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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
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第91話 文化祭一日目 其の八

「ど、どうですか…?」

「おお、似合ってる。」


奏はアニメキャラのコスプレ衣装と説明が書いてあったものを着たらしいが、僕が知らないアニメだったので、元のイメージがどんなものか知らない。姉さんなら知っているかもしれないが、さっきの生徒と話すために退席している。


「水星の魔女って言うらしいですよ?アスティなんとか学園ホルダー用って書いてあったんですけど、私はそこまでテレビを見ないのであまり知らなくて…」

「ごめん。僕もあんまり知らない…でも、似合ってるよ。」


奏にこの白い服が似合っているのは間違いない。しかし、奏は思うことがあるらしく、胸あたりを押さえて、「ここの大きさが足りません…」と嘆いていた。少しフォローしてあげると、機嫌が直ったらしく、少し恥ずかしながら「ありがとうございます。」とお礼をする。



 機嫌良さげな奏はまた着替えに戻り、次に出てきたときにはメイドになっていた。

頬が赤く染まったメイドさんはロングスカートに足を隠し、お盆を前で持っている。


「あ、歩くんと二人なら、良いかなって…どう、ですか?」

「え、っと、可愛いです。」

「歩くん、ちょっと来てください。」

「え?でも、着れるものないと思うけど…」


呼び出しを断ろうとしたが、メイドさんに手を引かれて試着室まで連れていかれ、後ろでカーテンを閉められる。


「これ、着てほしいです。あ!お願い使います。あと、写真も一緒に撮りましょう。」

「…一回だけだよ…?」

「はい♪」


奏から執事服を受け取りそれに着替える。少し身長が足りていない気がしたが、一番小さいのがこれだったので仕方ない。


「わぁ…!歩くん、カッコいいです。」

「う、うるさいな。…は、早く撮りに行こう?」

「はい♪行きましょう!」


そして、姉さんと受付の女子生徒に見られてかなりちやほやされ、奏が頬を膨らませていた。

だが、写真撮影のときは奏は僕の隣で笑顔で写っていた。結局、写真は一枚だけでは済まなかった。


「ねえねえ弟くん。メイドさんをお姫様抱っこしたりしないの?」

「えっ…そ、それは…」

「…して、くれますか?」


この上目遣いは反則だと思う。絶対に断れないことを分かって奏もやっているので、奏の気持ちを断りたくないという気持ちも上乗せされて、さらに断りづらくなっている。


 その後は姉さんが撮りたいというので、奏は他の衣装を着て、姉さんに撮られていた。衣装に合いそうなときだけ奏と一緒に撮られて、二時間以上は着せ替え店にいた。


「歩くん♪楽しかったですね。」

「うん。奏が楽しそうで、僕も見てて楽しかった。」

「あはは。二人ともずっと撮られてたもんね。ほら、今日だけで三百枚は撮ってるよ?」

「約束の三百倍ですか!?私、歩くんにどうされちゃうんでしょうか?」

「そんなこと言ってるけど、奏なんか期待してない?」

「…し、してません。」


微妙に間があった否定だったが、さっき僕も嘘をついたので、ここは見逃してあげよう。


「一日目の終わりまで、あと5分ですね。」

「奏は楽しかった?」

「はい。歩くんのおかげです。ほんとに、歩くんに会えてよかった…」


奏の頭を撫でてあげると、奏は「まだ学校ですよ?」と注意してくるが、終わりのチャイムが鳴るまでは奏を撫でていた。


「終わっちゃいましたね。」

「僕らも戻ろうか。」

「あれ?私ってまだここにいていいの?」

「「あ。」」


本来なら、生徒が呼んだ人は終了時間の5分前に学校を出なければならないのだが、既に終了時間を過ぎている。


「どうしよう。とりあえず、一緒に帰る?」

「…あ、忍さん!ここの制服持ってきてないですか?」

「え?弟くんのならあるけど。」

「何で僕のを持ってきてるんだよ。」


姉さんを責めようとすると、奏に「まあまあ。」と止められる。


「いいじゃないですか。それで忍さん、今着替えられませんか?」

「ああ、なるほどね。分かった。やってみよう。」


そうして、姉さんが着替えている間に夏樹に事情を話して、さらに各売り上げを送って貰うように頼むと、「当番の借りだと思えよ。」と承諾してくれたので、着替えた姉さんと姉さんに付き合っていた奏を連れて一足先に帰る。


 幸い、姉さんが貰った調味料一式が大きかったため、鞄にそのままつっこむと上手いことそれで姉さんのまとめた髪が隠れていた。そのおかげか先生方にバレることなく校門を抜けられたので、後は安心して帰るだけだ。


 今さらながら、学校まで歩いて帰れるのは非常に楽だと思う。それもたった5分で平坦な道なので、歩くのも苦ではない。

あのマンションの部屋を買っていたおじいちゃんには感謝しかない。


 そこで一つ奏に聞こうとしていたことを思い出した。


「そういえば、奏は夏休みにする事決まってる?」

「いえ?特に何も決まっていませんけど、歩くんは何かありますか?」

「えっと、おじいちゃんたちに会いに行こうと思って、奏を連れて行きたいなって。」

「それは私からもお願いしたいですけど、日程とかは決めてるんですか?」


確かに予定は決めておくべきだと思い、まだ決めていないことを伝えると、奏は「なら、夏休み始まってすぐの日曜日とかはどうですか?」と提案してくれるので、なぜかと理由を聞くと、土日は零さんと雫さんが車で来るらしいので、送ってくれるかもしれないとのことだ。


 そのことは後で連絡してみることにするとして、話していたらすぐにマンションに着いてしまった。


 部屋に着くまでに奏は零さんに了承を貰ったようで、「大丈夫そうです。」と報告して、渡した合鍵で鍵を開けた。


 奏は住んでいた部屋を見ながら握ったドアノブを回してドアを開けた。

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