登校 2
「たくっ……なんなんだよ茜のやつ。あんな出来事を忘れてしまってるなんてよ……」
俺は文句をブツブツと呟きながら校門を通る。
「でもまぁ…ショックのあまり忘れてしまったという場合もあると思うけど…」
俺は茜の顔を思い浮かべた
「流石にあんな顔してたらな……ショックで忘れた感じではないな」
そして俺は生徒用玄関に入り俺の下駄箱の戸を開けて上靴を取り出して外靴を下駄箱内に入れた。
「おーい、瑞ちーん!」
横から俺を呼ぶ声が聞こえたので振り向く。
「……貴様……漆黒の炎に焼かれて死にたいか?」
「漆黒の炎?ハッ!んなもん変態の俺様にはきかねぇぜ!」
「なん……だと」
そう、俺を呼んだのは変態こと佐藤だ。
「とこらでさ瑞ちん」
「お巡りさんに電話ですね」
「いやあああああ!!やめてえええええええ!サツに面倒見られるのは嫌だああああああ!!」
佐藤は蹲った。
「ふっ、電話されたくなければ2度と『瑞ちん』などと呼ぶでない」
「わかりました瑞貴殿」
そして佐藤は正座をして頭を下げた。
「いや、瑞貴でいいから」
と、たわいもない話を玄関で繰り広げた後俺らは教室へと歩き始めた。
「ところで佐藤は何を言おうとしてたんだ?」
「いや、さ?昨日のことについてなんだけどさ」
「お前っ、覚えてるのか!」
「お前っ、覚えてるのか!」
俺の反応に佐藤も同じ声で返してくる。
何かこうやって真似されるとイラッとくる……
「ああ、京佳がプールで2人殺したやつだろ?
「ああ……そのはずだ」
「そのはず?」
俺は佐藤の言動に疑問符を浮かべる
「いやぁ俺もその事を覚えてないんだけどさ、毎晩寝る前に書いている日記に綴られてたから誰かわかる人いないかなぁって」
「お前日記とか書いてるって意外とマメですな!」
「いや、変態は毎日様々なことを綴って読み返した時にそのところを妄想して興奮したりするのさ」
「お前は一体毎日何を綴ってるのですか!?」
あとそれやってるの変態の中でもお前だけと思うぞ、佐藤。
「ん?今度見に来るか?」
「結構」
「でさ、お前も俺と同じく日記に綴って覚えてるのか?」
「いやいやお前みたいにマメじゃないから」
毎晩毎晩寝る前にいろいろと書くなんてゴメンだ。
「じゃあどうやって!」
「普通に覚えてるだけなんだけど」
「お前記憶力いいんだな!」
「残念!普通です!」
「じゃあ俺は!」
「変態です!」
「「いえーい!」」
俺は佐藤とハイタッチをした。そんなことをしているうちに教室にたどり着いた。
「それじゃ、他にも覚えている人を探さないとな」
「ああ、女子には変態行動を起こしても聞いてみるぜ!」
佐藤は歯をキラーンと輝かせてこちらにグッドサインを出してきた。
「じゃあその後どうなるかわかるよな?」
俺はポケットから携帯を取り出して佐藤に言った。
「すみませんでしたあああああああああああああああ!!」