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第29話 説得しよう

「リウイ、悪い事は言いません。別な場所にしなさい」

「僕はここが良いのだけど」

「駄目です。もっと安全で領地経営を学べる所を選びなさい」

「でも」

「でももしかしもありません。そんな所に行くなんて、わたしは許しませんよ」

 別室に入るなり、このやり取りを繰り返していた。もう数えるのも嫌になるくらいしていた。

 僕も一緒に付いてきた姉さん達も、流石にうんざりしていた。

 ここは僕が言うよりも、別の人に援護射撃をしてもらおう。

 僕はロゼ姉様にアイコンタクトを取る。

(何とか、イザドラ姉さんを説得してください)

(あい、分かった」

 目だけで僕達は、そう会話した。

「あ~、コホン。イザドラ、それぐらいにしたらどうじゃ」

 ロゼ姉様が僕達の話に割り込んだ。

「姉さん」

「リウイも考えに考えて、あの場所を選んだのじゃ。成功するにしても失敗するにしても、自分で選んだ所ですれば、リウイも成長できると思うぞ」

「確かにそうかもしれません。ですが、まだ十歳のリウイにあんな危険な所に行かせるのは流石に問題が有り過ぎると思いますっ」

「それもそうかも知れぬ。じゃが、リウイは敢えて困難な所に行く事で、自分の器を高めようとしているのじゃ」

「・・・・・・今のままでも十分だと思いますが」

「それがリウイには物足りないから、こうして『オウエ』に行きたいと言っているのじゃ」

 本当はどんな所なのか気になっているだけだけど、ここは姉様の話に乗っかろう。

「うん。その通りなんだっ」

「ですが」

「お主の心配も分かる。じゃから、ここは護衛をそれなりの者達にする事で、ここはリウイの好きにさせるべきであろう」

「う、う~ん・・・・・・・・」

 イザドラ姉さんは悩んでいるようだ。

 ここは、もう一押ししよう。

 僕はイザドラ姉さんの両腕を掴む。

「うん? 何ですか。リウイ」

 上目遣いで姉さんを見る。

「イザドラ姉さん、お願い」

 目に涙を溜めながら言う。

 ロゼ姉様にもしたけど、多分だけどイザドラ姉さんにも効くはずだ。

「う、うううう・・・・・・」

 よし、効果は抜群だ‼

 このまま、うんと言うまで見てやろう。

「・・・・・・分かりました。リウイがそう言うのなら、不本意ですが護衛をつけるという事で仕方がなく納得しましょう」

 不本意とか仕方がなく言っているけど、これで説得できたという事でいいだろう。

 よしっ! これで戻って先程と同じ事を言えば問題ないだろう。

「ふぅ、この会議が終わったら護衛の選抜をしなければいけませんね」

 少し過保護だけど、悪い人じゃないんだよな。

「わたしの麾下の全軍だけでは足りませんね。わたしの支配下にある魔国軍の三分の一を、いえ足りませんね。ここは全軍を回しましょうか」

 魔国の全軍って、何処の国と戦争するの⁉

「たわけっ、それでは多すぎじゃ。せめて三個軍団にせぬか」

 いや、姉様。それでも十分に多すぎでしょう⁉

「わたしとしては、わたしとイザドラ姉さんとロゼティータ姉さんの麾下の軍で十分だと思う」

 ヘルミーネ姉さん。それは要するに護衛に三個軍団連れて行けばいいと言っているのですよ。

「ふっふふ、モテモテね。ウ~ちゃん」

 フェル姉さん。笑ってないで助けて。

「じゃあ、わたしとわたしの麾下の軍団でリウの護衛をしようか?」

 ミリアリア姉さん、火に油を注がないでっ!

 そんな事を言いだしたら、反応する人が居るからっ

「ふむ。それでしたら、わたしが一緒に付いて行っても良いでしょう。わたしの麾下の軍も自慢ではありませんが精鋭揃いですし、わたしも領地の経営には口を出せますから」

 ほら、やっぱり‼ 反応した。

 その後は、イザドラ姉さんの説得をした。

 揉めて揉めて、ようやく話が纏まると、何故か護衛はフェル姉さんとその麾下の軍団がする事になった。

 領地の件はどうするのかと聞くと辞退するそうだ。

「フェル。くれぐれも、くれぐれもリウイの事を頼みましたよ」

「ふっふふ、任せて。姉さん」

 何故、二度言ったのかは聞かない事にしよう。又揉めるのは嫌なので。

 じゃあ、そろそろ謁見の間に戻ろうかと思ったが。イザドラ姉さんが止めた。

「どうせ、そのうち、ベリルが話が終わったか聞きに来るでしょうから、それまで茶を飲んで時間を潰しましょう」

 と言ったので、急遽僕達は茶会をする事になった。

 何故か、僕はイザドラ姉さんの膝の上に座らされた。

「お姉ちゃんの言う事に従わないのですから、これくらいはしてもらわないと」

 と言われては、僕も仕方がなく従う事にした。

 胸を押し当てられて嬉しいのは秘密だ。



 

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