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第19話 契約完了

 僕と麒麟を包んだ金色の光は徐々に収まっていった。

 やがて、光が止むと宙に金色に輝く文字が浮かんでいた。

 それはこちらの世界の文字だった。

 内容は、先程麒麟が言った言葉と同じであった『我、麒麟が一族の姫。真名をチェンリン。我が契約者に我が真名を与える。これをもって、契約の証とならん』と書かれている。

「ねぇ、この真名って、何?」

『魔獣が生まれた時からある名前です。この名前は契約する際に必要だからです』

「必要なの?」

 別になくても問題ないと思うけど。

『ええ、魔獣は真名で呼ばれると、その者に従わなければならないのです』

「それって、服従するって事?」

『はい。その通りです。ちなみに、この真名は契約者と同族以外には教えてはならないという掟があります。ですので、リウイ。もう、貴方はわたしの契約者になりました』

 えっ⁉ つまり、契約は解消できないという事ですか?

「ちなみに、契約を無しにしたいと言ったら?」

『その時は残念ですが。貴方はこの結界から二度と出る事が出来なくなります』

 ええ~、そんな~。

 これじゃあ、通販で頼んだのが、自分と思っていたのと違った返却しようとしたら、出来ないって言われたような物じゃないか‼

『さぁ、もう一度聞きます。契約を続けますか?』

 麒麟は笑顔? で聞いてきた。

 続けないと、この結界から一生出れないのだろう。だったら、するしかないじゃないか。

「続けます」

 憮然としながらもそう言う僕。

 そして、麒麟は角を輝かせた。

 角の輝きが止むと、指環のような物が浮かんでいた。

「これは?」

『わたしの魔力を物質化させて、指環にしました。これに契約内容を刻みます』

 ちょっと待って⁉

 今、さらりと凄い事を言わなかった?

 魔力を物質化させたとか言いませんでした?

 そんなの前世の僕でも出来なかった事をこうもあっさりするなんて。

 凄い以前に、貴方、何者ですか⁉

 魔獣でした。魔獣だったら、出来て当然か。

 うん。そうだ。そういう事にしよう。

 そう考えている間に、宙に浮かんでいた文字が指環に流れて込んでいく。

 指環の指に嵌める所に文字が刻まれていく。

 やがて、文字が刻み込みが終った。

『この指環を肌身離さず持っていなさい。もし、無くしたらその時点で契約は無効になります』

 宙に浮かんだ指環は、そのまま僕の方へと来て、左手の人差し指に収まった。

 指環が収まった瞬間。僕の頭に何かの声が聞こえてきた。


  リウイ・マーシリミンス・レスペリオスは光魔法を習得した。

  リウイ・マーシリミンス・レスペリオスは風魔法を習得した。

 

 頭の中ではファンファーレと共に、前世で訊いた声で魔法を習得した事を教えてくれた。

「魔人族で光魔法か、何か変じゃないかな?」

『いえ、別に。変ではありませんよ』

 麒麟はそう言うので、それ以上考えるのは止めた。

 とりあえず、今は魔法を使える。それだけで十分だろう。

「あのさ、ちょっといいかな」

『何でしょうか?』

「君の事はなんと呼べばいいのかな?」

『真名は預けました。ですので、何かわたしにあった相応しい名前を頂けないでしょうか。我が主よ』

 名前ね。

 ネーミングセンスがないので、どうしたものかな。

 まぁ、名前をくれと頼まれたのだ。少し考えようか。

 麒麟で、黄色の鱗、黄色い毛、青い瞳か。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 うん。閃いた!

「君の名前はアリアンだ」

『アリアンですか? 聞いた事がない名前ですね』

「・・・・・・昔何処かにあった国の王女様の名前だよ」

 ギリシア神話に出て来る王女様の名前だけど、そう言っても分からないだろうな。

 まぁ、そんなに悪くない名前だと思う。

『アリアンですか。良い名前ですね。気に入りました。では、我が主よ。今、この瞬間から貴方をマスターとお呼びします』

「よろしくお願いします」

 僕は角に触れた。

『さて、契約も完了しましたし、そろそろ戻りましょうか。マスター』

「そうだね」

 アリアンはそう言うと、角が輝きだした。

 これは、元の場所に戻るという事だと思う。

 戻ったら、契約した事を皆に言おう。

 






 

 



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