ボノビビさんとバイアさんは?」
ティナ達は一度、眠ると数時間は寝ないと絶対に起きない。
なので、良いのだが。後者の二人は、何で居ないのか分からない。
「御二人は、まだ寝ていました」
「成程。じゃあ、仕方がないな」
起きている人だけ連れてきてと言ったのだから仕方がない。
「とりあえず、今、ここに居る人達だけで、昨日の事を纏めようか」
僕達は昨日、東地区に行って集めた情報を精査する事にした。
「まずは赤組から」
「はい。分かりました」
ランシュエが前に出る。
「わたし達が集めた情報によりますと、どうも北区よりの地域では、北区にあるチームと度々抗争が勃発しているそうです」
「何処のチームか分かる?」
「そこまでは」
「そうか。他に、何あるかな?」
「他ですと、東地区で一番大きい商会は『鳳凰商会』ぐらいですかね」
成程。北区よりはチーム抗争が激しいと。
「次は黄色組」
「「…………」」
何か、アマルティアとカーミラさんが睨み合っているのだけど。
どっちでも良いから報告してくれないかな。
「……いくわよ」
「ええ、何時でもいいですよ」
そう言って、二人は僕を見る。
僕は持っているコインをトスした。
空中で何回転かして、僕の手の甲に落ちる。
直ぐに手で隠す。
「じゃあ、表か裏どっちにする?」
僕がそう尋ねると、二人は考えている。
二人が何時までも睨み合いをしそうだったので、僕は二人にコイントスで決めようと言った。
そして、二人はどう答えるか考えている。
「……表」
「裏」
アマルティアは表、カーミラさんは裏か。
「じゃあ、オープン」
僕は手を退けると、コインは裏だった。
「……ふっ。ワタクシの勝ちね」
勝ち誇った顔をするカーミラさん。
「くっ、くうううっ」
悔しがるアマルティア。
そんなに悔しいかな?
「じゃあ、報告してくれるかな」
「ええ、良いわよ」
カーミラさんが前に出た。
「ワタクシ達が調べたところだと、どうも南区寄りの所は静かな所だそうよ」
「静かな所?」
「ええ、南地区のチームが東地区に来る事はないから静かだと、住民が言っていたわよ」
南地区のチームは確か『クリムゾン・ティガー』と『ランページクラブ』だったな。
あの二チームって、南地区の縄張り争いで、他の地区にちょっかいかける余裕はないのかな。
北区も二チームあるけど、あそこは確か同盟を組んでいるから、他の地区に攻め込める余裕はあるのだろうな。
「成程ね。ありがとうね」
「これぐらい。簡単な事よ」
報告を終えたカーミラさんは胸を張る。
「で、僕達。青組の報告だけど」
とりあえず、昨日入った酒場で訊いた話を皆に話す。
話し終えると。ランシュエが話し出す。
「話しを統合しますと、北地区よりの所は抗争が激しいようですが。南地区よりだと抗争がないようですね。更に東地区で一番大きいのは『鳳凰商会』という事ですね」
「そうなるね」
「東地区には『ビアンコ・ピピストレロ』というチームが居ましたね」
「ああ、ガイウスが言っていた何もかも謎のチーム」
東地区に入って調べても『ビアンコ・ピピストレロ』の情報は全く入らなかった。
「このチームについて調べる様にと、その副リーダーに言われたんでしょう」
「そうなんだけど、今だに何処に居るのか分からないからな」
「だったら、良い考えがありますよ」
「ほぅ、それは」
僕はランシュエの話を聞いた。
「それも悪くないな」
「確かに」
この場に居る皆、良い意見とばかりに頷いた。
ここに居ない人達も、武闘派だから大丈夫だろう。
「じゃあ、その案で行こう。実行は今夜で良いかな?」
「ええ、こういうのは早くした方が良いと思います」
「よし、じゃあ。今夜、エントランスホールに集合で」
「承知しました」
皆、一礼して部屋から出て行った。
僕は皆が出て行くのを見送ってから、ふと思った。
「あっ、ここに居ない人にはどうやって伝えよう」
ティナとアルネブは良いのだけど、ボノビビさんとバイアさんはどうしようか。
どうしたものかと考えていると。
ドアがノックされた。
「誰かな?」
『シャリュです。お茶をお持ちいたしました』
「ああ、どうぞ」
『失礼します』
そう言って、シャリュが部屋に入って来た。
シャリュが僕の前に茶を奥のを見て、一つ思い出した
「ああ、そうだ。シャリュ」
「はい。何でしょうか」
「ボノビビさんとバイアさんと親しかったよね?」
何でも飲み友達とか何とか言っていたな。
「ええ、そうですが」
「なら、良かった。二人に言付けを頼めるかな」
「畏まりました。で、どのような言付けを?」
「今夜、エントランスホールに集合っとだけ伝えてくれ」
「分かりました。では、早速」
シャリュが部屋から出て行く。これで大丈夫だ。
後は夜まで待つだけか。




