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物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
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第90話 文化祭一日目 其の七

 踊り場で僕たちを見ていた生徒の横を通りすぎたとき、その生徒が「おい、お前」と口にした。知らない生徒に声をかけられて、何か気にさわることをしたのかと思い、謝ろうとしたとき、姉さんが「はぁ。」とため息をついた。


「またあんたに会うとは思ってなかったけど?」

「なんだ?逃げたくせに。こっちがわざわざ探してやったんだせ?お?そっちの子も可愛いじゃんか。」

「ひっ!」


男子生徒は奏に向かって手を伸ばしたが、その手は奏に届く前に止まる。気付けば僕の手はその生徒の伸ばした腕を掴んでいた。


「なんだ?お前?」

「…僕の彼女に手を出すな。」

「お前が?この子の?なあ、君、俺を彼氏にしてもいいんだぜ?こんなやつよりさ?」

「嫌です!」


奏はすぐに断ったとき、お腹に激痛が走った。どうやら、掴んでいた逆の腕で殴られたらしい。


「うっ!?」

「こいつがこうなってもか?」

「歩くん!」

「あゆぶっ!?」


少し意識がぼんやりしているが、目の前にいた男子生徒がおらず、周りを見渡すと、踊り場の窓際に移動していた。


「ちょ、ちょっと!忍さん!」

「…あんた、いい加減にしなよ?これ以上弟くんに手を出すようなら、私も手加減しないよ。」

「て、てめぇ…覚えてろ!」


男子生徒は階段を上っていって見えなくなると、姉さんと奏が寄り添いに来た。


「大丈夫ですか!?」

「大丈夫?弟くん?」

「ちょっとだけ痛いけど、大丈夫だって。あれ?わっと。」

「もう、危ないですから、ちょっと休憩にしましょう?」


奏に支えられて階段から落ちることはなかったが、奏と姉さんに一度階段に座らせられる。


「っていうか、誰なの?あの生徒。」

「えっと、奏ちゃんとお昼ごはんの調達に行ったときにナンパ的なことがありまして。あ、奏ちゃんには触れさせてないからね?」

「それは助かる。奏も、怖くなかった?」


奏に聞くと、奏は膝を曲げてから僕の手を握った。そして僕を見つめて、「歩くんが殴られたときが一番怖かったです。」と言う。

そんな奏を撫でて、奏の不安を消すことにする。


「そっか。僕は大丈夫だから。」

「…こんなときに嘘つかないでください。」

「ははっ。それもそうだね。ごめん。怖がらせて。」

「何言ってるんですか。悪いのは歩くんじゃありませんよ。」


奏はそう言いながら、僕に正面から引っ付く。奏の制服が顔に触れたところで、学校だからと注意したが、奏は少しの間離れなかった。


 奏が僕を離してくれたところで、さっきから何か考えている姉さんに何を考えているのか聞くと、「さっきの生徒についてね?」としか説明してくれなかった。


「ねえ、もしかして、その生徒の…」

「うん。大体住んでるところも分かったし、いつでも乗り込めるよ。」

「え?」

「だから、駄目だって!」


姉さんは僕が何かされると毎回こうだ。すぐ住んでいるところを予想して乗り込もうとする。


「あの生徒の名前は大橋(おおはし)準也(じゅんや)、学年は2年で、クラスはD。電車通学じゃないのは分かったし、自転車通学でもないのは確定で、少し遠いところから歩いてるのが分かったね。あと、家は学校から北西方向に十分くらいだね。」

「ど、どうしてそんなことまで…?」

「え?だって、胸ポケットに二のDの生徒だけが貰える、誰かに渡す用のホットドッグの割引券が入ってたし、靴に入った線と破損具合から二年生なのはわかるし、電車通学なら定期券は持ってるでしょ?あと、自転車通学なら髪が押さえられてるはずでしょ?まあ、ヘルメット被ってないなら分からないけど、この辺は自転車通学の人はシールを持ってる必要があるんだけど、胸ポケットに券が入ってたら一緒に出る可能性もあるし、ね?」


姉さんはすごく細かく説明してくれたのだが、名前はどうして分かったのだろうか?


「でも、名前は?」

「ねぇ、弟くんはお昼何食べた?」

「え?ホットドッグ…あ。」

「そういうこと。さっきの買いに行ったタイミングでクラスの人間くらい把握できるよ。裏手に役割表があったのが見えたし。二のDは男子六人しかいないし、当番の時間的に大橋ってのがおかしくない時間の当番だったからね。」


ここまでくると探偵か何かを目指した方がいいんじゃないかと思えてくるが、本人はやりたくなさそうだ。僕が依頼主ならやるかもしれないが。



 かなり痛みが引いてきたので、立ち上がると奏がすぐにフォローに回って、僕の腕に体を寄せて支えてくれる。


「もう大丈夫ですか?」

「うん。奏も姉さんも文化祭回りたいと思うし。ね、行こう?」

「私は歩くんの方が大切なんですけどね?」

「あ、なら、二のBに行こう。」


姉さんの提案に「二のBは何をやってるの」と聞くと、「それは行ってからのお楽しみだよ?」と返された


 仕方がないので二のBに行くと、そこでは着せ替え店をやっていた。誰も並んでいなかったので、店員役の女子生徒に「やってるんですか?」と聞くと、その女子生徒は「一時間ぶりのお客さん!さあさあ、入って入って。」と教室に僕たちを連れ込んだ。


 連れ込まれた部屋にはたくさんの服があり、鏡や背景なども用意されていた。

教室内の展示を見ていると、僕たちを連れ込んだ女子生徒が「説明しますね?」と言うので、耳をそちらに傾ける。


「ここにある服は全部お貸しします。ただし、この教室内だけです。写真も撮ることができるんですが、許可には百円をいただきます。一回百円ではなく、百円を払えば、何度でも撮っていただいて構いません。何か質問はありますでしょうか?」


奏と目を合わせてから、「「大丈夫です。」」と言うと、女子生徒は「是非ごゆっくり。」と言ってスペースから出ていってしまった。

残された三人で教室内の服を見て回るが、少々女性用が多いように感じる。というか、女性用しかない気がした。


「これ、全部女性用では?」

「み、見た限りは、そうですね。」


どうやら、ここには僕が着る服は無いみたいだ。

…タイトル変えたい!けど、いい案がない!

【急募】タイトル募集!

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