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第27話 与えられる所を決めよう

 翌日。

 目を覚ました僕は、朝食を食べ終わると一息ついていた。

「リウイ様。お茶が入りました」

「ああ、ありがとう。ソフィー」

 今、茶を出してくれたのは、僕の世話をするメイドの一人で名前をソフィーディアという女性だ。

 見た目は若々しいのだが、これでも一児の母で僕の乳母でもある。

 ちなみに娘はアルティナだ。

 正直、何処からどう見ても子供を産んだようには見えない外見だ。

 肩で切り揃えたセミロングの黒髪。赤い瞳。すらりとした肢体。そして豊満な胸。

 どれぐらいデカいのかと言うと、あれだ。メロンを通り押して超乳だ。

 娘であるティナは、かなり寂しいのに何故か母親であるソフィーはデカい。

 顔立ちは似ているのに、何故か胸だけは違った。

 でも、考えてみたら、赤ん坊の頃はこの超乳が当たっていたんだよな。

 う~ん。そう考えると役得だったのかな。

 思わず、ソフィーの胸を見る僕。

「リウイ様?」

「ああ、ごめんなさい。少し考え事をしていたから」

 僕は出してくれた茶を啜る。

「陛下から言われた事ですか?」

「えっ、ああ。そうなんだ」

 本当は違うのだけど、ソフィーは勘違いしているようだから、ここは乗ろう。

「いきなり、領主と言われてもね。流石に困るよ」

「わたし共は、リウイ様の行く所について行くだけです。例え、他の者が付いて行かなくても、わたし共親子は何処までも付き従います」

 親子ね。そこまで恩義を感じなくて良いのだけどね。

 ソフィーの夫つまりティナの父親は魔国の部隊長を務めていた軍人だったが、ある魔物の討伐に帰らぬ人になった。

 丁度、その頃ティナが生まれたばかりだったので、ソフィー親子は路頭に迷いそうになった。

 それを見かねた、ソフィーの夫が勤めていた部隊の将軍であったフェル姉さんが、僕の乳母に推薦したそうだ。

 結果。親子は路頭に迷う事無く生活ができるようになった。

 なので、ソフィーは恩返しを込めて、僕に誠心誠意尽くしている。

 僕としては母親同然に慕っているので、あまり無理はしないで欲しいと思った。

「ありがとう。助かるよ」

「いえ、これくらいは当然の事です」

 ソフィーは頭を下げる。

 茶をもう一口飲んで、僕はソフィーに頼む。

「この国の地図を持って来てくれるかな」

「畏まりました」

 ソフィーは一礼して、部屋から出て行った。

 さて、何処の領地を貰うか考えるか。


 ソフィーが部屋を出て少しして。

 僕は茶を飲んでいると、何処かに行っていたティナが帰って来た。

「お帰り、ティナ」

「ただいま~、あれ。母さんは?」

「ソフィーなら、今はちょっと頼んだ物を持って来る最中だよ」

「ああ、そうなんだ」

 ティナは僕に近寄り、懐から紙を出した。

「何。それ?」

「見れば分かるよ」

 ティナの手にある怪しげな紙を僕は貰い、中を見る。

「なになに『トリエア』『アリスビンク』『リュスビ―ナ』『サンマルク』の地方がお勧め? 何だ、こりゃ?」

 差出人の名前は抱えていないが、何となくなだがこの手紙を出した人物が分かる。

「ねぇ、ティナ」

「なに?」

「この手紙を渡した人は女の人? それとも男の人?」

「男の人だよ」

「お兄さん? それともオジサン?」

「オジサンだね。うん」

 ふ~む。これで兄さん達の線は消えたな。

 だとしたら、他には誰が居る。・・・・・・・ああ、父さんかもしれないな。

「ティナ。何処でこの紙をは何処で貰ったの?」

「さっき呼び出され、じゃなかった。散歩してたら、知らない人がこの手紙をリウイに渡してって言ったの」

 呼び出されたね。ああ、これで父さんなのが決定した。

 王子付きのメイドを呼び出せるなんて、それなりの高位の人じゃないと出来ないからな。

 僕じゃなくて、ティナにこの手紙を渡しのは、ハンデを与えない為かな?

 意外と子が可愛いと思っているのかな、まぁ、父さんの心の内なんか分からないけど。

 しかし、父さんの思惑通りいくのは面白くないな。

 ここは皆にあっと驚く所を選んで、そこを見事と言われるくらいに運営しよう。

 さて、早くソフィーは来ないかな。


 そうして、僕達はソフィーが来るまで、雑談しながら待っていた。

 やがて、ソフィーが地図を持ってきた。

「お待たせしました」

「いや、それほど待ってないから」

 部屋に入るなり、一礼するソフィーに僕は気にしないでと手を横に振る。

「ありがとうございます。地図を広げますね」

 ソフィーはテーブルの上に地図を広げた。

 昨日、地図を見て思ったけど、ここの大陸は四国に似ているかも。

 そっくりとは言わないけど、結構似ている。四国をオーストラリア大陸並みにデカくした感じかな。

 僕が地図を見ていると、ソフィーが指を指しながら教えてくれる。

「ここが魔都『ニヴルヘイム』です」

 大陸のほぼ中央にあるここが都か。来る途中潮風の匂いがしなかったから海に面していないと思っていたが予想通り内陸か。

 すると、僕達が居た城も内陸と考えた方が良いな。

 僕の考えを読んだのか、ソフィーは指をつつーと動かしてある所で止まった。

「魔都から東に少し行った所に、リウイ様達が暮らしていた『スノッリ城』です」

 今更思ったけど、あの城の名前今知った。

「ソフィーは僕が治めるとしたら、何処が良いと思う?」

 実はソフィーは結婚するまで、内政官として働いていた。なので、領地経営に関しては、色々な知識を持っている。

「そうですね。わたしの意見ですと三つほどあります」

 ソフィーは指差す。

「まずはここ『トリエア』です。交通の要衝で、通行税又は商売をする税で十分に利益が入ります。交通の要衝なので、盗賊などがよく出没しますが、出た利益で部下の装備を強化又は強い者を雇うなどすれば良いと思います」

 ソフィーは目印に黒の重石を置いた。

「次は『サンマルク』ここは港町です。港町なので海運で成り立っています。海で採れる物を加工して、それを特産品として売り出せるので、かなりの利益が生まれる町です」

 海で採れる物か、珊瑚か真珠と思った方が良いのかな。

 そう思っていると、ソフィーは目印に青の重石を置いた。

「最後に『アリスビンク』です。ここは鉱山都市です。今だに良質な鉱物が出て来るところです。ですので、ここは何もしなくても良質な鉱物で利益が出て来る都市です。更に、近くに山が有りますので、植林をして材木を売るという手段もあります」

 ソフィーは赤の重石を置く。

 ふむ。これで手紙に書かれていた所がどんな所か分かった。

 ついでに、手紙に書かれていた『リュスビ―ナ』について聞くか。

「ソフィーは『リュスビ―ナ』はどれくらい知っている?」

「『リュスビ―ナ』ですか。それでしたら、ここです」

 ソフィーが指差した所は、海から少し離れた所であった。

「ここの都市は景勝地という面が強いですね。海からもそれ程離れていませんし、近くには『エルナト山』と『ガイエ高原』もあります。まぁ、観光地として栄えていますから、その利益で楽が出来ると思えます」

 成程。観光地なのか。観光地だったら、金が入るから結構良い場所だな。

 父さんはそこも考えて、ここを薦めたのか。

 でも、そんな豊かな所を選んでもな。

 と考えていると、偶々目に入った所を気になった。

「ソフィー、ここはどんな所?」

 ソフィーは僕が指差した所を見ると、顔を顰めた。

「リウイ様。ここは止めておいた方が良いと思います」

「? 何で?」

「ここはですね。魔国の中でも危険地域として知られており、更には先住民族が多く居るところです」

「先住民族?」

 一応、この魔国は移住して建国したのだから、先住民族がいてもおかしくはないか。

 まさか、インディアンみたいに追い立てたり、アボリジナルみたいに絶滅させたりしてないよな?

「ええ、我々魔人族と共存を拒んだ一族の末裔です。一応、魔国の国民として認められていますが、向こうからしたら、同族と思われるのが嫌だと思っているでしょうね」

「へぇ、そうなんだ」

「リウイ様が指差したここ『オウエ』は『清らかな湖』を挟んで、北と南に分かれています」

「北と南?」

「はい。北は今言った先住民族の土地になっています。北部には海が有ること以外は何があるかは多く知られていません。南は我らの領地ですね。ここは鉱山などが沢山あります。ですが、その鉱山の開発をしようにも、毎年、先住民族の襲撃してくるので、開発も上手く出来ない現状です。更にこの地方の中央にあるこの『清らかな湖』通称『清せい海かい』はあまりに綺麗な青色の水で、魚も住まない湖で、更にこの湖の水を飲めば数日後には死ぬとまで言われている程に呪われた湖です。なので、リウイ様には少々、危険な所だと思います」

 ソフィーの説明を聞いて、僕は顔がにやけだす。

 先住民族の襲撃が激しい?

 鉱山の開発が覚束ない?

 北部は何があるか分からない。

 更には、呪われた湖だって。

 これはあれだ。楽しみが多すぎるじゃないか‼

「よし、ここに決めたぞ!」

「えっ⁉ リウイ様。わたしの話を聞いていましたか?」

「聞いた。それでここに決めた!」

「あ、あの、ここは止めた方が良いと思いますが」

「いや、ここ以外僕にふさわしい所はない。よ~し、早速、ロゼティータ姉さんに相談してこよう」

 僕はこの時間なら、茶を飲みながら趣味の詩でも書いているだろう。

 行っても問題ないだろう。

「よ~し、じゃあ、行こう。ティナ」

「う、うん」

 僕はティナを連れて、部屋を出た。

 いやぁ、楽しみだな。


 






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