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謎めく研究所の闇と深まる絆

廊下に金属床を叩く靴音が響いている。そこでは、パーシー刑務官がニヤつきながらアルフレッドたちを引き連れて歩いていた。彼は無意味にゆっくりと歩き、わざと足音を響かせている。その態度は、権力を誇示しようとする小物感が漂っていた。


「さあ、お前ら。静かに列を作れよ。ルールを守れない奴にはお仕置きが待ってるぞ?」


パーシーはわざとらしく金属棒を手のひらに叩きつけ、挑発するような笑みを浮かべた。

列の後ろにいたフリーヤは、小さな肩をすぼめ、視線を伏せたまま俯く。


彼女の金髪が薄暗い照明の下で揺れ、白磁のような肌に柔らかな陰影を落としている。囚人服の上からも分かる均整の取れたスタイルは、彼女がここにいる全員の目を引いてしまうほどだ。小さな胸元から腰にかけての曲線、細く引き締まった脚……だが、彼女自身はその美しさに無自覚だった。


「なぁ、おいフリーヤって言ったか?ちょっと振り向いてみろよ」


パーシーは彼女の背後から声をかけ、いやらしい笑みを浮かべて近づいてくる。フリーヤはビクンと肩を震わせ立ちすくんでいた。


「どうした、恥ずかしがらなくてもいいだろう?」


彼の手がフリーヤの腰に触れる。その柔らかい感触に満足げな笑みを浮かべるパーシー。


「きゃっ……!や、やめてください!」


フリーヤは反射的に彼の手を振り払おうとしたが、力の差で簡単に押さえ込まれる。


「おいおい、そんな可愛い声出すなよ。お前、本当にここにいるのが惜しいくらいだなぁ。こんな肌……」


パーシーの手が彼女の尻に伸び、撫で回すように動き始める。


「やめろ!」


列の前から鋭い声が響いた。振り返ると、ロレインが険しい表情でパーシーを睨みつけている。


「なんだ、てめぇ。いい度胸だな?」

「その手を離せ。今すぐに」


ロレインの瞳には怒りが宿っていたが、パーシーはその視線を嘲笑で返した。


「フン、お前が出てくるなんて予想通りだ。いいか、お前達はみんな俺の『おもちゃ』だ。俺がどう扱おうが勝手なんだ」


パーシーはフリーヤの尻をもう一度掴んで見せた。


「君は最低だな」


次に冷たい声が響く。アルフレッドが列の端から静かにパーシーに歩み寄った。


「おい、何だ?新入り。何様のつもりだ?」

「何様でもないさ。ただ、君のやっていることは卑劣だと言っている」


アルフレッドの落ち着いた声とその冷静な態度に、パーシーは一瞬ひるんだが、すぐに強がった。


「偉そうに!お前もまとめてお仕置きしてやるよ!」


パーシーが金属棒を振り上げた瞬間、ロレインが横から飛びかかった。


「何だ!?こ、この野郎……!」


金属棒が鈍い音を立てて地面に叩きつけられる。アルフレッドはその隙にフリーヤを守るように引き寄せ、優しく肩を抱いた。


「大丈夫だ、もう怖がらなくていい。」


フリーヤは震えながらも、アルフレッドの言葉に小さく頷く。

しかし、パーシーは倒れたロレインを蹴りつけ、怒り狂ったように叫んだ。


「調子に乗るな、貴様ら!」


金属棒が振り下ろされ、フリーヤを庇うアルフレッドは無防備な背を打たれる。痛みに顔を歪めながらも、彼は歯を食いしばり耐えた。


「フリーヤ、下がるんだ。」


彼女が離れると同時に、再びパーシーの攻撃がアルフレッドとロレインに浴びせられる。その暴力は容赦がなかった。


独房に戻された後、フリーヤは涙を流して震えた。


(私のせいで……アルフレッドさんもロレインさんも……)


だが、それから数日後、彼らが笑顔で運動場に現れる姿を見て、彼女は驚いた。


「何だその顔は?化け物でも見たか?」


ロレインがからかうように言う。


「い、いえ!その、凄く顔が腫れています!……痛くないんですか?」


フリーヤは心配そうに尋ねる。


「痛いけどな、俺たちは簡単には負けない」


ロレインは豪快に笑った。


「それに、こんな経験も悪くないさ」


アルフレッドは微笑みながら、フリーヤに安心感を与えるよう語りかけた。


アルフレッドはフリーヤの手を取る。


「フリーヤ、それに他の皆も、君たちの存在が私たちに戦う理由を与えてくれているんだ」


その言葉に、フリーヤは胸の奥が激しく脈打つ感覚を覚えた。


彼らは徐々に絆を深め、虐げられた日々に小さな変化を起こし始めていく。それは、彼らの中にある「闇」に、確かな「光」を宿らせていくようだった。

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