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Cyber's ーサイバーズー  作者: 和葉瑠奈
プロローグ
1/9

《No.1106》

初投稿です。これからよろしくお願いします!


「次No.1106。おい。起きろ。」


近くで俺を呼ぶ声がする。その人間味のない冷たい声で俺は目覚めた。ついに俺の番が来たらしい。まだ起きたばかりで意識ははっきりとしていなかったが、そのことははっきりとわかった。


辺りはとても暗く、とても狭い、人間の住めるような所ではない。というのが正直な感想だ。


 まぁ【檻の中】にいる訳だから当たり前なのだが。


 そうしてやっと声の主を見る。すると暗くてもよく見える白衣を着た人間がいた。


「No.1106早く出ろ。」


まるで機械かのような何も感情を感じさせない声に促され、俺は檻から出る。いったい何回この動作を繰り返したことだろう。すでに習慣化しつつある動作で白衣に従い、その後ろについて行く。


俺がここに来てどれだけ時間が経ったのか、ここがどこなのか、全くわからない。何故こんな所にいるのか、俺の名前も生まれた場所すら分からない状態だ。


分かることとといえば、手足には錠が付いていること、衛生管理などひどい有り様、何千人もの人間がここに幽閉されていること・・・


総じてここが【地獄】だという事だけだ。


ここはなにかの実験場を行っているらしい、毎日毎日多種多様な実験が俺達。いや実験体に施される。施される実験の内容は人によって違うらしく、実験体達は組み分けられ、毎回実験場までこの研究員らしい白衣達についていくことになる。


そして今回は俺の最終実験なのだそうだ。今までも具体的にどのような実験なのか説明されたことはない。にもかかわらず実験を受ける以外に選択肢は無いという非道っぷり。最終実験というからには終わったらここから出られるのだろうか。


俺より前に最終実験を施された奴らはどうなっただろう。元気でやっているだろうか。案外ここから出て楽しい生活を送っていたりするのだろうか。


最終実験終了後に帰ってくる見るも無惨な肉塊達を見ておきながらまだそんなことを言っている自分がいる。


いや本当は俺も分かっているんだ。この実験を受けるというのは、俺の死を意味するという事に。何を受けたらあんな姿になるのかは想像したくない、だから目を背けてしまう。


 何故抵抗しないのか?その答えはシンプル。無意味だと分かっているから。


 抵抗するやつがいなかった訳じゃない。しかしいつの間にかそんなことをするやつはいなくなっていった。それも存在ごと・・・


 いなくなった奴らはどうなったのかは教えてなどもらえない。だからみんながみんな理解した。抵抗など無意味だと・・・


考えているうちにどこかの扉の前に立っていた。扉の上についている赤色のライトがこの扉のを異質さをよりいっそう際立たせ、この先の闇を警告しているかのようだった。初めて来る場所だ。目の前の白衣が普段より明らかに口角を釣り上げたのがわかった。


「被験体No.1106を連れてきました。」


白衣の言葉で重々しくその扉が開く。中はさっきまでとはまるで違い明るい。突然の明るさに俺は目を瞑った。


再び目をあけ眩しいばかりに明るい部屋を見る。白い部屋の床は赤色に染め上げられている。部屋の端に集められ纏められている原型の無い人間の四肢。


扉を開けた先にあったのは、おびただしい程の死だった。


大量の肉塊と血液、顔であっただろう部分を見るとナンバーの近い顔見知りによく似たものもあった。


(はっ。冗談だろ、今から俺もそこに混ざるのか。)


目の前のあまりの惨劇に体が竦み、体の感覚も狂い、もう笑うことしかできない。気味の悪い笑顔が顔に張り付いて取れない。


「次は君か。」


「No.1106といえば、前回の実験でも高い評価を得ている個体ですね。」


「次こそ壊れないことを期待したいね。」


「君はどんな研究の成果を示してくれるのか、楽しみだ。」


そんな声が部屋の奥の方から聞こえ、数人の白衣を着た人達が奥の扉から姿を現した。


体は俺の言うことを聞いてはくれず、ただいわれるがまま部屋の中央にあるベットに横になる。反抗して逃げようにも拘束具と恐怖で竦んだ体がそれをさせない。全身に力が入らない。


さらに厳重に拘束具が取り付けられ、全く身動きが取れなくなると、


「さて、君はどちらかな。」


と研究者達の笑い声が聞こえるとともに全身が信じ難い激痛に襲われた。


「ーーっ!ああああああああ。」


痛すぎて声が声にならない。酷く掠れた声で叫ぶ。


俺にどんな実験を施しているのかすらわからない。思考が考えることに使われず、ただ襲い来る強大な痛みに対応している。


まだこの世界に生を受けて、死んだことなどもちろんないが、それでも自分が死に至るだろうと考えるのに、十分すぎる痛みだ。


体は軋むような感覚に陥り、全身が燃えるように熱い。頭なんて溶けてしまっているのではないかと思うほどに・・・


(ああ、俺は死ぬのか・・・)


いつになく達観した心境でいると、どんどん意識が朦朧としていき、身体の感覚はもうない。


(こんなことになるぐらいなら・・・あいつの・・・いとけば・・・よかったな・・・)


科学者の言葉の意味も分からないまま、そこで思考が完全に停止し、俺の意識はそこで途絶えた。

難しい。

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