理の樹(コトワリノキ)
世界は光の国と闇の国に分かれ、古き時代から争いを続けていた。その戦いは神々の代理戦争とも言えるものであった。光の国に生まれたリジュは、妬みや憎しみなどの負の感情の存在しない母国に違和感を感じながらも、全ての人々を守りたいと思っていたが、戦場は確固たる信念すら押し流してしまう。人として生き、人として死んでいく。ささやかな望み。それすら叶わないのだとしても、独りでないのなら永劫の時も恐れはしない。「貴方がいてくれるから、オレはオレでいられる」最後の選択の時、リジュの傍には誰がいるのだろうか――。