第52話 これは驚いた。この世界には、あの生物がいるとは
準備を終えた僕とアリアンは、まずアーヌル達の所に向かった。
そして、アーヌル達に向こうの領地に行くので付いて来てほしい旨を伝えると、アーヌル達は直ぐに承諾してくれた。
アーヌルは部下達を直ぐに招集してくれた。
それほど時間が掛からずに、部下達が集まった。
ふむ。こうして見ると、部下達の方はアーヌルと若干造りが違うようだ。
単眼のも居れば、アーヌルと同じ目の形をしているのも居る。
全て身体の作りは、ほぼ同じだが、顔? が違うようだ。
「これで全機?」
「ヤー。マインヘル」
アーヌルが自分の胸を叩きながら頭を下げる。
その後ろにはアーヌルと違うタイプでゾルダートゼーリエというらしい。
僕はアーヌル達の前に立ち、声をあげる。
「これより、僕達は『清海』へと向かう。全機、僕の護衛としてついて参れ」
偉そうに命令する。
「「「ヤー。マインヘル」」」
誰も反論も理由を尋ねる事もせず、返事した。
そして、僕は普段から騎乗している魔獣に乗る。後ろにはアリアンが乗った。
「では、失礼します」
そう言って、僕の腰に手を回す。それにより、アリアンのスレンダーだが、出ている所は出て引っ込んでいる所は引っ込んでいるという体型の女性の象徴と言える物が、僕の背中に当たる。
叫びそうになるのを唇を噛んで抑える。
ティナを後ろに乗せる事はあっても、このような感触は味わう事はない。
アリアンの後ろに乗せるのは始めただけど、こんな感じだったとはビックリだよ‼
「? どうかしましたか? マスター」
「い、いや、何でもないっ」
僕は手綱を操り、出発させた。
その後をアーヌル達が着いてきた。
何度か休憩を挟みながら、僕達は『清海』に着いた。
ちなみに休憩を取ったのは、僕と魔獣を休ませる為だ。
アリアンは疲れた様子はなく、アーヌル達の方は疲れる事がない。
機械生命体だからだろう。
どうやって活動するエネルギーを得ているのだろうと思い訊いてみたら。
「我々ノエネルギーハ、光合成又ハ魔石デ得ラレマス」
光合成と魔石か。
しかも、魔石はどんな魔石でも問題ないらしいし、別に魔石を得られなくても、光合成したら問題ないらしい。
見た目に反して、エコロジーだな。
だが、それはこのケンプファとゾルダートゼーリエだけらしい。
他のリッターとかシュッツエとかビッショフというゼーリエは、空気中の魔力を吸収するらしい。
そこで僕はアーヌル達は全部で何種類いるのか訊いてみた。
『我ガ種族ハ全部デ十三種類ホドオリマス」
結構いるな。その説明は今度訊くことにしよう。
僕達が『清海』に着くと、後ろに乗せているアリアンに訊ねた。
「アリアン。どんな方法でその知り合いを呼ぶんだい?」
「少々、お待ちください」
そう言って、アリアンは魔獣から降りて『清海』に近付く。
アリアンはその水辺来るとしゃがみ込み、水面に手を置いた。
置いた事で、水面に波紋が出来る。
「・・・・・・・・・・・」
アリアンは目をつぶると、手からいくつも波紋が生まれた。
「・・・・・・これぐらいでいいでしょう」
アリアンは立ち上がり、僕の所まで来た。
「あれで通じたの?」
「ええ、少ししたら来るでしょう」
「そうか」
なら、少し待つか。
「ああ、そう言えば。その知り合いの魔獣って、どんな魔獣なんだ?」
「そうですね。簡単に言えば、亀の魔獣ですね」
「亀?」
塩水湖と言っても、海亀はないな。他の亀の見た目をしている魔獣だろうな。
ゾウガメか、ワニガメみたいなものと考えた方が良いな。
出来れば、僕達全員を乗せるぐらいに大きいサイズの魔獣だと嬉しいな。
そう思って居ると『清海』の水面に波紋が出来た。
どんな魔獣が上がって来るだろうと思いつつ待つ。
期待しながら待っていたら、水面から顔が出てきた。
顔は亀だった。
下顎の両端から上に伸びる大きい一対の牙がある事以外は変な所はない亀の顔だ。
だが、予想外なのは大きさだった。
「で、で、でっか~~~~~~~~~‼」
思わず叫びました。
何せ、アーヌル達よりも更に大きい顔しているのだ。
顔だけで、十メートルぐらいあるんじゃないのか?
そして、思った。この生物はもしかして。
「ガ、ガ〇ラ⁉」
大きいし亀だから、そう思いました。
「? 何ですか。その〇メラとは? この者は霊亀という魔獣ですよ」
「霊亀? 四霊の一つじゃないか⁉」
想像を絶する巨体と書かれていたけど、まさかこんなに大きいとは。
やっば、アリアンの交友関係を舐めてたかも。
その霊亀が僕達に目を向ける。
『久しぶりだな。___」
霊亀はアリアンを見ながら声を掛ける。
名前の所は恐らく真名を言ったのだろう。聞き取れないのはそういう風に魔力を込めたのか、それとも真名自体に知らない人には聞き取れないようになっているのか。
そこの所は分からないが、帰ったらメルビ―ナ先生に訊いてみよう。
「貴方も元気そうですね」
『うむ。それで、何用だ?』
「実は」
アリアンは呼び出した事情を話し出す。
ゴジラも好きですが、自分はガメラも好きです。