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第31話 よし、準備をしよう。

 僕が領主に任命された後は、兄さん達も自分が望んだ領地を言って、領主になれた。

 だが、前もって言っていた通り、フェル姉さんは領地の件は辞退した。

 本当に良いのかなと思いつつも、本人も別に何とも思っていないようなので、僕からは何も言わなかった。

 それよりも、問題なのは母さんの方だった。

 僕の任命が終ると、父さんに一言も言わず謁見の間を出て行った。

 流石に無礼だろうと思い、父さんは何か言うかと思っていた。

 しかし、思いとは裏腹に父さんは母さんが出て行くのを見て、ほっとしていた。

 それでいいのか魔王と思うが、夫婦喧嘩をしたらどっちが勝つと思うと聞かれたら、僕は即答で母さんと答える。

 何せ、一度母さんの実力を見ていて更にどれだけ凄いのか話を聞いているので断言できた。

 だってさ、僕達が住んでいる城にブラック・ブルという日本で言う短角の黒毛和牛が大挙して襲い掛かって来た。その数千頭。

 ブラック・ブルは雷魔法を使える上に、魔法を身に纏い突撃するという攻撃をしてくる。

 その為百頭いれば、城を落とせるとまで言われている。

 城に迫っているのは、その十倍の千頭だ。

 その時、運悪く姉さん達も居なかった。城に常駐している兵は百人。

 これでは話にならないなと思い、僕は城を捨てて逃げる様に指示しようかと思っていると、母さんがブラック・ブルの群れを見て一言。

『ここの所、牛肉を食っていなかったな』

 と言って、それぞれの手に愛槍と愛剣を持って城を飛び出して、ブラック・ブルの群れに突っ込んだ。

 結果、一頭残さず狩りつくした。

 嗤いながら戦う姿を見ていた兵士達は母さんの事を『踊る羅刹』と讃えた。

 それからしばらくは、料理は牛肉のオンパレードだった。途中から喰い飽きたよ。

 城の襲撃を聞いて、出掛けていた姉さん達も慌てて帰って来て、僕の無事を喜んだ。

 その時に母さんが凄い働きをした事を言うと、皆納得した顔をしていた。

 何で、そんな顔をするのだろうと思い、僕は母さんは何かしたのかと聞くと、姉さん達は僕が知らない武勇伝を教えてくれた。

 曰く、たった一人で竜の巣に乗り込んで、一匹残さず狩った。

 曰く、素手で千人相手に喧嘩をして勝った。

 曰く、母さんを見た魔獣が、直ぐに服従のポーズを取った。

 曰く曰く曰く。

 という具合で、沢山の武勇伝を持っていると知った。

 本人に聞いてみたら『ああ、そんな事もあったな』と大した事をしていないように言っていた。

 これが現世の僕の母親かと思うと、正直その血を引いているのかと思えた。

(大きくなったら、母さんみたいな事を出来るかな?)

 まぁ、したくないけど。

「リウイ。何を考えているのですか?」

 イザドラ姉さんが僕の顔を覗き込んで来た。

「あ、ああ。ごめんなさい」

「わたしの話をちゃんと聞かないなんて、駄目ですよ」

 僕は今、謁見の間を出て、僕の部屋で姉さんが調べた『オウエ』に関する事を教えて貰っていた。

 こうして話を聞いて、色々と準備しないとな。








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