第39話 執務していると、襲撃を受けた。
豆腐を作った端から、母さんに食われて行き、更にフェル姉、ティナ、ソフィーも何時の間にか食べる側に加わっていた。
結局、にがりが無くなるまで作らされた。
四人が満足する頃には、豆腐はほぼ無かった。
これでは、角に頭をぶつける事すらできないじゃないか。
そう文句を言いたい気持ちを、ぐっと抑えて、僕は朝食を食べた。
はぁ、久しぶりに豆腐を食べたかったな。
そう思いながら、朝食を食べ終えると、直ぐに執務室に向かう。
いや、この場合は執務室に戻るが正しいかな。
兎も角、僕は執務室に行くと、ソフィーとレイモンドさんが居た。
部屋に入った僕を見て一礼してくれた。
「おはようございます。領主様」
「おはよう」
ソフィーは先程あったので、一礼だけした。
僕は椅子に座ると、レイモンドさんもソフィーも襟を正す。
「じゃあ、今日の執務を」
ゴンゴン!
激しいノック音が響く。
そして、まだ入れとも言ってなのに入ってきた。
顔を見ると、この都市の官僚のようだ。
「騒々しいぞ。何事だ!」
「はっ、も、申し訳ありません。火急の事態により、慌てて」
「火急の事態?」
「はい。先程、近くの村に十二氏族の一つ『イシメオン』族の襲撃を受けたと報告が入りました!」
それを聞いて、僕は頭を掻いた。
まだ、この領地に来て日が浅いのに、もう襲撃仕掛けてくるとか、余程血の気が多いのか、僕が来た事を知らないのか、どちらだろうか。
前者だったら捕まえて、話をするように場を設けるか、後者だったら、僕が来た事を教えれば良いな。
「・・・・・・ふむ。ソフィー」
「はい。リウイ様」
「フェル姉をここに連れてきて、軍が必要だから」
「畏まりました」
ソフィーは部屋を出て行くと見送り、僕はレイモンドさんに声を掛ける。
「レイモンド。この都市の兵はどれくらい居る?」
「歩兵が千。騎兵が三百。弓兵が二百。魔導士が百。後はゴーレムが五百といった所です」
「兵士達の編成は分かったけど、ゴーレムって何のゴーレム?」
木を使ったウッドゴーレムとか、土を使ったアースゴーレムとか、鉄を使ったアイアンゴーレムとか色々あるからな。
「系統で言えば、アイアンゴーレムになります」
「? 系統?」
どういう意味だ?
「見ればどんなのか分かります」
「そうか。じゃあ」
「リウイ様。フェル様をお連れしました」
「ウ~ちゃん。話は聞いたわよ。十二氏族が襲撃してきたって」
「そうなんだ。フェル姉には、村の救援に行ってもらいたいのだけど、少し待って」
「ええ、良いわよ」
「レイモンド。そのアイアンゴーレムが置いてある所に案内しろ」
「畏まりました。ご案内いたします」
「フェル姉も付いて来て、ソフィーは兵士達に都市の防衛準備させて」
「畏まりました」
ソフィーに命令し、僕達は執務室を出た。