表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物事はいつも彼女から  作者: 七灯
第四章 文化祭
89/116

第89話 文化祭一日目 其の六

 廊下で取り残された奏と姉さんに合流して、あまり見ていなかった一年生の教室を覗いていく。

一のDの教室では、複数の男子生徒が教室中央に置かれた何かを力ずくで回していた。

教室の前に置いてあるホワイトボードには、『人力コーヒーカップ』と書かれていた。

(回数を増やすのも申し訳ないし、やらないでおこうかな…?)


 当然二人は興味を示すことなく、次の教室の中を見に行く。



 一のDの隣のクラス、一のCではクイズ大会が行われていた。今は一日目昼の部をやっているらしく、ボタンがついている机が四つ並んでおり、一つだけ空いていた。


「はーい!私、参加していいですか!?」


姉さんが司会のところに立っている男子生徒に向かって叫ぶと、男子生徒は少し驚いてから姉さんに場所を手のひらで合図した。男子生徒は本当に司会役の生徒だったようだ。


 姉さんが場所について、参加者四人の自己紹介をしてから、ルールの説明が始まった。

ルールは10問出題され、出題中は答えられないことになっていて、お手つきは他の参加者が答えるまで回答不可などといった単純なルールだった。

全員の理解が得られたので、司会の生徒が問題が出題される。


「第一問!まずは簡単な問題から。DVDの正式名称は?」


素早く姉さんがボタンを押し、回答権を得る。


「では、忍さん!答えをどうぞ!」

「『デジタルヴァーサイタルディスク』です。」

「これは…?」


少しの間をおいてから、司会役の生徒はピンポーンと持っていた○が書かれたマイクのようなものを鳴らした。


「素晴らしい!正解です。忍さんには1ポイントが与えられます!」


姉さんの前にある机に1と表示され、問題は二問目に突入する。


「では、第二問!お酒と料理酒、違いは何?」


またもや姉さんがボタンを押し、回答権を得る。


「料理酒には塩が入っていて、お酒には入っていません。」

「せ、正解です。忍さん2ポイント早くも獲得しました!他の参加者は巻き返せるか!?三問目!ペペロンチーノの正式名称の意味はーーー」


少し結果が見えてきたので、他の参加者には少し申し訳ない気持ちになってきた。


 九問目が終わった時点で、姉さんの机に表示されているのは9。なんとなく察していたが、このまま行けば10の数字が見れるかもしれない。

だが、大きさ的には1と0が表示できるスペースがないようにも感じた。


「さ、さあ!最終問題です。山手線の駅を外回りで全て答えよ!これは朝の部では答えが出ませんでした!さあ、忍さんは答えられるか!?」


もう完全に姉さんが答えられるかの勝負になっているが、姉さんはボタンを押す。

司会の生徒は少し焦った様子が見えたが、「で、では、忍さん、答えをどうぞ!」と回答権を与えて、チェックリストを取り出した。


「外回りなら、東京から始めると、東京、有楽町、新橋、浜松町、田町、高輪ゲートウェイ、品川、大崎、五反田、目黒、恵比寿、渋谷、原宿、代々木、新宿、新大久保、高田馬場、目白、池袋、大塚、巣鴨、駒込、田端、西日暮里、日暮里、鶯谷、上野、御徒町、秋葉原、神田で東京に戻って一周です。」


姉さんの答えを必死にチェックしていた司会役の生徒はチェックが終わり、感動を隠せていなかった。


「え…すげぇ…!合ってる…!って、あ、せ、正解です!一日目昼の部の優勝者というか、全体優勝は、エントリーナンバー8の忍さんです!」


観客の生徒や他校の生徒、生徒の親が拍手をして姉さんを祝っていた。

奏は僕の制服の裾を引っ張って「凄いですね忍さん!」と感動を伝えてくる。


「多分、姉さんなら『簡単だったね』って言うと思うけどね?」

「それならもっと凄いですね!」


その後、観客の前で姉さんは景品を受け取って、観衆の隙間を縫うように僕たちと合流した。


「いやぁ、簡単だったね。」

「ほらね?」

「ほ、ほんとでした。凄かったです。忍さん!」

「いやいや、私からしたら、そんなに難しくないよ。大学行くときには競争してるし。」

「え?どうやってですか?」


東京は春以来行っていないが、並走できるところは少ない。どうやって競争するのか、言われて初めて疑問に思った。

だが、その質問に恐ろしい答えが返ってくる。


「え?電車の型番を覚えてから次の駅までにどっちが早い?って感じだけど?大体田端から西日暮里でいつも競争してるけど。」

「どうやって型番覚えるんですか?」

「え?見れば分かるじゃん。」

「…え?」


奏は姉さんの言っていることに困惑しているが、これが答えなので仕方がない。

姉さんは思い出したかのように手に持った景品を見て、「これどうしよう?」と呟く。


「姉さんのことだし、いらないって言うかと…」

「え?いらないけど?」

「…そっか。じゃあ、僕が持っておくよ。って重!?」


姉さんから受け取った箱に入った景品はずっしり重く、何が入っているのか気になった。


「こ、これ、何が入っているの!?」

「なんか、調味料全般って言ってたけど、やっぱり、私が持とうか?」

「お、お願い…」


姉さんが持ったところで途端に腕にかかっていた負荷がなくなった。

(腕のトレーニングもしたほうがいいかもな…)



 一のCの教室から出て、一のBの教室の中を見ると、ボーリングをしていた。ピンはペットボトルを並べており、ボールはバスケットボールで、指を入れられないので転がす台に乗せて使うようだ。

二人とも興味がなさそうだったため、今度は三階に上がり、二年生の出し物を見に行く。


 階段を上ると、踊り場にいた生徒がこちらを見ている気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ