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第7話 作戦開始!

 僕が提案した作戦通りに展開された。

 今、僕達は西の小高い丘に陣をしき、森を見下ろしている。

 ここからだと、森の様子がよく見える。

 南側に騎士団の人達が何かの枯れ木を燃やしている。

 燃えた木から煙があがり、その煙が風に乗って森へと流れる。

「いまもやしているのは、ふつうのき?」

「違います。今燃えている木は燃えると獣が嫌う匂いがする煙を出すのです。風に乗ってその煙が森へと流れるのです。ブラウン・ベアーも流石に逃げ出すでしょう」

「このけむりは、ぼくたちがすってもがいはあるの?」

「いえ、動物が嫌う匂いを出すのであって、別に煙を吸っても害はありません」

「そっか」

 僕はベルゼンさんと話していると、西側から動物と一緒に熊の大軍が出て来た。

 茶色の毛皮で、人に比べると少し背が高いくらいの熊でだった。

 遠目から見ても二メートルないな。多分一メートル八十センチぐらいだと思う。

 その熊が、ひぃ、ふぅ、みいと全部で四百ぐらい居るな。

 東側にいる騎士の人達からは連絡が来ていない。動物が嫌う匂いがする煙の中を突っ切る事はしないから、北と南側には逃げていないと思う。

 なので、今西側に現れたのが全部だと思う。

「よし、出て来たなっ。総員抜剣!」

 兄貴が腰に差している剣を抜くと、騎士団の人達も得物を抜いた。

 そして、兄貴は剣を空に掲げる。

コンギョカー‼」

 兄貴が剣を振り下ろして、そう叫んだ。

「「「キエエエエエエエエエエエエエエエエエ‼」」」

 騎士団の人達が猿叫みたいな声をあげて丘を下りだした‼

 ここは普通「ウオオオオオオオ」とか「ハアアアアア」という掛け声じゃないのか?

 そんな事を考えていると、兄貴が僕も乗っている乗騎の手綱を取った。

 えっ、もしかして⁉

「チェストオオオオオオオオオオ‼」

 ぎゃああああああっ、やっぱりだああああああああっ⁉

 兄貴も駆けだした‼ 僕を乗せたまま。

 前世では騎乗して戦闘した事がないから、揺れがキツイ!

 うぷっ、吐きそう。

 僕は鞍にしがみつきながら、吐き気と戦った。

 騎士の人達がブラウン・ベアーにぶつかる度にベアーの血と臓腑が飛び散る。

 更に騎乗して攻撃をするので、威力が半端ない。

 騎士の人達が一振りするたびに、ブラウン・ベアー身体に傷がつく。

 ちなみに、兄貴の場合は一振りするたびに、ブラウン・ベアーの身体は真っ二つになった。

 そうして蹂躙と思える魔物退治が終った。

 終わってみたら、自分達が騎乗している亜竜は大小問わず傷つき、更に騎士団の何人かは軽傷を負っていたが、一人も死亡する事無く魔物退治を終えた。

「しゃあああああっ、勝ったぞおおおおおおおおおお‼」

 兄貴が剣を掲げて叫ぶと、騎士団の人達も同じようにして叫んだ。

 それが終ると余韻に浸る暇も無く、撤収作業に掛かった。

 退治したブラウン・ベアーは毛皮に色々な物に使え、肉も食用になるので全て持って帰る事になった。

「どうやって、もってかえるの?」

「いいかよく見てろ。『ストレージ』」

 兄貴がそう唱えると、黒い穴が生まれた。

 その穴に兄貴は退治したブラウン・ベアーをその穴に放り込んだ。

「それ、なあに?」

「これか? これはな『収納』という魔法だ。凄いだろうっ」

 兄貴が胸を張って言う。

 しかし、周りの騎士団の人達も全員ではないが、それなりの人数が使っているので自慢する事ではない。

 まぁ、ここは驚いてあげるか。

「すごい~」

 ちょっと棒読みした感じだけど、いいかな。だって。

「ふふん、凄いだろう‼」

 兄貴が腰に手を当てて鼻息を荒くしている。

「殿下、そんな事は良いので早くすべて詰め込んでください」

「ちょっとまて、そんな事とはなんだ。そんな事とは」

 兄貴はベルゼンさんに抗議するが、ベルゼンさんは慣れているのか、糠に釘であった。

 どんなに言っても無駄と分かった兄貴は仕方がなく、先程の作業を続けた。

 そして、ブラウン・ベアーをすべて詰め込むと城に帰る事になった。

 行きと同じく。僕は兄貴の亜竜に乗って帰る事にした。

 帰る道中で、僕は兄貴の先程の魔法について色々と訊いた。

 兄貴はこの魔法については、どんな物を詰め込んでも時間経過しない事ぐらいしか知らないそうだ。

 今度、魔法に詳しい人に聞こうと思った。

 そうしている間に、城に着いた。

 中庭に通されたが、何故か姉さん達が全員居た。

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 何だろう。この空気。

 まるで、前世でよくあったマイちゃん達の喧嘩を思い出すのだけど。

「おう、姉貴達。それとヘルミーネもミリアリアも、どうしたこんな所に居るんだ?」

 兄貴は姉さん達がここに居る理由が分からないのか、首を傾げながら訊いていた。

 皆を代表してか、イザドラ姉さんが口を開いた。

「アドラ、貴方。自分が何をしたか分かっているのですか?」

 イザドラ姉さんは笑顔で聞いてきた。

 その笑顔が今は怖い。

「何をって、魔物退治に行ってきただけだぜ?」

 そう訊かれる意味が分からないのか、兄貴は首を傾げたが、直ぐに何か思いついたのか手を叩いた。

「そうそう、リウイを連れて行ったんだけど、こいつ結構頭良いな。こいつが立てた作戦通りに動いたら被害らしい被害が出ないで退治出来たぜっ」

 僕の襟を掴むと、子猫の様に持ち上げながら頭を撫でた。

「つ、れていった?」

 あっ、これはまずい。

 ここは一旦兄貴を喋らせるのを止めさせないと駄目だ。

 そう思ったが、一歩遅かった。

「このォォォォォ、馬鹿弟はあああああああああっ‼」

 イザドラ姉さんの口から火が吹き出た‼

 リアルで火を吹く人初めて見た!

「そこに直りなさいっ、今日という今日は自分が何をしたのか思い知りなさい‼」

 兄貴はイザドラ姉さんが怒る意味が分からなかったが、幼少の頃から刷り込みの所為か素直にその場に座った。

 そして、イザドラ姉さんの説教が始まった。




 









イザドラ「いいですか。王族以前に人としてまだ歩けるようになったばかりの子を、魔物退治に連れて行くとか、常識を疑う事をするとは何事です‼」

 イザドラの説教を神妙な顔で聞くアードラメレク。

 そうしている間、リウイは他の姉達に怪我はないか確かめられた。

ヘルミーネ「・・・・・・・(ギュー)」←力強くリウイを抱き締める。

フェル「何処も怪我はなさそうね。良かった」←言いながら、リウイの頭を撫でる。

ミリアリア「あっははは、リウは凄いね。さっき騎士の人から聞いたけど、アドラ兄と一緒の亜竜に乗っていたのに、気絶しないなんて」←リウイの右頬を突っつく。

ロゼティータ「まったく、心配させおって」←リウイの左頬を引っ張る。

 姉達の心配という名の可愛がりを受けたリウイ。

 そろそろこの可愛がりに辟易して離れたいと思い身じろぎするが、ヘルミーネががっしりと抱きしめているので逃げれない。



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