第91話 事情を聞きました
巨人族の人達が眠ったので、まずしたのは、給仕をしているビクインさん達の確認だ。
まぁ、巨人族ではないのだから、別の種族なのは確かだ。
ビクインさんは眠りだした巨人族の人達を見て、困惑していた。
「あら? これは、いったい?」
「ビッキー⁉」
アンビアさんが、ビクインと思われる人に声を掛けると、呼ばれた人は声がした方を向いた。
「あら。アンちゃんじゃない。どうしてここに?」
「それは、こっちが言うセリフだっ」
アンビアさんはビクインさんと話し出す。
うん。仲が良さそうだな。
二人の言い合いを見ながら、僕達は巨人族を拘束していく。
そうして数時間後。
「ふぅ」
巨人という事で、拘束にするのに時間が掛かったけど。
「この住処にいる巨人の拘束を完了しましたっ」
護衛の人が敬礼しながら告げる。
いやぁ、身体が大きかったから疲れたな。
「で、捕縛したのは良いけどよ」
牢屋から出て来たスピービーさんは話しかけてきた。
「こいつら、どうするんだ?」
「とりあえず、起きたら交渉しようかと」
「交渉だ~、こいつらにそんな事が出来る頭を持っていると思うのか?」
「まぁ、やってみてからでも」
「出来る訳ねえだろうがっ。今の内に、痛めつけておいた方が良いに決まってるぜっ」
スピービーさんが拳を鳴らす。
まずいな。捕まった事で頭に血が上っているようだ。
ここは宥めないと。
「もう、駄目よ」
ビクインさんが、スピービーさんの頭を叩く。
「あ、あねき?」
スピービーさんは頭を叩かれたが、そんなに力を込められてなかったようで、痛みはなかったようだが、いきなり叩かれた事で驚いていた。
「話がしたいって言うのに、邪魔したら駄目よ」
「でもよ。姉貴」
「部族会議で決まった事で文句言わないの」
ビクインさんそう言われて、スピービーさんは大人しくなった。
どうやら、スピービーさんは姉に頭があがらないようだ。
「ところで、こちらの方は?」
「ああ、魔国の使者でリウイっていう奴だよ」
「ふ~ん。そうなの」
ビクインさんが赤い目で僕を見る。
「……何か、可愛いわね」
そう言って、僕の頭を撫でる。
「あの、聞いても良いですか?」
「うん? 何かしら?」
「どうして、ここに居たのですか?」
「ああ、それはね」
ビクインさんは頬杖つきながら話す。
「娘達と一緒に蜜を作る為の、液体を集めていたのだけど、途中から娘達が迷子になったようなの」
「……そ、それで?」
「娘達を探していたら、巨人族の人達にあったの」
それで捕まったのか。
「事情を話したら、探すのを手伝ってくれたのよ」
「えっ⁉」
「それで探したのだけど、見つからなくて疲れたから、一度巨人族の住処で休もうと思ったのよ」
「そ、それで、どうして給仕をしていたのですか?」
「娘達を探すのに手伝ってくれたのだから、それぐらいはしてあげようと思ったのよ」
「「「………………」」」
僕達は言葉を失った。
ビクインさんの話しを聞いて、話を纏めると。
娘達と一緒に蜜を作る為の液体を集めていたけど、途中で娘達とはぐれてしまい、探していたら巨人族の人達に事情を話して手伝ってもらい、疲れたので住処で休み、疲れがとれたので手伝ったお礼に、巨人族の宴の給仕をしていたと。
話を聞いて思ったのが、話を聞いても、どうしてそうなったかさっぱり分からん!
とりあえず、巨人族の話を聞くとしようか。
起きるまでは、ここで待っているか。




