第64話 目覚めると
小鳥の囀りが聞こえてきた。
どうやら、朝が来たようだな。
うん? 何か、温かいのだけど何でだろう?
それに何かに抱き締められているような、後柔らかい感触を感じるぞ。
抱き枕を抱いて寝た覚えは無いぞ。
とりあえず、目を開けてみるか。
「うん、・・・・・・んん・・・・・・、んんん?」
目を開けてこすってみたら、何故かカーミラさんが僕を抱き締めながら眠っていた。
何と言う事でしょう! 寝る前は僕以外誰も居なかったのに、朝目覚めると、隣には絶世の美女が寝ています。
「・・・・・・うん、夢だな。これは」
僕は現実逃避して、眠る事にした。
眠っている間に、解決すると思う。多分、というかして下さい。お願いします!
そうして、目をつぶろうとしたら。
コンコン。
『リウイ様。起きていますか?』
この声はアマルティアだ。
まずい。非常に不味い状況だ!
例えで言うなら、銃口を突き付けれて避ける事が出来ない状況だ。
寝ているフリをしても駄目かもしれない。
ど、どうしよう⁉
『リウイ様?』
まずい。返事をしたら、多分、カーミラさんが起きるぞ。
でも、返事がしなかったらアマルティアが来るかもしれない。
どうしようどうしようっ⁉
『リウイ様、入りますよ』
そう言ってドアノブが回りだした。
や、やばい⁉
そして、どうしようもないままドアが開いた。
「おはようございます。リウイ・・・・・・様? ‥‥‥」
ドアを開けたアマルティアは、ベッドで横になっている僕とカーミラさんを見て絶句していた。
ま、まずい。何か、言わなければ。
この状況にあった言葉を!
「……おはよう…………」
考えて出た言葉は、それかい⁉
ああ、頭を叩きたい!
「……………」
顔を引きつらせるアマルティア。
どうしたものかなと考えていると。
「ん、ん~、もう、朝のようね……」
カーミラさんが起きて、身体を伸ばした。
目を開けて僕を見るなり、頬にキスしてきた。
「おはよう、リウイ」
……。
…………。
………………。
えっ? 何で起きて直ぐに頬にキスされたのだろう?
訳が分からない。
誰か、この状況を説明してくれ。
「こら、ワタクシが朝の挨拶をしたのだから、貴方も挨拶しなさい」
「あっ、はい。おはようございます」
そう言われて、僕は頭を下げた。
「って、じゃなくて⁉ 何で、僕の部屋にカーミラさんが居るんですか⁉」
ちゃんと鍵かけたのにっ。
というか、今普通に思ったけど、アマルティアはどうやって鍵を開けたんだ⁉
「別に良いでしょう。ワタクシと貴方の仲なのだから」
カーミラさんは僕を抱き締めて、頬ずりしてきた。
ちょっ、一夜明けた途端、どうしてこんなに親密になるんですか?
というか、む、胸が当たっている。
「うふふ、可愛い」
カーミラさんは顔を赤くする僕を見て微笑みながら、頬を突っつく。
そんな事をしていたら、突然首を横に動かした。
すると、カーミラさん顔があった所に凄いスピードで何かが通り過ぎた。耳にヒュンっという音を立てて通り過ぎたそれは、壁に突き刺さった。
僕は振り返り、壁に突き刺さった物を見た。それは、短刀みたいだった。
誰が投げたかは直ぐに分かった。
顔を元の位置に戻すと、そこには短刀を投げた人物アマルティアが居た。
「……朝から、イチャつくなんて、は、ハレンチです!」
何故か、顔を赤らめて怒り出すアマルティア。
ああ、何かこういう場面、前世でよく見たな。
僕が寝ていたら、何時の間にかユエが寝ていて、そうしたらマイちゃんが来て一悶着。
こういった事は転生しても起こるんだな。
そう現実逃避している僕の前では、カーミラさんとアマルティアが戦闘していた。