小さくも大きな夏
川辺の木陰からみえる
クローバーの群生の高さ、その手触り
木陰、木洩れ日のゆらぎ
落ち葉の色合い
川原でひなたぼっこする鳩の羽の模様
山並みの大小
雲の形
川面の波立ち
ベンチから立つといっせいに鳩が羽ばたく
シルエット
車ではゆけない路地の道
折りたたみ自転車
美しい庭がある邸宅
川辺へ続く石階段
みたこともない
初めて会ったトカゲ
胴体が鮮やかな青、金色の尻尾
みたこともない
初めて会ったアゲハ蝶
黒い縁取りの中の青
舞い踊るように飛ぶ姿
白鷺の広げた帆のような翼
真昼の光線によく乾いたシーツ
西の窓辺夕日が揺らめく畳の部屋で
小さくも大きな驚き
夏だから出会えたこと
まだみたこともない生き物がいるんだということ
ひとつひとつを広げては
夏の太陽の香が立ち
畳んでゆくこのひとときに憩う