表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
99/116

第99話 文化祭→夏休み

 文化祭の終わる直前、女子生徒たちが群をなして移動いるのが見えて、その先に先輩がいるのが分かった。

今日中に入部届を出そうと思い、先輩に声をかけようとするのだが…


「キャー!加藤先輩!」

「風太くん!こっち見てー!」


どうにも、この屯している女子生徒たちの壁を越すことができず、少し離れたところから追うことしかできなかった。

 少し追うと、いきなり廊下の真ん中あたりが開き、先輩が道を開けてくれた女子生徒たちに手を振ると、またもや歓声が上がる。


「ごめんね。二人とも。ちょっと場所を変えた方がいいよね?」

「その方がありがたいです。」

「だよね。じゃあ、ちょっとだけ待ってて。」


先輩は女子生徒たちに個人的な用事があると言うと、女子生徒たちの数はだんだん少なくなっていく。


先輩がこちらに振り向き、「じゃあ、僕らは生徒会室に行こうか。」と言うので奏と僕が少し驚いてしまい、先輩は見つかっても誰も入れないからと理由を説明してくれたのだが、僕が生徒会室に入ることが初めてだから驚いたことを説明すると、奏はこくこくと頷いた。


「今回だけは特別ってことで。ほら、行こうか。」

「は、はい!」


そうして僕らは背後からの視線を感じながら旧校舎にある生徒会室まで行くことになった。



 生徒会室は綺麗に整頓されていて、普段から綺麗に保たれていることが分かる。

僕らの対面に座る生徒会長に五人分の入部届を提出する。


「先輩。これで五人です。」

「…うん。これで古典部は正式に部活動として再開することを許可します。…そして、一のEの春川歩は陸上部から古典部に転部することを承認します。」

「加藤先輩。半年間、ありがとうございました。先輩がいなかったら…」


先輩は僕の言葉を遮って、「いや、君は君の力で今を掴みとったんだよ。」と奏と僕を交互に見て言う。

そうして席を立った会長は入ってきた扉とは違う扉を開ける。


「ほら、二人ともこっち。生徒会室から出ると怪しまれるから。」

「なるほど?」


連れられた先は放送室だった。なので、放送室から出るのかと思いきや、先輩は放送用のマイクの前の椅子に座り、機械のうちの一つのスイッチを押した。

先輩がスイッチを押すと、すぐにチャイムが鳴り、先輩はマイクの音量を上げる。


「皆さんお疲れ様でした。時刻は16時30分、文化祭二日目終了の時刻になりました。文化祭は楽しかったですか?明日からは夏休みです。各々が大切と思うことをして、有意義な時間にしましょう。それでは、各クラスごとに片付けを行ってください。」


先輩はメモのようなものは持たず、すらすらとマイクに話した。

先輩はマイクの音量を下げて、再びスイッチを押して、チャイムを鳴らす。


「二人もお疲れ様。文化祭は楽しかった?」

「「はい。」」


奏と同じタイミングで同じことを言うのを見て、先輩は軽く笑ってから「それは良かった。」と嬉しそうにする。

先輩こそあんなに跡をつけられて楽しかったのだろうかと思ったが、先輩の『今は聞くときじゃないよね?』と言いたげな表情を見て、奏も僕も聞くことはなかった。



 放送室を出ると、先ほどより人数は減っていたものの、数える気にはならないほどの女子生徒たちがいた。

その女子生徒たちの横を「すみません。」や「失礼します。」と言って通り抜け、誰もいない渡り廊下を歩いていると、奏に「7回目です。」と心底嬉しそうに言われた。


「ナシには、ならないよね…」

「当たり前じゃないですか。今日はたくさんお願いできます♪」


奏が喜ぶことは大体僕も嬉しいのでいいのだが、お願いに関しては話が別だ。

尚更7回もお願いを聞けるのだろうか…?


「ちゃんと答えられなかったらごめん。…あ。」


気づいた頃には喋りきっていて、取り消すことはできず、奏に「ふふっ。」と笑われる。


「大丈夫ですよ。できなかったときはペナルティが付きますから。」

「ちょっとくらいやさしめにはならない?」

「それは、歩くんの頑張り次第です。頑張ってくださいね?」


奏に「頑張りたい…な。」と返すと、ポケットの中のスマホが震えた。

どうやら、姉さんはもう校門で待っているらしい。


「姉さんもう校門にいるって。どうする?」

「そうですね…、私たちも片付けは終わっているので、帰りましょうか。」


姉さんにすぐに行くと連絡を送り、一度クラスに残っていた生徒たちに挨拶だけしてから帰路についた。



 マンションに着き、エレベーターで三階まで上がっていると、姉さんがリュックサックから昨日ももらっていた箱を取り出した。


「これ、どうしようか?」

「さすがに二本ずつあっても、使わないものもありますし…。」


奏は「う~ん。」と悩んだ後、エレベーターが三階に着いたときに「あっ!」と閃いていた。

エレベーターから降りて、廊下を歩きながら奏の考えを聞くことにする。


「なら、お母さんとお父さんにあげてもいいですか?」

「それは良いかも。でも、渡すのは中身を見てからにしようか。」


姉さんの条件に奏は頷いて、扉を開けて部屋に入る。

今週末にはここを離れるので、一度大掃除をしておこうと思いつつ、僕も奏に続いて部屋に入る。


 家に帰るまでがなんとやら。

文化祭が終わり、夏休みになると思うと、半年間がすごく短いように感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ