第53話 これで、行ける!
『成程。話しは分かった』
「という訳で、貴方の背中に乗せてくれませんか?」
アリアンは話しを終えると、そう言ってきた。
このガメ、じゃなかった霊亀は僕達を見る。
『特に問題はない。別に構わん』
やった。これで向こうの領地に行ける!
『だが、その前に訊きたい事がある。___よ』
「何ですか?」
「そこの男の子と、お主に妙な繋がりが見えるが。契約でも交わしたのか?』
霊亀には僕達との契約が見えるのかな?
「そうです。わたしはこのリウイ様と契約を交わしています」
別に隠す事でもないのか、アリアンはあっさりと認めた。
『そうか』
霊亀は僕を見る。
『・・・・・・・・・』
霊亀は何も言わず、僕を見る。
それだけなのに、何故か背中に冷や汗が出る。
『ふむ。面白い魂を持っているな』
面白い魂?
どういう意味だ?
『まぁ、良い。それで向こう岸まで送れば良いのだな?』
「はい。それでお願いしますっ」
僕は頭を下げる。
『ふむ。謙虚な人柄のようだな。そこに居るアイゼンブルート族の者達と一緒に背に乗せれば良いのだな』
「アーヌル達の種族を知っているの?」
『うむ。これから其方が向かう領地にある土地。先住民族達からは『奥地』と言われる所で、その者達と同じ種族が居るのを見たからな』
これは、驚いた。アーヌル達の種族がこれから向かう『奥地』に存在しているのか。
そう言えば、エアレーの話しで『奥地』に居る種族で鎧を着た巨人が居るって言っていたな。
もしかして、それがアイゼンブルート族が居るという事か。
これは上手くいけば、アイゼンブルート族を全て僕の傘下に入れる事が出来るのかも。
そう思っていると、霊亀が浮かび上がってきた。
これは本当に想像を絶する大きさだ。
百階建ての建物を思わせる程の大きさだ。言葉を失いそうだ。
背中に島や山を背負うほどの大きさだと本に書いてあったけど、本当にそれぐらいありそうだ。
『では、わたしの頭に乗って首を伝って、背中に乗るが良い』
そう言って、頭をもたげて、僕達を乗せる様にしてくれた。
「では、参りましょうか。マスター」
アリアンはそう言って、僕の手を掴み跳んだ。
そして、見事霊亀の頭の乗った。
「デハ、我ラモ」
アーヌル達も僕の後に続いて跳んだ。
ある程度の数が頭に乗ると、そのまま進み首を伝って、背中に乗れた。
その背中は大きいだけで、島などは山などは背負ってない。
でも、これだけの大きさだったら、後数万人乗せても問題ないな。
僕達が全員、霊亀の背中に乗る。すると、霊亀は首を曲げて僕達を見た。
『全員背中に乗ったな? では、参るぞ』
そう言って、霊亀は進みだした。
目指すは向こう岸。岸に着いたら、エアレーに連絡いれようっと。