一、神様は縁を結びに人間界に急ぐ。
...やめてくれ。
「...っ、...!!...」
...そんなに自分を責めるな馬鹿。
消えゆく自分の体を抱きしめて悲痛で歪み叫ぶお前の顔なんか、見たくない。
「馬鹿...。でも...もっと...」
...もっと一緒に居たかった。
最後の最後まで素直になれなかった。
そして何かがはじけた。
*
「天結。これが今回のお前の仕事だ」
「かしこまりました」
そうして受け取った紙を見る。
そこに写っていたのは人間。私は縁結びの神だった。
私は人間が嫌いだ。何もできず蛍のように儚く死んでいくくせに、愛という力を使い子孫を残していく。
馬鹿馬鹿しい。神は無限の命を持つのになんで人間はこうなのだ。
考えるだけで腹がたつ。もうやめよう。
「今回は、早めに終わらせてさっさと帰ろうか」
縁結びの神の仕事は二つある。
一つは人間の縁の紐を結ぶこと。もう一つは神として人間に会い、縁結びの協力をすること。
今日は二つ目の面倒な方だ。
紙をもう一度見直す。
「男子高校生。笹倉春季。ふーん」
ぽわぽわとした間抜けな顔。こんなやつが好きになられたら私はとても困る。
二枚目の紙には女の子の顔があった。
夏希昨夜。
しっかりしていそうだが、いたって平凡な子だな。お似合いなんじゃないか?
そんなことを思いつつ天界を飛び立つ。
勢いよく落ちていく体を重量から解き放つ。
そして笹倉春季の家に向かう。
...あそこか。
私はたんたんと並ぶ家の一つを目指す。
そしてその窓をすり抜ける。そこには一人の
少年が黙々と宿題と言われるものをしているようだ。こちらには気がつかない。なんたって窓をすり抜けたからな。
「おい、お前」
少年はびくりと体を動かす。
今の私は不法進入みたいなものだからな。
「なっ...!?誰ですかっあなたはっ!?」
「私?私は縁結びの神の天結だ。笹倉春季の縁を結びにきた」
「は...はぁ...?」
「なぁに、混乱することは無い。ちゃんと証拠はあるからな」
何百年もこの仕事をやっているんだ。混乱することぐらいわかっている。そんなやつにはこうしてきた。
「...わぁ...と、飛んでる...」
そう。科学的には考えられないことをすればいいのだ。
「どうだ、少年。これで分かったか」
「わ、分かったよ!」
「では、本題に入る。少年は夏希昨夜が好きなのか?」
彼の頬が赤く火照る。
「んー...好きというか、気になってる...憧れてるのかな...?」
曖昧なやつだ。まぁいいか。
「ふーん。その子のことはなんで憧れているんだ?」
「え、えと...何にも一生懸命なところかな」
私は恋話が大好きなのだと思う。気がつけば色々聞いてしまう。
...まぁ、そんなかんじで縁結びを始めることにしようか。




