第12話 5年後
教師を付けられて、時があっという間に過ぎて、僕は十歳になった。
髪型は変えていないが、背も高くなった。
でも、まだ姉さん達の方が高いので、よく抱き締められる。
この年齢になると、色々な事を知る事が出来た。
僕の種族である魔人族の生態について色々と知った。
まずは、寿命が長い事。
前世では、亜人族、竜人族、天人族が長寿だと聞いている。
中でも、亜人族のハイエルフ族と全ての天人族と一部の竜人族では、永遠の命を持っているとまで言われていた。
その三つの種族に人達も聞いてみたが、自分達もどれくらい寿命があるのか知らないそうだ。
逆に、人間族、獣人族、鬼人族の三つの種族は短いそうだ。
とは言っても百年くらいはあるようだ。だが、獣人族と鬼人族中には、稀にかなり長生きする人もいるそうだ。
話を聞いた限りでは、魔人族も病気や怪我でなどで死ぬ事はあるが、混血を含めても永遠に近い寿命を持っているそうだ。
それで、この国の歴代の王が少ない事が分かった。寿命が長いなら、王位についている年数も長いという事になるからだ。
更に魔法について分かったが、どうやら魔人族の場合は神様と契約する人は少ないそうだ。
神様と契約するのは、もっぱら神官の職業を持っている人だけらしい。
では、他の人は何と契約して魔法を使うのかと言うと、精霊と契約するか魔獣と契約するかのどちらからしい。
多いのは前者の精霊と契約する人だ。
僕はまだ魔法を使える年齢に達していないという事で、まだ魔法を使う事が出来ない。
早く魔法を使えるようになりたいので、一度イザドラ姉さんに頼んだけど断られてしまった。
食い下がっても駄目だった。なので、八つ当たりというか抗議の意味を込めて、イザドラ姉さんには暫く抱き締め禁止令を出した。
姉さんはこの世の終わりみたいな顔をしたが、僕は無視した。
その後、とんでもない事が起こったので、その禁止令は直ぐに撤回した。
暫くの間、僕が姉さんと一緒に行動する事で、姉さんは機嫌を直してくれた。
そう、おはようからおやすみまでずっと一緒に行動した。
姉さんは御機嫌だったが、僕は疲れた。
何せ一日中、姉さんの目に着く所にいて暇になると僕を抱き締めるのだ。
これで疲れない方がおかしい。
まぁ、抱き締められる際、豊満な胸を押し当てられるので嬉しかったのは秘密だ。
後知ったのは、魔人族では腹違いの兄妹だと結婚できるらしい。
まさか、姉さん狙ってないよな?
そう言えば、一緒に寝ていた時寝言で「りうい・・・・・・だいすきです・・・・・けつこん・・・・しましょうね・・・・・・」とか言っていたけど、寝言だから本気だと思いたくない。
今はそんな事よりも、勉強に集中しないとな。
と言っても、今日はメルビ―ナ先生が居ないので、自習であった。
出された宿題を黙々とこなしていく。
ある程度区切りがつくと、窓がコンコンと叩かれた。
窓の方に顔を向けると、そこにはティナが居た。
というか、ここ三階なんだけど、何で外に居るんだよ。
そんな疑問を胸に仕舞い、僕は窓を開けた。そこには、空を飛ぶ亜竜に乗っているティナが居た。
「何か用? ティナ」
「勉強ばっかりだと気が滅入るでしょう。遊びに行こう」
「う~ん、どうしようかな」
宿題はある程度区切りがついたので、別に出掛けてもいい。
でも、出掛ける事を誰かに言っておかないと、後で面倒な事になると思う。主に姉さん関係で。
しかし、出掛ける事を言おうにも、丁度今は世話をするメイドは全員出払っていた。
出掛ける際は、誰かに一言言ってから出掛けなさいといつも言われている。
なので、置き手紙を残して出掛けるのも駄目だろう。
どうしたものかと考えていると、答えを出さない僕に焦れたのか、ティナが僕の袖を引っ張った。
「もう、うだうだ悩んでないでいる暇があったら早く行こうよ」
そう言われて、僕は強引にティナが跨っている鞍に乗せられた。
「でも、誰かに言っておかないと」
「だいじょうぶ。ちょっと出かけるだけだし、それに引率の人もいるから大丈夫よ」
「引率?」
「うん、じゃあ行くよっ、早く行かないと遅れるからっ」
ティナは亜竜の腹を蹴った。
すると、亜竜は翼をはためかせて何処かに向かう。
そう言えば、何処に行くのだろうか?