第96話 アイゼンブルート族の住処に着いたけど
僕達はアイゼンブルート族の住処に向かっている。
とは言え、それなりに距離があったので結構歩いたな。
そうして目的地に着いたのだけど。
「・・・・・・ここで合っているんだよね?」
「ハイ。ソノ通リデス」
カーアインスがそう答えるので、改めてアイゼンブルート族の住処である『ティーガー・スシャンツエ』の前に着いたのだけど。
周りは樹海なのに、何故かここだけ近未来的な建物だ。
何かの金属の建材で出来た建物。
しかも武装もされている。大砲に、銃座まであるな。
何処かの要塞みたいだ。
その内、何か超巨大な列車砲みたいな物が出てきそうだ。
「デハ、ゴ案内シマス」
カーアインスが先頭に立って案内役をしてくれた。
そして、この建物の前まで進むと扉が開いた。
横にしかも自動で。
ああ、この動きを見ていると、何か自動ドアを思い出すな。
「ドウカシマシタカ?」
「いや、別に」
ちょっと感動していたら、僕はカーアインスの後に続いたのだが、何故かその後が続かない。
どうしてだろうと振り返ると、アリアン達は驚愕の表情を浮かべていた。
「どうかしたの?」
「あ、あの、どうして、扉が勝手に開いたり閉まったりするのですか?」
「? 魔力か何か力を動力にして動いているんだよ」
「そ、そうなのですか?」
何で、皆そんなに驚くんだろう?
ただ扉が自動に開いたり閉まったりしているだけなのに。
僕は首を傾げる。
「とって喰われる事はないんだから、大丈夫だよ」
と言っても、四人は入る気配がなかった。
しかし、何時までも此処にいても仕方が無いと思ったのだろう。ルーティさんが意を決して、足を踏み出す。
だが、扉が開く音がすると。
「ひぃっ⁉」
悲鳴をあげて飛び上がる。
水を掛けられた猫のみたいな事をするな。
そんなに怖いかな。
その後は四人を説得して、皆この建物に中に入ってくれた。
「デハ、行キマショウカ」
僕達は歩き出した。
歩く途中で、アーヌルやカーアインスの同型の人(?)も居れば、別の型をした人もいた。
「話には聞いていたけど、結構種類が多いんだね」
「ソノ通リデス」
この建物って意外に広いのかな。
そう思いながら歩いていると、前方から何か赤く塗装された姿は、某決闘カードゲームに出てくる若社長に反逆した五人の部下が選んだ機械族の軍曹に似ているな。
つばの広い帽子。赤い肩当て。胸の所で斜めになる様に掛けている金糸。
とても重厚感がある姿だ。
「良ク来られタ。わたしハ、ジェネラルゼーリエが一機。トゥープヴェーアハトだ」
ふ~ん。ジェネラルになると、言葉遣いが所々カタコトになる程度なのか。
こういう風に製造されているのか、それともタイプによって違うのか気になるな。
まぁ、今はそれよりもここの部族長と話しをするのが先か。
「ここの族長のケニギンという方に会いたいのですが」
「ケニギンアーヌル様は準備しておられるので、少々お待ちして頂きたい」
まぁ、前もって先駆けの使者を出さないで来たのだから、待たされるのは仕方が無いな。
「うン? ・・・・・・了解しタ。御客人、オ待たセした。ケニギンアーヌル様の準備が整ッたそうダ。案内すル」
早いな!
言って数秒も経ってないんじゃないのかっ。
そうツッコミたいのを我慢して、僕はトゥープヴェーアハトの後に続く。