第7話 でも、僕以外にもデュアルは居た
「「「「おおおおおおおおおおおおおおっ‼」」」」
ライデルがそう叫ぶので、クラス皆は驚愕している。
「僕が・・・・・・デュアル・・・・・?」
突然の事で何とも言えない。
ここで立っていたら、他の人達に迷惑になると思い、台座から下りる。
居た所に戻ると、マイちゃん達が僕の周りで喜んでいた。
「凄い、凄いよ! ノッ君、デュアルなんて、流石わたしの幼なじみだね! あたしも鼻が高いよ!」
「うむ、その通りだ。流石はノブだ。わたしも誇らしいぞ。・・・・・・・未来の妻として(ぼそ)」
「うんうん、猪田君は本当に凄いね!」
三人が自分の事のように喜んでいる。
それは嬉しいのだが、三人の喜んでいる姿を見て、男子達がもの凄い目で僕を見てくる‼
(そんなぁ、ただ、喜んでいるだけなのに⁉)
そうしていたら、西園寺君が職業を得る為台座に向かう。
水晶に手を置き、輝きだす。そして無機質の声が響く。
『西園寺颯真・・・・・・職業、皇帝』
えっ⁉ 皇帝? そんな職業あるの?
「おお、これはまた凄い。この職業は歴史上二人しか確認されていない職業です。その二人は新しい王朝を築いた英傑です」
「「「「おおお、凄い‼」」」」
クラスの皆は驚いているが、西園寺君本人は喜んでいるように見えない。
「ふん、〝皇帝〟か・・・・・・」
僕をチラリと見て、台座から下りた。
何で、僕を見たのだろう?
そう思っていたら、体に突き刺さる視線が更に増えた気がする。
(気のせい、きのせいだよね。多分)
僕はそう思い直す。
「よぅし、あたしもそろそろ、職業を貰いに行くかっ」
マイちゃんが、台座に向かう。
「そうだな。そろそろ。わたしも貰いに行くとしよう」
「わたしも」
ユエと椎名さんが後に続く。
3人が台座に行くと、クラスの男子がざわざわと騒ぐ。
「おい、我が校三大女神達が行くようだぜ」
「ああ、真田さんの明るい笑顔を見ていると、なんだか親近感を感じるよなっ」
「読者モデルで週刊誌の表紙にもなるくらいだし、脱いだら凄いんだろうなっ」
「いやいや、張さんのクールな表情もたまらないだろう!」
「あの顔で罵られたら、最高なんだう‼」
「何を言っている‼ 椎名さんの微笑みに比べたら、月とすっぽんだろう!」
「あの微笑みを見る為なら、俺は何でもする! 例え、悪魔に魂を売ってでも!」
男子達は自分達の好みを言いあうと、睨み合う。
皆、自分達の好みの方ガ良いと思っているので、余計に達が悪い。
「・・・・・・でも、三人共、猪田にゾッコンだぜ」
「「「「まさに、その通りっ 口惜しやっっっ‼」」」」
何か、男子達が血涙を流しながら、僕を睨んでいる。
そうしていたら、三人が台座に近付く。
最初は、マイちゃんから手を置いた。
水晶は輝きだした。光が止むと、無機質な声が響く。
『真田舞華・・・・・・・・・・・・・・・・職業、騎士王、魔法帝』
今、マイちゃんも職業を二つ呼ばれたよね? という事は・・・・・・・。
「素晴らしい! 騎士王とはかつて、この世界を支配した王『獅子王』が持っていた職業です。更に魔法帝の職業を得るとは、デュアルだけでも珍しいのに、その上このような類まれな職業を得るとは⁉」
ライデルが声を大にして叫ぶ。
そんな中でも、ユエは冷静だった。
「ほら、次はわたしだ。マイ、どけろ」
「はいはい、ユエはどんな職業を得るかな~」
「ふん、当然、お前に負けないくらい凄い職業に決まっている」
ユエがそう言って、水晶に手を置く。
水晶は輝きだし、止むと無機質な声が聞こえる。
「張月亮・・・・・・・・・・・職業、女帝、覇王」
はい? 女帝に覇王? 覇王って職業なの⁉
「な、女帝に覇王だと、そんな職業聞いた事ないぞ⁉」
ライデルも聞いた事がないようだ。
困惑しているライデルを放って、ユエが台座から下りる。
「ほら、次は椎名だぞ」
「うん、わかっている」
椎名さんが水晶に手を置く。
先程までと同じく輝き、それが止むと声が響く。
「椎名雪奈・・・・・・・・職業、神巫、シノビ」
うん? 神巫? それにシノビ? それって忍びの事か??
椎名さんが忍びなんて似合わない職業だ。
「神巫・・・・・・? 忍びはまだ聞いた事があるが、何だ、この職業はわたしは聞いた事なんかないぞ‼ あり得ない、あり得ない‼」
ライデルは自分の理解許容量を越えたのか、頭をガリガリとかきむしりながらブツブツと呟く。
クラスの皆は、驚きのあまり口をパクパクと動かす。
「凄いな、僕以外にもデュアルの人が居たんだ」
僕は思った事を口に出した。
すると、三人は花も恥じらうような笑顔を浮かべて、僕を見る。