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第90話 魔王の間に到達

 僕達は歩き出すと、また『魔王の軍勢』の兵士達が現れた。

 その兵士達を倒しながら進むと、幾つも部屋があったのでドアを開けて入ると無人だった。そうして回り最後の部屋が目に入った。

「さっきと同じで、この部屋に四魔将の一人が居るのだろうね」

「ああ、そうだな」

「開けるぞ」

 遠山君がそう言ってドアを開けると、上へといく階段の前に全身黒い鎧を着た人が居た。

 身長は二メートル以上はあるだろう。大剣を突き立てながら僕達を見下ろしている。

 耳の上あたりの所で黒い牛みたいな角が付いたクローズドヘルム被り、金色に輝く瞳がスリットから僕達を見る。

「わたしは、四魔将が一人『巨山』のキョライシだ。いざ、尋常に勝負」

 キョライシと名乗った人は突き立てた剣を抜き構える。

 それを遠山君が前に出て武器を構えた。

「行け。ここは任せろ」

「遠山、ここは任せたぞ」

 西園寺君がそう言って、階段へと走り出す。

 天城君は苦虫を噛み潰したような顔をしながら、階段に向かう。

 僕もその後を追うが、キョライシと名乗った人は、僕達を相手にせず、剣を遠山君に向けていた。

(行かせてくれるということかな?)

 何となくだが、そう思い僕達は階段を駆け上がる。


 階段を駆け上がると道は部屋までの一本道しかなかった。

 恐らく、その部屋が上へとあがる階段がある部屋だ。

 次は誰が生贄もとい四魔将と一人で戦おうか。

 残ったのは、僕、天城君、西園寺君の三人だけだ。

 僕はどちらかというと、白兵戦よりも魔法の撃ち合いか支援に向いている。

 天城君と西園寺君はどんな相手でも渡り合えるという、無難というか万能の能力を持っている。

 恐らくだが、次は二人にうちのどちらかにした方がいいだろう。

(相手によっては、僕もありだな)

 敵の四魔将が魔法を使うなら僕が相手をして、二人は先に進ませればいい。

「誰が四魔将の相手をするかだが、相手が見えてから決めないか?」

 西園寺君がそう言うので、僕達は賛成とばかりに頷いた。

 そして、扉を開けた。

 扉を開けた先には、上へと行く階段の前に口に薔薇を咥えた男が手鏡に映る自分を見ている。

「美しい、鏡に映るわたしはとても美し過ぎる。ああ、この美しさは、美の女神ですら嫉妬する美しさであろう。ああっ、神々ですら嫉妬する美しさは、まさに罪・・・・・・」

 何か自己陶酔している人がいるぞ。

 確かに見た目は、女性と思える程に細い顎。切れ長な眼差しなので女性と言われても不思議では無い。

 でも、女性の象徴と言える所が膨らんでいないので、男性だと直ぐに分かる。

「何だ。あいつは?」

「痛い人じゃないのか?」

「どっちかと言うと、ナルシスト過ぎて、オネェの一歩手前ぐらいの人かもよ」

 あまりにキャラの濃さに、ヒソヒソと話し出す僕達。

 そうして話していると声がようやく耳に入ったのか、男の人は鏡で自分を見るのを止めて、鏡を懐にしまい僕達を見る。

「ふっ、ようやくここまで来ましたか、あまりに遅いので待ちくたびれましたよ」

 男は意味もなく手で前髪を払う。

 その気障たらしい仕草に、僕達は引いた。

「わたしは四魔将筆頭『疾風』のマクトゥサです。少しの間ですが。見知りお気を」

 貴族がするような手を胸に当てながらする礼をする。その気障たらしい仕草に更に引いた。

「ここで四魔将筆頭が姿を見せるとは、この先に魔王が居るのは間違いないか」

「その通りです。魔王陛下は玉座で貴方達をお待ちですよ。ですが」

 マクトゥサは腰に差している剣を抜き、半身を引き剣を構えた。

 その構えはフェンシングのようであった。という事は敵は突きを主体にした攻撃をしてくるわけだ。

(確か前に何かの本で、フェンシングは最速の剣技って書いてあったな)

 斬るという動作は、振りかぶり、振り下ろし、斬るという三動作だ。

 突きはという動作は、突く、引くの二動作だ。

 一動作少ない分、早いのだ。故に突きを最速の技なのだ

(突きを主体にした剣技から『疾風』と言われているようだな)

 さて、どうしたものかな。

 僕が相手だと、魔法を発動している間に攻撃されて、守りで手が一杯になりそうだ。

 であれば、ここは西園寺君か天城君のどちらかだな。

「俺が相手をしてやろう」

 西園寺君が前に出た。

「貴方が相手ですか。良いでしょう」

 マクトゥサは剣を西園寺君に向けた。

「お前達、早く上に行け」

「分かった。・・・・・・死ぬなよ。西園寺」

「ふっ、誰に物を言っているんだ。お前は」

 いつものやりとりをして、僕達は階段を駆け上がって行った。



 階段を駆け上がった先には、もう扉しかなかった。もう扉しかないのだから、誰が居るのか分かった。

「ここに魔王が居るのだな」

「多分ね」

 四魔将と言うから、後もう一人居る筈だ。それとも、魔王と共に居るのかな?

 でも、普通そこは四魔将筆頭が居ると思う。

「・・・・・・よし、入るぞ」

 天城君は頬を叩いて気合を入れた。僕も考えるのを止めて、深呼吸して気持ちを落ち着けた。

「いいよ」

 僕がそう言うと、天城君は扉を開ける。







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