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第11話 ダンスって意外に難しい

 アウラ王女様と共に広間の中央に来た。

「あの、僕はダンスというのをした事がないので」

「大丈夫だ。わたしがリードします。そなたは、わたしに動きを合わせれば良い」

「お願いします」

 アウラ王女様が音楽に合わせて、動くので僕もその動きに合わせる。

 貴人なので、足を踏まないように下に目を向けていたら。

「下を見るな。視線は真っ直ぐにしろ」

「は、はい」

 そう言われて、顔をあげて王女様の顔を見る様にする。

「腰は真っ直ぐに伸ばせ。そんなへっぴり腰では、変に思われる」

「次は、右に動け、次も右で、今度は左。これを繰り返しすれば良い」

「右手は腰のこの位置で掴む。そうだ、あまり力を入れるなよ」

 何か一緒に踊っていると言うよりも、ダンスの稽古をしている気分だ。

 仮面をしているので、怖い人かと思ったが意外に優しい人なのかもしれない。

 そう思いながら、王女の顔を見ていると、背筋にゾクゾクと悪寒が走る。

 踊りながら、僕は悪寒の原因を探す。

 そして、直ぐに分かった。

 椎名さんとユエとマイちゃんがすっごい怖い目で僕を見ている。

 と言うか、三人の背後から、虎やら竜やら夜叉が見える。

(あれ⁉ 三人ともこの世界に来てから、何か守護霊でも憑いたの?)

 そう思えるくらいに、ハッキリと見える。

「ふっふふ、どうやら、そなたの仲間が大層お怒りの様だ」

「は、はい、何であんなに怒っているのか、僕にもサッパリ分かりませんが」

「・・・・・・そなたは、鈍感とか言われないか?」

「いえ、別に」

 そう言って、黒川が僕を「お前はどこぞのラノベの主人公か⁉」と言った事があった。

「そうか、そろそろ、音楽が止むから、それで終いにしよう」

 王女様がそう言うので、僕は終るタイミングを王女様に合わせながら踊る。

 そして、音楽が止むと王女様が踊るのを止めて、右手を差し出す。

 何かのドラマで見た事がある。確か、舞踏会で踊り終ったら、女性の手にキスをする筈だ。

 僕は跪いて、王女様の手を取りキスをした。

「っっ⁉」

 何故か、キスされた王女様が驚いた空気を出す。

 顔は仮面で隠されているので分からないが、雰囲気で察した。

 王女様は直ぐに気を取り直して、素早く身を翻す。

 そして、自分の取り巻きの所に戻った。

(ダンスって意外に大変なんだな・・・・・・・・)

 そう思っていたら、突然、腕を引っ張られた。

 誰が僕を引っ張ったのだろうと思い、顔を向けると、椎名さんだった。

 椎名さんが引っ張った先には、ユエとマイちゃんが居た。

「猪田君、どうゆう事か説明してくれる?」

「ノブよ。浮気をするなら構わないし、愛人や現地妻などを作っても構わないが、こうゆう場ではまず最初にわたしと一緒に踊るのが筋だろう?」

「ていうか、あの人誰? ノッ君と何処で知り合ったの? 名前は?」

 三人が後ろに守護霊を従わせながら、僕に訊ねてきた。

「えっと、第一王女様としか、僕は知らないんだけど」

「「「第一王女⁉」」」

 三人が口を揃えて言い、親の仇を見るような目で王女様を見る。

 そんな視線をぶつけられても、王女様は平然としていた。

 だが、王女様の周りに居る取り巻き達はそうはならず、そちらもこっちを凄い目で見ている。

「け、喧嘩は止めようよ」

 僕がそう言っても、三人は聞く耳をもってくれない。深く溜め息を吐いた。

 ここは、僕が三人を宥めないといけないと思い、三人を踊らないかと誘う。

 先程、王女様に色々と注意されながら、簡単なステップを見て学んだので、下手なりには踊れる筈だ。

 僕がそう言うと、三人は関節の稼働限界を超えているのではと思えるぐらいに、首を動かす。

 そして、互いを牽制しだす。

 自分が一番だとアイコンタクトをしている。

 ここは僕が決めた方が良いと思い、最初はユエした。

 ユエは親の仕事で、こうゆう舞踏会をするパーティーに参加しした事があると聞いた事がある。

 なので、まずはユエと踊ってそこで弾みをつけて、椎名さん、マイちゃんの順で踊る。

 僕がユエを選ぶと、ユエはすっごく喜んで、他の二人に鼻を高くする。

 二人は悔しそうな顔をするので「後で踊るから」と言うと、直ぐに嬉しそうな顔をする。

 今度は逆にユエが不満そうな顔をしてきた。

 僕はユエを宥めながら踊る。

 ユエと踊るのが、終わると休む間もなく椎名さん、マイちゃんと踊る。

 結局の所、三人は一度踊っただけでは足りない様で、その後も何回も踊らされた。

 

 **************


 やがて、夜が来て宴は無礼講の様相を見せてきた。

 クラスメート達も半分は早々に宴から抜け出し用意された部屋に引っ込んだ、残り半分は宴の中に取り残され、貴婦人達に捕まっていた。

 僕はと言うと部屋に戻っても寝るだけなので、広間の隅でアスクレイ侯爵と話をしていた。

 ちなみに椎名さん達も僕と一緒に居る。

 何でも「また、女性に声を掛けられるかもしれないから」だそうだ。

 僕の顔は不細工の方だから、女性は話かけてこないと思うが言わない事にする。

 アスクレイ侯爵は博識な人で、この世界の事を色々と教えてくれた。

 その中でも、魔法の事を聞けたのは運が良いと思った。

 この世界の魔法は精霊と契約する事で使える『精霊魔法』と神を信仰する事で使える『神聖魔法』と身体に特殊な顔料で刺青を入れる事で使える『紋章魔法』と契約した精霊と魔獣を呼び出す『召喚魔法』の四つある。

 中でも面白かったのが、神聖魔法だ。

 この魔法は暗黒神を信仰していてたら『神聖暗黒魔法』と言う魔法を使えるそうだ。

 神聖なんだが暗黒なんだが、良く分からない。

 僕もただ話を聞いているだけではなく、僕達の世界の事を色々と話した。

 このアスクレイ侯爵と言う人と話して分かつたのは、この人は知識に貪欲だと分った。

 僕は夜が更けるまで、話し明かした。





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