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第18話 契約って何?

『リウイですか。貴方を一目見た時から気に入りました。わたしは貴方と契約したいのですが』

 はい? 契約?

 いきなり、そう言われても意味が分からない。

 ティナも意味が分からず、首を傾げている。

 だが、周りに居る人達は目が点になっていた。

「んう~、朝か、おはよう。リウイ。」

 テントから出たヘルミーネ姉さんは伸びをして、僕に挨拶してきた。

「おはよう、姉さん」

「おはようございます。ヘルミーネ王女様」

「ああ、おはよう。ところで」

 ヘルミーネ姉さんは周りにいる兄貴達を見る。

「皆は何で固まっているんだ? それとその魔獣は?」

 起きて早々に、皆が固まっているので、ヘルミーネ姉さんは不審に思い見る。

 僕はこうなった経緯をヘルミーネ姉さんに話した。

「・・・・・・成程。契約か、それで皆は固まっているのか。それにしても」

 ヘルミーネ姉さんは手を伸ばして、僕の頭を撫でる。

「リウイは凄いな。魔獣と契約するなんて」

「姉さん、契約って何?」

「魔法を使う際には、何かしらと契約しないといけないのは知っているか?」

「うん。精霊か、神様か、魔獣のどれかと契約するんだよね」

「そうだ。だが、魔獣と契約は他のとは少し違う」

「どう違うの?」

「神と契約する場合は、代償に何かしら支払う。精霊の場合は、精霊の願いを聞かなくてはならない。だが、魔獣と契約する場合は二通りある」

「二通り?」

「一つは、その魔獣に力を見せて、契約させる。ようは屈服させるという事だ」

「力づくで従わせるという事?」

「そうだ。もう一つは盟約を結ぶことだ」

「盟約?」

 意味が分からず、僕は首を傾げた。

「・・・・・・・・・・可愛い(ボソッ)」

 ヘルミーネ姉さんは僕を抱き締めた。

「簡単に言えば、代償を払うので魔法を使えるように契約を交わすのだ」

「それって、他の魔法契約と同じじゃない?」

「他の魔法契約は口頭だが、この契約は物に記す」

「物に?」

「例えで言えば、紙に、石板に、互いの身体にその契約が書かれた文章を記すのだ」

 姉さんはギューっと僕を抱き締めながら教えてくれる。

 押し付けられる胸の感触に、僕はつい顔を緩ませてしまう。

 そう顔を緩ませていると。ティナの手が伸びた。

「いててて、いたいよ、ひぃなっ」

「ふん‼」

 僕の頬を引っ張るティナ。

 何故か不機嫌そうな顔をしていた。

『で、リウイ。わたしと契約してくれるのですか?』

 おっと、そう言えば、話をしている途中だった事を忘れていた。

 契約か。別に悪いものではないようだから、してもいいな。

「だ、駄目です。絶対に駄目です⁉」

 しかし、イザドラ姉さんが反対してきた。

「でもよ。姉貴、リウイが魔法を使えるようになるのだから、問題ないと思うぜ」

 兄貴も賛成のようだ。

 ヘルミーネ姉さんも同意とばかりに頷いた。

「魔獣と契約する際、その契約内容を何かに記さないといけないのですよっ、その意味が分かっているのですか?」

 イザドラ姉さんがそう言うけど、その意味が分からず、僕達は首を傾げた。

「つまりは、リウイのシミが一つもない雪のような綺麗な白い肌に、文字を刻まれるという事ですよ‼ そんな事されたら、わたしは、わたしはああああああっ‼」

 あっ、イザドラ姉さんが吠えた。

 全身に何か黒いオーラみたいなモノを出しながら猛り狂うその姿、まさにバーサーカーだ。

 運命の夜に出て来るアマゾネスの女王や、某アニメに出て来る死の支配者が好きな悪魔に負けないぐらいの狂いっぷりだ。

「はっ⁉」

 ヘルミーネ姉さんはイザドラ姉さんに言われて、そういう場合もあったかという顔をした。

 というか、肌に記すとか嫌だな。あのゲーム王に出て来る墓守一族みたいに背中に刻まれるんだろうな。

 あれって、かなり痛そうだったし、あまりの痛みで二重人格が出来るかも。

『別に何も記す物が無くても出来ますよ』

 と麒麟が言うと、イザドラ姉さんは先程まで浮かべていた鬼のような形相から一転して菩薩のような顔を浮かべた。

「何だ。そうでしたか。リウイ、魔獣から契約を持ちかけて来るなんて、非常に稀有な事です。ぜひ契約なさい」

 いや、姉さん以外、誰も反対していませんよ。

「じゃあ、許可も下りたしたいのだけど、どうしたらいいのかな?」

『少しお待ちなさい』

 麒麟がそう言うと、角が輝きだした。

 その輝きの強さに目が開けられなかった。

 目を閉じて、光が止むのを待った。

『もう、目を開けてもいいですよ』

 そう言われて、僕は目を開けた。

 目を開けると、そこは先程の風景と一変していた。

 何処までも緑色の草が生い茂る大地。

 まばらで様々な大きさの木々。

 そして、どこまでも蒼い空。

 少し離れた所では、水のせせらぎが聞こえてきた。

「こ、ここは?」

 さっきまで居たテントが沢山あった陣地ではないの、確かだ。

 では、何処のなのだろうか。

『ここは生ィーれるヴァルトガーデン。簡単に言えば、結界魔法ですね』

「結界魔法⁉」

 じゃあ、これってあれか? 心象風景を具現化させる、あれか?

 うわぉ~、リアルで〇有結界をこの目で見るなんて、転生してよかった。

 前世もしようと出来るかなと思ったけど、無理だったからな。

 何せ。発動するにも膨大な魔力を使うし、維持をするのにも膨大な魔力を使う。

 更には心象風景を具現化させるには、そのイメージを鮮明に覚えていないといけない。

 という理由で出来なかった。

「凄い」

 それしか言えなかった。

『さて、さっさと契約を交わしましょうか』

 麒麟は僕に近付いてきた。

「僕はどうしたらいいの?」

『貴方はわたしの角に触れて、わたしが言った後に、『その証をもって、ここに契約を交わさん』と言えばいいのです』

「わかった」

 僕は麒麟に言われた通りに、角に触れた。

『我、麒麟が一族の姫。真名をチェンリン。我が契約者に我が真名を与える。これをもって、契約の証とならん」

 真名? まぁ、いいや。後で聞こう。

「その証を持って、ここに契約を交わさん」

 そう言うと、僕と麒麟が金色の光に包まれた。









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