第85話 決戦会議
各方面から侵攻してきた軍が、平原に集まり、総大将であるアウラ王女が居る所に向かう。
僕が本陣に着くと、既に今回の侵攻軍の将軍達が揃っていた。
「遅れて申し訳ありません」
僕は一礼すると、ライオル陛下が手を振る。
「構わん。まだ、始まっていない。それより早く席につけ」
「はっ」
僕は定位置なのか明らかに空いているエリザさんの隣に座る。
席に座ると、会議が始まった。
「まずは、敵の首都に出した斥候の報告を聞こう」
アウラ王女がそう言うと、エルカス将軍が席を立つ。
「敵首都『オレバーツビムア』には幾重に及ぶ防塁が築かれ、堀なども掘られています。または、首都を空から偵察に向かった者達の報告では、首都上空には黒い霧が立ち籠っており、中の様子が確認できないとの事です」
「では、敵のそ総兵力は分からずか」
「その通りです。中の様子に入った者達は帰還していません」
「分かった。だが、周辺の状況だけ知りたいので、斥候は続けろ。だが、首都に入る事は禁ずる」
「承知しました」
エルカス将軍は席に座ると、今度はバハクート将軍が席を立った。
「総大将閣下にお聞きしたい。此度の敵首都の攻略はどのように行うつもりなのか、そこの所をお聞かせいただきたい」
バハクートのそう訊かれたアウラ王女は顔をバハクート将軍に向ける。
「敵の首都にここまで来たのだ。後は力で攻めるだけだ」
アウラ王女がそう言うと、将軍達はざわつきだした。
無理もない。敵の総兵力が分からないのに、首都を力攻めなんて普通はしない。
兵法でも、城を攻めるのは下策と言うからな。
「総大将、時間を掛ければ我らが不利になるのは分かります。ですが、無理に攻めて兵力を失うのはどうかと思いますが」
「左様。なれば、ここは首都の情報を収集して攻める時を見計らうべきでは?」
将軍達は力攻めは反対のようだ。
だが、一人だけ賛成の者が居た。
「我は賛成だ」
ライオル陛下がそう言うので、皆顔をライオル陛下に向ける。
「首都を攻めるのに、最初から小細工を弄してどうする。まずは一当たりする。そして、敵の兵力備えなどを確認してから、策を練ればよい」
ライオル陛下の言葉を聞いて、反対の意見はなかった。
「まだ、反対の意見はあるか?」
皆、何も言わない。
「では、今日から三日間休息を取り、四日後に首都を総攻撃する」
「それでは敵の攻勢を誘うようなものですぞ⁉」
「そうなったら、そうなったらで迎え撃ち決戦に持ち込むだけだ」
アウラ王女の言葉を聞いて納得した。
そして、本陣から将軍達が出て行った。
僕は王女様に言いたい事があったので残った。
「総大将閣下」
「何だ。義弟殿」
「そう言うのは、まだはやいと思いますが、今はそれよりも四日後の総攻撃についてですが。僕に一計があります」
「ほう、どんな計だ」
「そうですね。まずは」
僕はアウラ王女にその計略を言うと、その作戦で行く事が決まり、僕は本陣を後にした。