表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
98/116

第98話 文化祭二日目 其の六

 先輩と別れてから少ししたとき、目当ての人を見つける。

向こうもこちらに気がついたようで、手を振っている。


「お待たせしました。」

「…かなり待ったよ?」

「お二人のラブラブな時間は邪魔できませんからなぁ。」


真冬がうんうんと頷きながらそう言うと、夏樹は「確かに。」と呟く。

奏は二人に一緒に回らないかと誘うと、二人はついてくることを決めた。


「っていうか、姉さんは?」

「あ、そういえば、クイズしに行くって言ってたけど…」

「忍さん凄いんですよ!行きましょう!」

「うわっ!?」

「え、秋山さん!?」


腕をぐいっと引っ張られ、一階上の一のCへと移動することとなった。



 一のCの教室の前にはかなりの人だかりができていて、中から聞こえる声は姉さんの声だ。


「答えは碧谷祭(へきやさい)です!」

「せ、正解です…!」


姉さんが問題に正解すると、教室内から歓声や拍手が送られた。

ただ、僕自身『へきやさい』を知らず、奏にそのことについて聞いてみた。


「碧谷祭はこの学園で行われる文化祭のことですよ。ほら。パンフレットにも書いてあります。あ、あと、ちなみに体育祭は冬谷祭(とうやさい)と言われています。」

「そうなんだ。全然知らなかった。でも、なんで『へきやさい』って呼ぶんだろ?」

「それは…、なんででしょうか?」


『へきやさい』が何なのかは分かったが、なぜ文化祭のことをそう呼ぶのか分からないので、もやもやした謎が残った。



 数分で最後の問題まで正解した姉さんは、昨日もらったものと同じ箱を持って僕らと合理した。


「ごめんね。みんな待たせちゃって。」

「いえいえ、忍さんがどんどん正解していくのかっこよかったです!」


奏に褒められると、姉さんは「もう、…そういうのはいいから。」と少し照れていた。


 照れていた姉さんが急に素の顔に戻り、後ろを振り向いて先ほどまで司会役をしていた生徒を見る。

司会役の生徒は話しかけていないのにいきなり振り向いたことに驚いていたが、彼女もまた表情を戻して話しかける。


「あの、総合優勝なので、景品がありまして…こちらなんですけど…」


差し出されたのは…何かのチケット?


「『頭を使ったなら、体も使おう!』ということで、こちらボウリングの無料券でして、一人一ゲームするのに一枚、全部で十枚あるので、えっと、誰かを誘うなり、一人で十ゲームするなり、好きなように使ってください。」

「分かりました。ありがとうございます。」


姉さんがお礼を言うと、司会役の生徒はそそくさと教室の奥の方へ戻っていった。

この教室はそろそろ終わりの時間なのだろう。


 学校最終日ということもあり、片付けを文化祭の時間の内に終わらせるクラスがあることを知り、僕らの教室も同じように文化祭の時間中に片付けをすることになっている。

ちなみに、片付けられないと、夏休みの最初の4日のうちに絶対に片付けないといけないのだ。


「時間的に、そろそろ戻る?」


一応姉さんにも事前に伝えておいたので、姉さんも含めて四人全員が肯定の意を示す。

姉さんは学校内に長くはいられないので、先に帰るのかと思っていたが、姉さんは手伝ってくれるらしい。



 姉さんはなぜか指示役になり、全体の片付けの指示を出していた。そしてなぜか、そこにいたクラスメイトは誰も文句を言わず、それに従っていた。

そのおかげか片付けは文化祭が終わるより前に終わってしまった。


「よし!終わったね。他には何かすることあるの?」

「い、いや、あれで最後…」

「え?そうなの?じゃあ解散!」


姉さんがみんなに呼び掛けると、教室を出て他のクラスを見に行く人や、教室内で雑談をし始める人などと各個人好きなように行動しはじめた。


 僕らもやることがあるので、さっきまで教室にいたはずの人を探す。


「…いました!倉敷さん!」

「わ、私ですか!?」


いきなり呼び止められた倉敷さんは驚いて転びそうになっていたが、いつの間にか彼女の隣にいた姉さんに受け止められる。


「あの、倉敷さんが良ければなんですけど、部活動に入っていただきたいのですが…」

「え、ど、どんな部活、ですか…?」


当たり前だが、部活動の内容を聞かずに入部するわけにはいかないので、古典部のことや成り行きを話すと、倉敷さんは「でも…」と言葉を濁した


「私なんかが、部活動なんて、迷惑じゃ…」

「大丈夫です!今、人が足りなくて、あと三人いないと部活動が成立しないんです!」

「あ、あわわ…」


倉敷さんが古典部に入ってくれれば、あとは夏樹と真冬を誘うつもりだったのだが、もしかしたら先に二人を入れておいた方が交渉材料になっていたかもしれない。


「えっと、僕たちもあんまり古典部のこと知らないから、お互い様だよ。」

「…お二人が、いるなら、は、入ろう、かな…?」

「ほ、ほんとですか!?ありがとうございます!倉敷さん!」

「わ、わわ…」


倉敷さんは奏に腕を上下に振られて体まで揺れていて、奏を止めたあとに少しふらついていたが、再び姉さんに支えられていた。


 ちゃんと入部届に名前を書いてくれたので、部活動が成立すれば入部になることを伝えると、「お二人に、恩返し、出来たら嬉しい、です。」と、昨日手伝ったことが交渉材料になっていたらしい。


 その後、入ろうとしたお客さんに終わったことを伝える仕事をしていた夏樹と真冬に古典部に入ってほしいとお願いすると、二つ返事で了承してくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ