登校 4
西野は佐藤の手を結局受け取らず自らの力で立ち上がり佐藤に質問の内容を聞かこ言葉を繰り出す。
「お前っ……覚えているのか」
「まぁまぁそんな怖い顔しないで!可愛い顔が台無しさ」
佐藤はウインクをしながら言う。気のせいだろうか周りから女子が居なくなっているような気が……いや、気のせいじゃない本当に居なくなっている!佐藤に対して生理的危機感を味わったのだろう。
「いやぁまぁ……ね?覚えてるのかって聞かれても何も思い出せないんだよ。でもさ……毎日つけてる日記にあった覚えのない事が書かれてさ……んでそこの瑞ちんに……」
「おい」
「瑞貴に日記に書かれていることと似ている物事について質問されて、まぁ気になったから京佳さんに質問しようかなーって思っただけ」
佐藤に瑞ちんなどと馴れ馴れしい呼び名を言われたら女子に同じ変態者扱いされかねないからな……言い直してよかった……うんよかった……。………………いや良くない!俺が昨日のこと覚えてるってバレたじゃねぇか!
「おい……佐藤」
「わかったわ……ありがとう佐藤君。あなたは覚えてないならそれでいいわ。問題はそこの覚えてる瑞貴って人ね」
「うっ……」
なんだろう……西野の背中から何やら黒い威圧感のある何か立ち上っている錯覚を覚えた……さっき佐藤に放った殺意と同格のモノを感じる……
「ねぇ………………君…………」
「はっ、はいっ!?」
ゆっくり……ゆっくりとこちらに近づいてくる。
殺られる。
殺される。
俺は今すぐこの場から立ち去りたかった。だが足が震えて思うように動かせない。
「ちょっと二人きりで話したいの……時間ある?」
「あっ、はい!大丈夫です!」
あ……しまった。時間がないと言えば助かったのかもしれない。どうしてあるなんて言ってしまったのだろうか。
「そ、じゃ来て」
「うわっ、ちょっ、まっ……!」
そう言うと彼女は俺のほうが手首を掴んで誰もいないところまで引っ張られていく。
廊下に立ち尽くす佐藤を見ると憤怒と憎悪、羨みのこもったような目付きをこちらにずっっっと向け続けていた。これから何をされるのだろうか……殺されるのか……もしかしたら佐藤たちと同じものを埋め付けられるのか…………生きて帰ってきても佐藤が……。ヤバイどうしよ、死ぬルートでも生きるルートでもとっっても恐ろしい気しかしない。そう頭の中でいろいろと考えながら彼女の思うがままに連れ去られていった。