表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/756

第62話 現状の把握

 新年あけましておめでとうございます。

 今年も本作をよろしくお願いします。

  案内の人に連れられて、僕達は客間に案内された。

 僕達はそこで腰を下ろした。

「何もする事はないし、僕達の現状でも確認しようか」

「それは良いと思います」

 アリアンは賛成したが、立っているアマルティアは少し考えている。

「どうかしたか?」

「盗聴とか大丈夫でしょうか?」

「多分、大丈夫だろう。それに訊かれても問題ないから」

「・・・・・・なら、良いですね」

 アマルティアは僕の隣に座る。

 一応言うが、この客間は長方形のテーブルを囲むように、三人掛けソファーが四つある。

 僕の対面にアリアンが座るのは分かるけど、何故、アマルティアは僕の隣に座るのだろうか?

 う~ん。分からないが、まぁ、良いだろう。

 そんな事よりも、現状把握だ。

「ここは吸血鬼達の領土の中心にある都と考えた方が良いよな」

「そうですね。そして、その吸血鬼の王が魔国の従属を前向きに考えている状態です」

「前向きと言うよりも、もう決まったようなものではないでしょうか」

「まだ、正式に調印された訳じゃあないから、確定をそう決めるのは早計だ」

 あの公王様の心は決まっているかもしれないけど、側近が公王と同じ考えとは限らない。

 その側近が邪魔するかもしれないし、下手をしたら公王を殺して新しい吸血鬼の王を立てるかもしれない。

 まぁ、その可能性はないと思うけど、一応考慮はしておこう。

「で、それは良いとして、この樹海には報告よりも多くの勢力が居ると思った方が良いな」

「そうですね。鎧を着た巨人が、リウイ様が連れてきたアイゼンブルート族で、他はアラクネ、ダークエルフ、吸血鬼だけでしたが、ル・ボンさんの話だとデュラハン、人獅子、昆虫人、巨人族、最後に天人族でしたね」

「これだけ居るという事は、話をしに行くのも一苦労だろうな」

「それぞれの部族の族長に会いに行く事を手間を考えると、時間も掛かりますね」

「だよな」

 それを考えると、正直溜め息が出そうだった。

 せめて、この吸血鬼が何処かの部族と同盟を結んでくれたら、その縁で少しは楽になるのだけど、そんな話をしなかった所為か、現状では分からない。

「そこの所を考えて、この調印が終わったら、次はどこの種族の所に行くべきだと思う?」

 僕は二人に訊ねた。

「そうですね。わたしは吸血鬼と親しい部族の所に行くべきだと思います」

「根拠は」

「まずは吸血鬼の縁で話を持ちかける事が出来ます。それに乗れば良し、乗らなければ別の部族の所に行けばいいでしょう」

「・・・・・・全ての部族を回ったらどうする?」

「話に乗った部族にも説得してもらい、樹海全ての部族を魔国に従属させるのです」

「成程。良い手ではあるな」

 悪く無い手だ。問題は。

「どれだけ、魔国の支配下にはいるかだな」

「現状では吸血鬼が入るようですので、残るは八つか」

「アイゼンブルート族には、アーヌル達に話しをつけてもらいましょう」

「出来るかな?」

 どうも、話を聞いた限りだとアイゼンブルート族はカースト制度みたいなものがあるようだ。

 聞いた話だと、十三種類いるそうだ。ゾルダ、ヘクセン、パンツァー、シルト、イェーガー、シュッツエ、リッター、ビッショッフ、ランツェ、ジネラール、フリューゲル、マーリナ最後にケンプファの全部で十三種類おり、それぞれの種類にも特徴があるそうだ。

 流石に、特徴までは分からなかったが、まぁ、沢山居るという事が分かれば良い。

 問題は話が通じるかだな。

 アーヌルの階級だと、精々上の階級に物に話し通せるくらいらしい。

 話しを聞いた限りの階級はこうだ。


                ジネラール

           

             リッター  ビッショッフ

               

          ケンプファ パンツァー イエーガー ヘクセン


       ゾルダ  シルト シャッツエ ランツェ マーリナ フリューゲル 


更に面倒なのは、この階級に含まれない上位存在でケ二ギンと言われる女王階級ととカルディナルと言われる枢機卿階級まであるそうだ。

 正直、その話を聞いていて頭が痛くなりそうだった。

 誰だよ。こんな面倒な種族を創造したのは。

 と、愚痴っても仕方が無いか。

「まぁ、話せるだけでも良しとするか」

「そうですね」

「アマルティアはどんな考えだ?」

「わたしは、吸血鬼と最も険悪な部族の所に行くべきだと思います」

「根拠は?」

「仲たがいしている部族同士を仲介して、同盟又は交流を深めさせる。そうすれば、自主的に魔国に従う部族も出てくると思います」

「自主的にか・・・・・・」

 アマルティアが言う方法も悪くない。

 さて、どの手で行くべきか、考え時だな。

 コンコン。

 そんな事を考えていると、ドアがノックされた。

「誰だ?」

『ル・ボンです。入っても宜しいかな?』

「どうぞ」

『失礼する』

 そう言って部屋に入って来たのは、ル。ボンさんだけではなく、娘のカーミラさんも一緒だった。

 アリアンが席を立ち僕の右斜めのソファーに座り、ル・ボンさん達は僕の対面の所に座る。

「何の用でしょうか?」

「うむ。実は、リウイ殿は我らが魔国に従属する旨の調印を済ませたら、別の部族の所に向かうのであろう?」

「まぁ、そのつもりですね」

「であれば」

 ル・ボンさんは隣にいるカーミラさんを見た。

「どうか、娘を連れて行ってくれないだろうか?」

 何ですと?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ