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30.『列強』、台頭(中編)

流行の衣服を飾った華やかなショーウィンドウ。その奥に四人の姿がある。

ゲーセンを出るなり、「洋服買い行こ!」とティシリーが三人を近くのアパレルショップに引っ張りこんだ。

大きめの帽子を互いの頭にかぶせあったエイリと千風が、手をつないで鏡を探しに駆けて行く。

それを笑顔で見送るティシリーに、義維がすっと寄ってきて言う。

「千風の服、何着か選んでくれないか」

ティシリーが振り向く。澄んだ碧眼が、義維の顔をじっと見上げ。

「んーん。ズルしちゃダメよ、ギイ」花の描かれたタイルの上で、金髪少女はくるりと踊るようなステップを踏む。「ギイが選んだ服が、チーは嬉しいの!」

「いや、そういうのでは」

「同じよー」

念押しするように人差し指を立てて。

「同じなの」

吸い込まれそうな丸い碧眼が、まっすぐに義維を見据える。

「……」

鼻から息を吐いた義維が、首の後ろをなでつつ小さくうなずいた。

「いいにおーい」

かぶっていた帽子を元のポールに引っかけた千風が、鼻をひくつかせながら、ふらふらと店の出口に向かう。

ティシリーがぱっと顔を輝かせる。

「プレッツェル! 行くよエイリ、ギイ!」

にわかに手をつないで駆け出す千風とティシリーに、

「まだ遊ぶの? 元気だなぁ」

とぼやきながらエイリがその後を追い、最後に手元の商品を元の棚に戻した義維も続いて店を出て、

――突然の爆音。

エイリのフードを引っつかんだティシリーと、千風を抱き上げた義維が同時に脇道に飛び込んで、ぐっと姿勢を低くする。

むわりと周囲に蔓延する煙にか、それとも首元が絞まったからか、げほげほとむせこむエイリ。


「――見つけたぞ、『列強』!!」


男の楽しげな大声が、騒がしい往来にとどろいた。

「なんだ?」「『列強』?」

どよめく周囲が、呼ばれた誰かを探すように視線をさまよわせ――脇道から出てきた4人のうち、金髪の少女に一斉に視線が集まる。

ド派手な格好をした赤髪の男が、ただ突っ立っているだけの少女を見つけて、ニヤリと笑った。

赤毛の名を周囲の野次馬が囁き合う。この近辺で幅を利かせているロウシンの中堅だと気づいた義維は、とっさに千風の前に立つ。

「あ。あいつ……!」

男の顔を見て、エイリが顔をしかめる。

「知り合いか」

義維の問いに、エイリはもごもごと口ごもり。

「知り合いというか……この前もウチの前まで来て、追い払ったんすけど。しつけーな」

「おいおい、なんだ、今日は家族連れかー?」

嘗め回すような男の目線とその言葉に、エイリがあからさまにむっとする。

「まぁいい、今日こそ俺と来てもらうぞ」

「いーやーだー!」満面の笑みで叫び返すティシリー。「今日はチーと遊ぶの!」

「う!」

義維の後ろで飛び跳ねる千風。

続いて問答無用とばかりに聞こえてきた発砲音に、全員、頭を引っ込める。ざわめきながら瞬く間に走り去っていく無数の足音。

「状況、分かるか。味方は?」

壁に背をつけて銃を取り出す義維の短い問いに、エイリは素早く首を振り、

「あいつはティシリーをミズチから力尽くで奪おうとしてるロウシンで、あっちのロウシンは『列強』を倒したって功績が欲しい奴らで、」

赤毛の男とその背後に控える集団を示した指が、すっと水平移動して、通りの先の軽トラックにペイントされたロゴを指さす。

「で、そいつらから『列強』を守って取り入ろうとしてくる奴らと、」

通りの向こうから、武装した男たちが大声で何事か叫びながら駆けてくる。

「単に『列強』とケンカしてみたいだけの奴らと、」

酒瓶片手に、ニヤニヤ笑いながら銃を抜く数人。

「あとたぶんあのへんに、この騒ぎの中でどさくさにまぎれてティシリーのこと誘拐しようとしてる奴ら」

エイリは最後に、西側に建っている崩れかけの建物を指さす。

じょじょに増えていく砲撃音に、

「もうもう!」いきなり叫んで飛び出していくティシリー。

「あ、一人で出てったら危ないって!」

つかみ損ねたエイリの手が空を切る。

「……ああもう」

エイリが頭を掻きむしる。それからすぐに二人を振り向いて、

「あ、ただの様子見なのですぐ戻ってくるよ」

追って飛び出そうとしていた千風と、それを引きとめようとしていた義維に言う。急に大人しくなった千風を抱き込んだ義維が、通りの先をうかがい。

「しかし、混戦状態だな」

そこへ、ティシリーがたかたかと無傷で駆け戻ってきて、

「答えはー、全員ボコる、だよ!」

両手に二丁の拳銃を持ち、西部劇よろしくクルクルと回し、ふふん、と得意げに言ってのけた。

「……確かにな」と壁の向こうを見ながら義維。

この状況、誰が誰でどうなどと、判断している間に蜂の巣だ。

二丁の拳銃で応戦中のティシリーの、足元にばらばらと空薬莢が落ちる。

どぉん、と遠方で爆音。ばらばらと瓦礫の崩れる音。どこかのサイレン。

全弾撃ち終えたらしいティシリーが、何事もなかったかのような晴れやかな笑顔で皆を振り向いて、んー、と考え込むように、あごに人さし指を当てる。

「ていうかー、ギイ、チー、帰ってもいいのよ?」

「だめーっ」

慌てて答えた千風が駆け寄って、ティシリーにはっしと引っつく。そのまま、きゃいきゃい言いながら回る二人。

義維が黙ったままエイリを見て、まだらに脱色されたつむじにたずねる。

「ミズチの傭兵たちは? 増援に来ないのか」

義維の問いに、少年は悔しそうな顔でうなずく。

「……いつもティシリーが無傷でへらへらして帰るから、助けに行ったほうが毎回大怪我するのは割に合わない、とかなんとか言って……」

心配しなくても怪我などせずにケロリとした顔で帰ってくるのだから、巻き込まれてとばっちり食らうのはただのくたびれ損。仲間の一人に言われた言葉を復唱して憤慨する少年。

「いつもどうしてるんだ」と義維。

「とりあえず、帰り道、切り開く感じで……」

「なるほど」

小さくうなずいた義維は、次に千風に目を向けて言う。

「ちー、お前はあまり目立つなよ」

千風はむむっとむくれてみせると、

「おねえちゃんピンチだよ!」

「そうだが」

「大丈夫よ、いつものこと!」

動揺の欠片もなく、にっこり微笑む金髪の少女。

おもむろに何かを取り出すと、

「ギイ! ――Throw'em!」

ティシリーが叫んで、ぽんと義維に手渡す。

「は?」

「できるだけ遠くに投げて、って!」

エイリが訳す。

言うとおりに振りかぶって投げる義維。

途端、どぉん、と爆音。赤い爆煙が柱のようにほとばしる。

薬局の壁ががらがらと崩落し、棚に陳列されていた小箱が次々と滑り落ちる。

「さって、行くよ!」

吹き付けてくる熱風を浴びながら、千風の手を引いたティシリーが飛び出して駆け出す。

「……手榴弾か」

二人を追いつつ義維がつぶやく。

路上駐車の大型トラックの陰に飛び込んだティシリーを追って、いくつかの発砲音がトラックの周囲で鳴る。

古い石畳の上を酒瓶が転がる。

路地裏から現れた赤ら顔の男が、グローブを付けた手をティシリーに伸ばす。

「うあああ!」

そこへ、大声を上げた少年が飛び込んでくる。ぶん、と男の鼻先目がけて振るわれる小型ナイフ。反射的に一歩退いた男の間に割って入ると、エイリが叫ぶ。

「ティシリー奥行って!」

うなずいて路地裏の細道を駆け出すティシリーが、

「行こ、チー!」

「わう」

壁際に立っていた千風の手を引いて連れていく。

先回りして路地の先で応戦していた義維が、エイリを置いて走ってくるティシリーに気づいて、怪訝な目を向ける。

ティシリーは細い指をそっと上唇の先に当て、

「エイリはね、あたしの騎士様なの」

とても浮かれた様子で義維に言う。

ティシリーの耳から下がる欠けたフープピアスが、日光できらりと光る。

義維は黙ってうなずく。

金髪の少女は建物の影から飛び出すと、待ち構えていた者たちを次々と撃ち取ってから、道路を挟んだ先に立っている赤毛の男に向き直る。男はニヤニヤ笑いながら言う。

「俺たちの傘下に入るって言えば助けてやる」

得意気に脅迫する男に、

「……誰に口聞いてんだバカが」

『列強』の実力を正しく知る近くの一人が、侮蔑しきった顔を向けて呟く。


***


数軒先の料理屋で軽いガス爆発が起きる。壊れかけの換気扇からもうもうと出てくる、油の匂いの黒煙。

千風と手をつないだままのティシリーは、きゃいきゃい言いながら楽しそうに右へ左へ逃げ惑う。

瓦礫の山を身軽に駆け上った金髪美女が、くるりと踊るように振り向いて、びしりと挑発的に中指を立てる。ひゅう、とどこからか揶揄する口笛と、下卑たスラングが一気に飛び交う。

ちょっと赤面したエイリが、ああ、と肩を落とす。

「だから、あれやるなって言ってるのに……」

ティシリーが楽しんでいることに気づいた義維が、加勢しようと取り出していた拳銃をそっと下ろす。

しかし、と義維は、一瞬で瓦礫の山と化した市街地を見渡して。

「なんでこんな……恨みでも買ってるのか?」

エイリが、ううん、と首を振る。

「『列強』を仲間にしたい奴がほとんど」

「……そうは見えないが。殺しに来てるだろ、あれ」

義維の問いに、少年は年齢に似つかわしくない、気苦労をたっぷり背負い込んだようなため息をふぅと吐き。

「最初の頃はもうちょっとマシだったんだけど、どんだけ脅してもティシリーがけらけら笑っていなすから、みんなどんどんマジになっちゃって。そう簡単にやられないってことがバレたから、じゃあ手加減いらねぇな、ってなっちゃって……」

「……なるほど」

とんでもないな『列強』、と口の中だけでひっそり呟く義維。

今も目の前で、まるでアクション映画か何かのような動きで、爆炎をひらりとかわす。ショートパンツからむき出しの白い足には汚れひとつ、傷ひとつついていない。

赤毛の男が大声でティシリーを呼ぶ。

「おいおい、一体何が不満なんだ? あんたがミズチを出たがってんのは承知してる」

尊大な態度で言い放つ男。壁の裏に身を潜めながら、「ん?」と首をかしげるティシリー。

「……そんなこと一言も言ってない」

エイリがぼそりと呟く。義維の目線が向けられるのに、

「そもそも、ミズチが雇ってる訳じゃないんだ。ティシリーはただの居候。出ていきたいなら、いつでも出ていける」

とエイリの解説。義維が小さくうなずく。

なおもやいやいとわめいている赤毛の男の御託を無視して、

「んー、ていうかー、あんまし町壊すとヒルエがうるさいのよね」

そう呟いたティシリーが、ハイカットスニーカーのかかとを鳴らして、隠れていた物陰から進み出る。

――ぱすぱす、と軽い音。

「あ?」

そうと気づく前に自身の胸元を撃ち抜かれ、鮮血を散らして次々に倒れる男たち。

「……え?」

薄くにおう硝煙のにおいに、小さくつぶやいた千風が顔をあげる。どこから取り出したのか、ティシリーの手には見たこともない細身のライフル。

千風が銃身の刻印をじぃっと見ながら歓声をあげる。

「しずか! それなにー?」

「うふふー、クール? 名前はないよ! 型から全部、世界にひとつ、あたし専用の特別製!」

「うう、すごい!」

「でしょー? 聞いて驚け、ギュスケイル製!」

「うー?!」

誇らしげに笑いながら、バトントワリングのようにライフルをくるくると回してみせるティシリー。それから、火薬臭い空気をたっぷりと肺に吸い込んで、

「あたしの邪魔したらぁ、全滅しても文句言うなよー!」

崩れかけの壁の向こうで次の攻撃の用意をしている男たちに向かって、得意げに叫ぶ。加勢として連れてこられた数人が不安げな表情をし、慣れっこの数人は好戦的な笑みを浮かべる。

「おい、あのガキはなんだ?」

見慣れない千風の存在に気づいて、群衆、もとい野次馬たちが好き勝手にざわめく。

「ミズチの関係者じゃねぇのか」

「見たことねぇぞ、まさか『列強』の子どもか?」

だんだんと広まっていく千風への追求に、義維の眉間のシワが人知れずぐっと深くなる。千風がハッとなり、

「おねぇちゃん、こっち!」

「ん? チー?」

つないでいた手を引いて、千風が瓦礫の上から転がり落ちるようにして駆け降り、群衆の中にぴょんと飛び込む。割れる人垣も気にせずどんどん走っていく二人が、やがて雑踏にまぎれて見えなくなるのに、

「ちー、どこ行く」と義維。

義維とエイリが慌てて二人の姿を追う。


一方。

人ごみの中で突然立ち止まった千風が、ティシリーの手をぱっと離して、とすんと片膝をついた。

「チー?」

千風が取り出した銃を見て、ティシリーは即座に口をつぐむ。雑踏の中央、千風は身をよじるような体勢でその銃を構え、ゆっくりと右目を眇めて。


千風が消えたあたりからいきなり聞こえてきた数発の発砲音に、エイリがぎょっとなる。

「ここ市街地……!」

何が起きたのかと動揺する人ごみの中、ほかより頭ひとつ分背の高い義維が、背後の大騒ぎに気づいて振り返る。先ほどまでティシリーに銃口を向けていた男たち6人だけが倒れて血を流している。そこへ、別の男たちがわっと集まっていくのが見えた。

人混みの間を縫って的確にしとめた腕前に、「さすが『列強』」と、少し離れた位置にある崩れかけのコンクリート壁越しに、野次馬たちが笑いながら騒いでいる。

「いた! ……ってティシリー?」

蜘蛛の子を散らすようにほうぼうへ逃げていく群衆の中、ようやく二人を見つけたエイリが駆け寄り――ティシリーの頬がじわじわと赤らんでいくのを見た。

直後、エイリがぎょっとなるほどの笑みを浮かべたティシリーが、きらっきらした目で千風の両手を握る。

「クレープ! ジュド!」とティシリー。

「ちょっとティシリー、いきなりなにわめいて……」とエイリ。

千風が息を呑んで、目を瞠る。

「おねぇちゃん、おとうさんのこと、知ってる?」

「へえぇ、ダディ!」

千風をひょいと抱き上げて、ティシリーがくるくる回る。金髪を束ねるスカーフの先がひらひらとなびくのを、千風の目が不思議そうに追う。

「……十堂殿は、ロマへの渡航歴が?」

追いついてきた義維の問いに、

「ん、そーね。10年前くらい」

ぴゅうっ、と陽気な口笛を吹くティシリー。

「えーっとねぇ、自治権ちょうだいって三ヶ月くらいゲリラ戦したのだけど。ジュド、しぶとくってねぇ」

金髪少女はけらけら笑う。知らない昔話に目を輝かせる千風の後ろで、敵同士だったのか、と義維が内心で愕然とする。

「おっと、治安部隊だ」

聞こえてきたサイレンの音に、誰かが呟く。

赤い警光灯を光らせた車両が瓦礫の山を踏み越えながら走ってきて、荒々しいブレーキ音とともに停車する。降りてきたのは全身装甲武装の治安部隊員が数十人。

野次馬たちが各々後ろめたそうな顔をして彼らから少し遠ざかる。

「逃げたほうが」

慣れた対応とその手際を見た義維が言いかけるのに、ティシリーはちっとも焦った様子など見せずに首を振る。

「だって、あの人たちには、止められないもの」けろりと言う。「あれはね、交通整理に来たのよ」

「……交通整理……」

ひどい言われようだ。

「ハァーイ!」と顔馴染みらしい治安部隊隊員に手を挙げるティシリー。なにやら会話し始めるその脇で、エイリが不気味そうに千風を見る。

「ギイさん、ちーって、なんなんですか」

義維は、なんと答えるか少し考えて。

「……狙撃手の娘だ」

「さっきティシリーが言ってた、ジュドって狙撃手?」

「ああ」

装填を終えた銃を持って、エイリが立ち上がる。

誰かが助力を呼んだのか、騒ぎを聞き付けて来たのか、大通りの先から数台の車がやってきて武装した男たちが次々と降りてくる。

それを見た義維がエイリを呼ぶ。

「……キリなくないか、これ」

「夕飯までに帰れるか、いつも微妙なとこなんです」

大真面目に答えるエイリに、

「……そうか」

短く答える義維。

と――そこに、着信音。

動きを止めた義維が、上着から端末を取り出し緊張気味に電話に出る。

『よからぬ情報を耳にしたんだが……今、何してる』

「……なりゆきで、『列強』と、共同戦線を」

「りーだー?」

見上げて問う千風に肯定する義維。そのやりとりに碧眼がついと動き、

「Shall I、ええと、あたしがリーダーに言う?」

事態を把握したらしいティシリーが、気を利かせて義維の端末に手を伸ばす。

「ああいや」断ってから、ふと思い立ち。「……あの、話されますか、『列強』と」

肯定の返事を聞くなり、義維は少女に端末を手渡す。

「もしもしー? ん? そーよ」

二、三、言葉を交わしたあと、ティシリーがぱっと目を見開き。

「トリス!」

いきなり異国語に切り替わったかと思うと、べらべらと早口に話し始める。

千風が面食らったように、ぱちぱちとまばたきして。

「ちっぴー!」

「ああ、鳥巣さんか。……そうか、知り合いなのか」

いつぞや千風の元を訪ねてきた車椅子の男を思い出した義維が、上機嫌に話しまくるティシリーを眺めていると、

「たぶんねー、ちっぴー風船くれるからねー」

千風が体を揺らしながら得意げに説明する。

「女子どもに人気?」

義維が聞くのに、千風がこくんとうなずく。

「それもあるんすけど、あいつ、女物の服屋とかカフェとか詳しくて」

その横、敵対心剥き出しで顔をしかめるエイリ。

「ていうか最初だって、往来でいきなりティシリーのことナンパしてきて」

いまいましげにエイリが言う。

「ギイ!」ティシリーの声。

ぽいと宙を舞った端末が、義維の手に戻る。

『なに、文字数単価? ――ああ義維、話はついた。今から援護に向かう』

鉾良に了承の返事をして通話を切った義維の前で、

「早く片付けて、ごはん行こ! あたし、食べたいものあるの」

ティシリーが勇ましく言うのに、

「う!!」

賛同するようにぴょんと飛び跳ねる千風。

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