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第1話 目覚めると、そこは⁉

 猪田改めリウイ視点です。

 拙作をどうぞ、お楽しみください。

 暗い闇の中。

 僕という意識が形作られていく。

 そして、僕が何者だったのかを思い出してきた。

(そうだ。あの時に、僕は、でも体は動くよな?)

 まだ、目を開けていないのだが、感触で腕や指が動くので体はあるようだ。

(僕が死んだ後に、死者蘇生の魔法でも開発されたのかな?)

 でも、この感じは何か違う。

 それを確認する意味でも、そろそろ目を開ける事にした。

 目を開けると、見覚えのない天井だった。

 首を動かし周りを見ると、何処かの籠の中に入っているのが分かった。

(どうして、こんな所に居るのだろう?)

 何故居るのか分からず、僕は立ち上がろうとしたが上半身が動かせなかった。

 何でだと思い、身体を見ると。

 視界に入ったのは、赤ん坊の身体だった。

(えっ?)

 僕は目をしばたたかせて、もう一度見たが、どう見ても赤ん坊の身体だった。

(こ、これは、もしかして、僕は今赤ん坊⁉)

 そう驚いていると、ドアが開く音がした。

 誰か来たようだ。

 そう思い身構えていると、入って来たのは女性だった。

 しかし、ただの女性ではなかった。

 雪のような白い肌。真紅の目。少し垂れた目元。

 白銀のような髪。頭の上には赤い角みたいな物が生えていた。

(魔人族⁉)

 先程まで魔王と戦っていたので、魔人族を見ると手に力が入る。

 だが、その女性は僕の顔をのぞきこむ

 そのまま僕の顔を見ていると、指を伸ばして僕の頬を突っついてきた。

 頬を突っつくのが面白いのか、笑顔を浮かべながら飽きる事無く突っついて来る。

「ふっふふ、可愛い」

 女性は初めて声をあげた。

 そして、女性は僕の頬を突っつくのを止めて、僕を抱き上げた。

「はぁい、良い子でちゅね~、ウーちゃん。お姉ちゃんが高い高いしてあげまちゅね~」

 その女性は「高い高い~」と言いながら、僕を持ち上げた。

 ゆっくりとだが、子供を喜ばせるように動かしていた。

 高い高いをされながら、僕は自分の状況を考えた。

(さっき見た限りだと、どうやら僕は身体が小さくなっていた。その時点で考えられるのは、某少年探偵の様に、身体が小さくなったかあるいは転生して赤ん坊になったかのどちらかだな)

 まぁ、どう考えても明らかに後者だと思う。

 何故なら、僕が生きている時に魔人族の知り合いはいない。

 その点から鑑みても、僕は魔人族に転生したようだ。

(転生したという事だから、僕が死んでからそれなりの月日が経ったはずだ。それを知る為にも、今自分が置かれている状況を把握しないとな)

 高い高いされながらそう思っていると、女性が高く上げるのを止めると僕の顔をのぞきこむ。

 ジッと覗き込んだと思ったら、いきなり僕を抱き締めた。

「う~ん。可愛~い~、もう。赤ん坊の頃からこんなに可愛かったら、大きくなったら目を合わせるだけで、女をたらす子になるわ~」

 女性は抱き締めながら頬ずりしてくる。

 それって、女たらしというよりも、何かの魔法を使ってないかな?

 というか、それって人間?

 そう思っていると、ドアが再び開いた。

「フェル、何時までそうしているっ」

 そう叫んだのも女性だった。

 白い肌に金色の瞳。キリッとした眼差し。

 腰まで伸ばした紫色の髪。額と耳の上と計四本の角が生えていた。

「訓練の時間だというのに、何処に行ったのかと思っていたら、ここに居たのかっ」

「ああ、イザドラ姉さん」

 フェルと呼ばれた女性は、僕を抱き締めたまま、顔だけそのイザドラという女性の方を向けた。

「いい加減、リウイを下ろせ」

「ええ~、いいじゃない。こんなに可愛いのだから」

 すいません。そろそろ、下ろしてください。

 そんなに力を入れて抱きしめてないけど、胸を押し付けられて苦しいです。

 というか、このイザドラさんも胸が大きいな。

「いいから、早くしろ」

 そう言って、そのイザドラさんはフェルという女性から、僕を強引に奪った。

 奪った僕をあやして、揺り籠の中に戻した。

「むぅ、イザドラ姉さんのケチ」

「文句は後で聞いてやる。ほら、いくぞ」

 二人が出て行くと、急に部屋が静かになった。

 どうやら、僕は魔人族に生まれ変わった様だ。まぁ、どんな家族なのかはおいおい分かるか。

 そう思い僕は眠りについた。








 

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