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第33話 都市に入ります。

 領内に入った僕達は、途中一休みして直ぐに『オウエ』に唯一ある都市『カオンジ』に着いた。

「・・・・・・丘の上にあるんだ」

 ゆるやかな小山の地形に合わせて建物が建てられているようだ。

「標高はどれくらいだろう?」

「調べていないので分かりませんが、それほど高くないと思われます」

「そうなんだ。ソフィー、都市の前で少し待った方がいいよね」

「はい。既に先ぶれは出していますので、都市の入り口前に居れば、都市を預かる者が出てくると思われます」

「分かった」

 僕達は都市の入り口に着くと、少し待つ事にした。

 そうして待っていると、綺麗な服を着た人達が馬の魔獣に乗ってやってきた。

 その中で一番、歳が上の人が僕の前まで来て跪いた。

「ようこそ。お越しくださいました。王子殿下」

 王子殿下か。皆して、僕の事は、リウイかリウイ様と呼ぶから、王子と言われる事がないから、ちょっと新鮮だ。

「ああ、貴方は?」

「これは失礼いたしました。わたしはこのカオンジで執政官をしております。名をレイモンドと申します」

 見た所、三十代ぐらいにしか見えない男性だ。

 でも、魔人族らしく角がある。

「出迎えご苦労である。では、早速だが領主の館に案内してもらおう」

 僕がそう言うと、レイモンド立ち上がった。

「では、ご案内したします」

 レイモンドは立ち上がり、馬の魔獣に跨った。

 じゃあ、僕も魔獣に乗るか。

 僕はここまで乗ってきた魔獣に跨ろうとしたら。

「マスター」

 声を掛けられたので、振り向くとそこにはアリアンが居た。

「なに? アリアン」

「マスターは何故、わたしに乗ろうとしないのでしょうか?」

 それほど大きくない声だが、レイモンドさん達は近かったので、その発言を聞いて驚愕していた。

「・・・・・・・・・」

「え、えっ、いや、これには訳があるんですっ」

 絶対、勘違いしている。

 このままだと、僕は女性に馬乗りしている変態だと思われるじゃないか⁉

 僕は違うと言おうとしたら、フェル姉が茶々を入れる。

「ウ~ちゃん、いつから、そんな遊びを覚えたの⁉ お姉ちゃんビックリよっ」

 って、アリアンが魔獣だって知っているのに、何でそんな事を言うの⁉

 ああ、よく見たら顔が笑っているじゃないか!

 これは僕を揶揄っているなっ。

「ちょっと、フェル姉。嘘はつかないでよ!」

 このままだと変態領主だと思われる。それは、何としても避けないとっ。

「リウイ」

「母さん、なに?」

「・・・・・・自分の女だからと言っても、何でもしていいと言う訳ではないのだぞ」

 母さん⁉ 何か真面目に説教してない⁉

 しかも、前にアリアンの事を紹介したよね? 忘れたの?

「・・・・・・お、王子殿下がいかなる趣味を持つのは、個人の自由ですが、出来ればそのような行為は人目につかない所でしていただけないでしょうかっ」

 レイモンドさんが、懐からハンカチを出して汗を拭きながら言ってるうううっ⁉

 もう完璧、変態領主だと思われたあああああっ⁉

 レイモンドさんと随伴した人達も、僕を危ない人を見る目で僕を見ているしっ‼

「あ、あのっ」

「ささ、早く参りましょうぞ。出来れば、ここに来るまで乗ってきた魔獣か馬車に乗っていただけると助かりますっ」

 ああ、もう駄目だ。これは。

 ここに来て早々、なんて日だ。

 領主としての仕事をする前に、僕の心はズタボロだよ。







 

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