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第6話 折角来たのだから、少しは役に立とう

 アードラ兄貴と一緒にブラウン・ベアーが現れた所に向かった。

 その場所は大森林であった。

「けっこう、おおきいね~」

「そうだな。おい、ここにブラウン・ベアーが居るんだろうな?」

「森に入った木こり達が見たと言っていますし、更に事前に出した斥候からも、それなりの数のブラウン・ベアーを確認しました」

「森の中じゃあ、亜竜に乗って行くのは無理があるな」

「では、狩りをするように音を立てて森から追い出しますか?」

「それが妥当か。よし、どの方向に追い出すか決める為に、この森の周りを回る。十騎ほど付いて来い」

 兄貴がそう言うと、側近の人を含めた十名程の騎士の人達が、兄貴の下に集まった。

 集まったのを確認した兄貴は、何も言わず駆けだした。騎士達もその後に続いた。

 その森を回りながら、僕は風向きを確認した。

(風向きはこっちか、これだったら煙を焚いても問題ない)

 僕はそう考えながら、森を見る。

 そして、この地形にあった作戦を思いついた。

 偵察が終わったら、兄貴に話そう。

 やがて、偵察が終った兄貴は本隊と合流した。

「小休止する。ベルゼン、ちょっと話があるから付き合え」

 あの、側近の人ベルゼンって言うんだ。ふぅん。

 兄貴とベルゼンが一緒に騎士団の人達から少し離れた所に行ったので、僕もその後に続いた。

「殿下。この森の広さで言いますと、追い立てる者もそれなりにいませんと駄目です。、叩く者も多く必要です」

「そうだな。半々にしたらどうだ?」

「少し厳しいかと、せめて叩く者を七百.追い立てる者を三百くらいにしませんと」

「おいおい、それじゃあ追い立てる奴らが少なすぎるだろう」

「ですが。確実に叩くならこれくらいは」

 兄貴とベルゼンさんが話している最中に、僕は二人の裾を掴み引っ張る。

「うん? どうした。リウイ」

「弟君。何か?」

「兄貴、一つかんがえがあるよ」

「考え? どんな考えだ」

 よく聞こえる様に屈んでもらい、兄貴の耳元で僕の考えを話す。

「ほうほう、煙で燻り出すか。確かに、それなら追い立てる奴は要らないし、森から出る奴を叩く側に回せるな」

「かぜむきは、きたにむかっているから、みなみがわでけむりをおこさせればいいよ」

「成程。ですが、そうなりますと東と西と二つの方向に逃げ出す可能性がありますから、五百づつ別れないといけまんせんね」

「せんりょくのぶんさんはげさくだから、ひがしかにしにせんりょくをしゅうちゅうして、片方をたたく。もう片方には、れんらくようにのろしとかあげられるていどのへいしをおくだけで良いと思う」

「ああ、もしそっちに逃げたら、狼煙をあげて知らせればいいだけだしな」

「確かに、戦力の分散はあまりしない方が良いですからね。それにしても下策なんて言葉を何処で知ったのですか? 弟君」

「う~ん。ねえさんたちがはなしていたのきいて」

 僕がそう言うと、兄貴とベルゼンさんは顔を見合わせた。

「俺の弟は、俺よりも遥かに頭が良いのかもしれんな」

「正直、本当に血が繫がっているんですかと思えますね」

「う~ん。確かに、俺もそんな気がする」

 そりゃ、見た目はこんな見た目ですが。精神年齢で言えば二十代だよ。これぐらいは思いつくよ。

「まぁ、この作戦が一番効率がいいな。この作戦でいいな?」

「はい。特に問題らしい問題はありません。ちなみに聞きますが、弟君」

「なに?」

「本隊を置くとしたら、東と西のどちらがいいですか?」

「う~ん。にし」

「ほう、根拠は?」

「ひがしはへいげんだったけど、にしにはそれなりにおおきい丘があったから」

「丘? そんなのあったか?」

「殿下、もう少し地形を覚えましょう。それにしても」

 ベルゼンさんは僕を見る。

「弟君はよく見ておりますな。丘に陣を敷く。戦略的にも戦術的にも正しい事です。素晴らしい着眼点をお持ちですな」

「がっははは、流石は俺の弟だ!」

「・・・・・・では、殿下弟君のおっしゃる通りに布陣いたしましょう」

「うむ」

 そうして、作戦通りに展開された。









 リウイがアードラメレクと陣を展開している頃。

イザドラ「姉さん、止めないで下さい。わたしは行かないといけないんですっ」

ロゼティータ「たわけっ、そんな激昂したお主を行かせたら、魔物ごとアドラの奴を滅ぼしてしまうじゃろうがっ」

イザドラ「あんなに可愛いリウイを。まだ三歳になったばかりのあの子を、魔物退治に連れて行くとか正気ではありません。姉として少しキツイ御灸をすえないといけません」

ミリアリア「う~ん。今のイザ姉の顔を見たら、お灸程度で済むと思えないな」

フェル「確かにそんな顔よね」

 ミリアリアとフェルはイザドラの顔を見ながらそう評した。

 今のイザドラの顔はまさに怒れる龍そのものだ。このままでは怒りのあまり龍になりそうであった。

ミリアアリア「普段は思慮深くて冷静でいい姉なんだけね」

フェル「リウイの事になると、姉さん。どうも変になるのよね。まぁ、分からなくもないけど」

ミリアリア「あ~、確かに。リウって、絶対将来は女たらしになるだろうね。多分」

フェル「ホントよね~、まだ小さいのに、時々こう女心をくすぐる事をするから、本当に三歳なのと思ったわよ」

 二人はそう話しながらも、強引に外に出ようとしているヘルミーネを押しとどめていた。

ヘルミーネ「どけ」

フェル・ミリアアリア「「それは無理っ」」

 そのまま五人は激しい戦いを繰り広げた。

 

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